森のダンジョン
「フェルくん、今なんて言った?」
「主人様に、ま、魔法を教えて差し上げますと…も、申し上げました!」
「うん、その後になんて言った?」
「え、あ、実践で覚えるのが一番なので、ダンジョンに行こうとい、言いました!」
なんてことだろう。
フェルくんは意外と脳筋さんだ。
助けを求めるようにミカくんとイオくんとザドくんを見る。
「僕もそれがいいと思うよ、主人様!」
「素晴らしい提案かと」
「面白いものが見れそうだ」
味方がいない!
ということで、ダンジョンに行く羽目になってしまった。
セラフィムさんに近くにダンジョンが発生していないか聞くと、ちょうど街の近くの森にダンジョンが出て困っているらしかったのでそこに行くことになった。
「では、ま、まずは主人様やみんなを守るための結界を張ります」
フェルくんが魔法で結界を張ってくれた。
「主人様、魔法はイメージの力が大事、です。どんな魔法を使いたいか、思い浮かべて魔力を込めると、魔法を使えます!」
「へえ、面白い!」
「ということで、さ、さっそくあのダンジョン内のモンスターハウスに突っ込みましょう。僕たちは邪魔をしないので、主人様だけで倒してみて、ください」
「えー!?」
「結界があるから、攻撃されても大丈夫ですよ」
抗議する間もなく、魔物が大量発生したダンジョン内の部屋に入れられる。
魔物に襲われたが、本当に結界が効いていて怪我一つ負わない。
それに強気になった私は、魔法を使ってみた。
まずこの階層では火のイメージで魔法を使い、魔物を焼き尽くす。
次の階層ではモンスターハウスの魔物たちを水責めにした。
次の階層ではモンスターハウスの魔物たちを風魔法で竜巻に巻き込んだ。
次の階層ではモンスターハウスの魔物たちを土魔法で押し潰した。
次の階層ではモンスターハウスの魔物たちを雷魔法で感電させた。
ここまで来て思う。
このダンジョン、モンスターハウス多くない?
だから魔物がダンジョンから這い出してきて、街の人たちが困っていたのか。
そしてこの階層で最後。
ラスボスを倒せばダンジョンは消えて、街の人々が安心できるわけだ。
「ここまでよく頑張ったな、主人」
「ザドくん、ありがとう!」
「主人様はもうお疲れでしょう。ほぼほぼ魔法をマスターした様子ですし、あとは休んでいてください」
「イオくんもありがとう!」
ラスボスはみんなが倒してくれるらしい。
正直疲れてきたので助かる。
「主人様、魔法習得おめでとう!」
「ありがとう、ミカくん」
「あ、主人様、一日でこんなに魔法をマスターしちゃうなんてすごいです!」
「ミカくんのおかげだよ、ありがとう」
そしてボス部屋に入る。
そこは地獄絵図と化していた。




