奴隷達との生活
ダークエルフの奴隷二人との生活は、まあまあ悪くないものとなった。
二人は完全に私に懐いてくれているし、見目が良いから眼福、おまけに家事能力が高くて仕事が完璧。
さらに二人は魔法も使えて、家に盗賊が入ってこないよう結界も張ってくれた。
これで万事安心!
日々の買い物にも護衛兼荷物持ちとして着いてきてくれるし、本当に最高の二人だ。
「ダークエルフを奴隷として買えるなんて、やはり金持ちのお嬢様だったのか…」
「あのシズシズとした歩き方といい、只者じゃないな」
「まさか海の向こうのお姫様とか?」
今日も日々の食事のため買い物をしに二人を連れて出てきたが…人々の噂が耳に入ってしまった。
勘違い加速しすぎー!
でもなぁ、変なこと言うと余計に勘違いが加速する場合もあるし…無視だ無視。
「ねえ、主人様。主人様はお姫様なの?」
「こら、フェル!すみません主人様!」
「大丈夫大丈夫。でもそれ誤解だから」
「でも主人様、本当にお姫様みたい…です」
「ふふ、ありがとう」
可愛いなぁ。
本当にこの双子は可愛い。
「さてと。あとは…」
「主人様!」
「何奴!!!」
誰かが私に触れようとした。
フェルくんがとっさに私を庇う。
ミカくんが護身用の魔法の杖を構えた。
しかし先ほど私に触れようとしてきた人は、その場にひれ伏した。
「お願いです!俺を貴方の奴隷に加えてください!」
「…はい?」
「お願いします!!!」
何度も頭を地面に擦り付ける彼に、とりあえず頭を上げるように言う。
そこにはオッドアイの美青年がいた。黒い髪に、赤い右目と青い左目。キリッとした眉と切れ長の目が印象的だ。
「今の奉公先のお嬢様が病気なんです!俺は天涯孤独の身で、奉公先のご主人に返しきれない恩があります!だからお嬢様を助けるため、ハイポーションが必要なんです!そのために!神聖金貨四枚が必要なんです!」
つまり身売りして、そのお金を稼ごうと…。
うーん、仕方ない。
「はい、神聖金貨四枚。行っておいで」
「は、はい!」
彼は走って行く。
お嬢様のために、ハイポーションを教会に買いに行くのだろう。
「神聖金貨を四枚もポンと出した…」
「金持ちってすげぇ…」
これで四億と三千万円と、五百万。
日々の生活費もあるのに買い物しすぎて、減るのが早い。
無駄遣いしすぎると危ないかもなぁ。
この世界では変な収集癖が発動しないといいけど。
着物はこの世界にはないから、大丈夫だとは思うけど。
「主人様、いいのですか?そんな気前よくあげちゃって。詐欺かもしれませんよ?」
「まあ、今回だけ特別だよ」
「主人様がいいならいいですけど」
ミカくんは納得してない顔。
まあ、あげるつもりで渡した金貨だからね。
「それより帰ってご飯にしよう」
「そうですね!フェル、美味しいご飯期待してるからね!」
「み、ミカ、プレッシャーかけないでよぅ…」
「大丈夫だよ、フェルくんのご飯は美味しいから!」
「あ、主人様…えへへ…」
あー、うちの子二人とも可愛い。天使。
ということで二人とお昼ご飯を食べて、シエスタも楽しんで、そして夕方。
「すみません、先程助けてもらった者です!」
おや、本当に来るとは思わなかった。
てっきり逃げるものかと思っていたのに。
「お待たせしました。奴隷になりにきました」
「奴隷にならなくてもいいよ?なかったことにしてあげようか?」
「いえ、お嬢様の病気も癒えましたから…是非とも、お礼として俺を受け取ってください」
「…わかった。じゃあ、奴隷印を押してもらいに行こう」
そしてセラフィムさんのところで奴隷契約を正式に交わして、晴れてイオくん…正式名称イオフィエルくんは私の奴隷になった。
ちなみに手数料で神聖金貨一枚を取られたので、残り四億と三千万と四百万。
イオくんにも客間だったところに住んでもらう。
イオくんは父と背丈が近いので、父の普段着ていた着物を渡した。
とりあえず一度、そんな不潔には見えないもののお風呂に入ってもらってから着物に着替えさせる。
「うん、似合うね」
「ありがとうございます、主人様!」
「これからよろしくね!」
「はい、誠心誠意働きます!」
イオくんはフェルくんとミカくんとも挨拶をして、すぐに打ち解けた。
またまた、我が家は賑やかになったのである。
そういえば、求めていたイケメン奴隷一人ゲットだ。
さすがにこれ以上奴隷は要らないけども。