昔にも転移してきた人はいたらしい
ある日、武士っぽい人が訪ねてきた。
「ええっと、初めまして」
「うむ!初めまして!拙者は隣街の剣道の道場の師範である!」
「あら」
「貴女様はもしや、我が先祖の同郷の者ではないかと思い訪ねてきた次第にて!」
その道場の師範さんの話を聞くに、どうも昔の落武者さんがこの世界に私みたいに転移してきて、この世界に剣道を広めたらしい。
「そうですね、多分時代は全然違うけど同郷の方だと思います」
「ほう!では、我が先祖の故郷のその後をぜひ聞かせて欲しい!」
…天の声さん、どう思いますか?
『いいと思いますよ。その者の先祖はこの地に多くの功績を残しましたから、ご褒美代わりに話してあげてください』
「では、お話致しますね」
そして私は、日本史の授業で習った範囲をできるだけ多く語った。
剣道の道場の師範さんは、それを聞いてうんうん頷いて満足そうに笑った。
「なるほど、我が祖先の祖国はそこまで至りましたか…貴重なお話、ありがとうございました」
「こちらこそ、この地に同胞がいたと知れて良かったです」
「ではまた」
「お気をつけてお帰りくださいね」
師範さんは帰って行った。
いい経験ができたかも。
天の声さん的にも良かったみたいだし。
『ええ、とても良かったですよ』
「ねえねえ主人様、主人様の故郷ってそんなに発展してるんだね!」
「す、すごいです主人様!」
「ふふ、私がすごいんじゃないけどね」
はしゃぐフェルくんとミカくんにクスクス笑う。
「しかし、お前の故郷は面白い土地だな」
「もっと色々聞いてみたいですね」
イオくんとザドくんも興味津々の様子だったので、日本の話をもっと語ってあげることとなった。
高評価、ブックマークなどありがとうございます!とても励みになります!完結まで頑張っていきますので、楽しんでお付き合いいただければ幸いです!




