国王陛下に謁見
「は…?国王陛下が私を呼んでる?」
「はい…」
「何故?」
「この間の流行病の件で、状態異常回復ポーションを配った功績を讃えるとのことです」
「…いえ、ご遠慮します」
人助けをしたら、面倒なことになってしまった。
天の声さん、人助けしない方が良かったですか?
『いえ、民を助けてくださり貴女様には感謝に絶えません』
なら良かった。
さて。
「ご遠慮されてはこちらが困ります」
王家の使者さんはちょっとだけ強引さんだ。
「…えーっと」
「それは俺も同行していいのか?」
「バラキエル様!」
困っていたら何故かバラキエル様が突然現れて、そこに割って入ってくれた。
今の一瞬でどうやってきたのか。
そもそも何故来てくれたのか。
「バラキエル様。ええ、もちろんです」
「そうか、ならいい。俺がジョウコを王宮に連れて行く。それでいいな」
「はい、では後日お待ちしています」
そして王家の使者さんは帰った。
「あの…バラキエル様…」
「ジョウコ、悪いが後日一緒に来てもらうぞ」
「どうしても…?」
「どうしてもだ。注目を集めた以上、王家の招集に応えなければお前が悪い扱いを受ける。一緒に行ってやるから頑張れ」
「はいぃ…」
ということで王宮に連れて行かれることになった。
当然奴隷たちはお留守番。
怖いよー、助けてー!
そして謁見の日。
「よく来てくれたな、ジョウコ モガミよ。バラキエル、そなたも付き添いご苦労。二人とも顔をあげよ」
「は、はい」
国王陛下は優しい表情で私を見つめる。
「まだ年若いというのに、この度はよくやってくれた。臣民たちを助けてくれたこと、心から感謝している」
「ありがとうございます…!光栄です!」
お願い、もう褒めないで、家に帰して!
そんなつもりじゃなかったの!
「それでな、そなたの人気が今王都で高まっておる」
何故!?
やめて!?
「そなたを王都の教会に、聖女として迎えてはどうかという話があるのだが」
「国王陛下」
やばい話が国王陛下の口から出た途端、バラキエル様が口を挟む。
「僭越ながら、申し上げます。この者は何かと注目を浴びがちですが、本人は引っ込み思案なので注目を受けるのが苦手です」
なぜバラキエル様がそれを知っているんだろう。
そんなにわかりやすいかな、私。
「ですからどうか、聖女認定は思いとどまっていただけませんか。我がエリュシオンにて、責任を持って守りますから」
「ふむ…そうか、それは残念だが…本人にとってそれが良いというなら仕方がないな」
ということで、バラキエル様の援護のおかげで無事聖女認定を回避できた。
「気が向いたらまた王都に来るが良い」
「は、はい!」
「それではな」
「失礼致します!今日はありがとうございました!」
こうして無事に家路につくことができた。
「ただいまー」
「お、おかえりなさい、主人様!」
「おかえり、主人様!」
「無事で何よりです!おかえりなさいませ」
「………おかえり。よし、無事なようだな」
みんなが迎えてくれる。
「じゃあ、バラキエル様。今日はありがとうございました!」
「ああ、今後も何かあれば俺を頼れ。出来る限りのことはしてやる」
「あの、バラキエル様…どうして助けてくれたのですか?」
「……………」
ち、沈黙が長い。
「…この間の祭りの礼、とでも思っていろ」
「は、はい。了解です。本当にありがとうございました!」
こうしてわちゃわちゃした騒動は、なんとか無事に収まった。
でもさっきのバラキエル様の沈黙は…なんなんだろう…。
悪い意味じゃないといいんだけど…怖い。
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