慈善事業のつもりで、教会や治癒術師さんもお手上げの患者さんだけ助けることにした
私が回復魔法を上手く使えると、あの踊り子さんが善意で言いふらしたらしく助けてくれと訪ねてくる病人や怪我人が一気に増えた。
さすがに断り続けるのも心苦しく、慈善事業のつもりで教会や治癒術師さんもお手上げの患者さんだけ助けることにした。
その際、教会と治癒術師さんの『ウチではお手上げです』という診断書的なものを持ってくることを条件とした。
だって、教会や治癒術師さんの仕事を奪ったら申し訳ないからね。
でも、その代わり来る患者さんは重症者ばかり。
だから本当には高額な医療費をとらないといけないんだけど…他の人にはお手上げな患者さんだからライバルもいないし、適正価格も何もないから安くすることにした。
具体的に言うと、商売の上手くいっていない商人や普通の平民や棄民には普通の教会での治療費の半額にした。
貴族や裕福な商人、軍人さんや騎士様にはその三倍の額を請求する。
これは教会や治癒術師協会との話し合いの元決めたので、誰も文句を言わなかった。
というか言わせなかった。
診療所はうちの屋敷の開いた部屋にした。
ということで、慈善事業がスタートした。
まあでも、慈善事業と言っても一応はお金を取るし、それを税金でバラキエル様に少しばかり納めるし、自分の回復魔法一つでできることだから安上がりだし…みんなの役にも立てるし、最高だよね!
「…主人様、とうとう慈善事業まで始めちゃったね」
「だ、大丈夫なのかな…無理してないかな…」
「主人様のお決めになられたことです。俺たちは見守るしかないでしょう」
「心配なんだがな…」
そんな会話が陰で行われていたとは、私は知らなかった。
「目が、目が見える!ありがとうございます、ありがとうございます!」
「すごい、無くした足が生えた!ありがとうございます、ジョウコお嬢様!」
「耳が聞こえる、やっと音が戻ってきた…ありがとうございます、感謝します!」
「お腹、もう痛くない…お姉ちゃん、ありがとう!」
「息が苦しくない…こんなの生まれて初めて…!ありがとうございます!」
状態異常回復ポーションですらお手上げな患者さんを助けることができるのは、嬉しい。
みんなが幸せそうに笑ってくれるのをみるのも、嬉しい。
踊り子さんに言いふらされた時にはどうしたものかと思ったが、これでよかったのかもしれない。
今では、あの踊り子さんには感謝だ。
ちなみに、お金を慈善事業なのに稼げているので今は資金は一億と五千万と細かいお金になった。
お金も増えてウハウハだね!
ただ、毎日忙しくなってちょっと疲れちゃうけれど。
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