ザドの心情
俺の主人は、ちょっと危なっかしい。
俺はザドキエル。
凄腕錬金術師としてとある国で王に仕えていたが、ある時同僚に裏切られて罪を被せられ、無罪の俺は奴隷堕ち。
同僚は『俺の悪事を暴いた』として出世したらしいが…まあそれは今更どうでもいい。
とにかく奴隷として売られた俺は、ラダマンテュスの商人に買われて、そして最終的にジョウコという主人に買われた。
この主人がまたすごくて、どうもエウローパ大陸の外からきたお嬢様らしい。
進んだ文明の土地からきたらしく、常識が足りない上にお人よしすぎるところがある。
だが、そんなお人よしなところが…かつて仲間に裏切られた俺には心地いい。
お人よしのそばにはお人よしが集まるのか、奴隷仲間もいい奴ばかりだし。
ただ…お人よしすぎて不安になる時がある。
こいつもいつか、誰かに酷いことをされはしまいかと。
だから、そんな時いつでも守ってやれるように。
俺は、錬金術師として…ジョウコの奴隷として。
できる限りのことを、してやるつもりだ。
日用品の錬成でも、流行病の治療薬の錬成でも。
どんな依頼でも、どんとこいだ。




