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はじめまして、異世界

新連載始めちゃいました!よろしくお願いします!

私は茂上条子もがみじょうこ。ヒロイン願望ありありの喪女である。


両親の遺した大きめの一軒家に一人で住む天涯孤独なモテない陰キャであり、現在は収集癖と着物趣味を拗らせている。


両親の遺産を食い潰し生きてきたプロヒキニートだが、そろそろ限界が近い。


さあそろそろ現実と相対する時だと、ハロワに行こうとして玄関を開けたら…目の前は異世界だった。


…はぃ?


「な、な、なにこれ…」


呆然とする私を横目に、明らかに現代の日本人じゃない方々がこそこそ話をしている。


「おお、ついにお屋敷のお嬢様が出てきたぞ」


「あの服装…やはりどこかの姫君か?」


「でもどうして魔法を使ってまでこんなところに…?」


違う違う!


魔法使ってない!


どうしてってこっちが聞きたいよ!


「あのー…」


頭を抱えそうになったところで、ファンタジー世界の商人風の…というか絶対商人だろう人が現れた。


「お嬢様、ちょっと折りいってお話がありましてー…どうですかね」


「…うん、詰んだ!」


「え?」


「いえいえ、とりあえず中にどうぞー…」


絶対土地の不法占拠を咎められるやつだこれー!?


とりあえず中に入れたが、商人はキョロキョロしてふむふむと頷いている。


玄関で靴を脱ぐことを教え、代わりにスリッパを出すとこれまたふむふむと頷く商人。


とりあえずリビングに通して、お茶を出した。


「どうぞ」


「これは…?」


「緑茶と言って、発酵させてない茶葉から淹れたお茶ですよ」


「ほう…いただきます。むぅ!?これは美味い!」


商人さんは目を見開く。


「やはり大陸の外から来た方でしたか…海を渡らず魔法で来たのですね?」


「え、あー、まあ」


ある意味それで間違いはないけれど、ちょっとというか大分違う…とはいえ異世界から来たなんて初対面の人に言えないし…。


「それでですね、お話というのが…」


「は、はい…」


「あるにはあるのですが、先に少しばかり商売の話をさせていただいてもよろしいですかな?」


「え、あ…ど、どうぞ」


先に商売の話とは。


きょとんとしつつも聞くことは聞いた。


結論から言うと、服を売って欲しいとのことだった。


なんでもこの商人さんの見立てでは、この着物は絶対流行に乗れる上品質も上等、おまけに生地は他で見たことのない物だからなのだとか。


まだ着てないものがあればそれを、新品がなければたとえ中古でも構わないから売ってくれとのこと。


「…はい、いいですよ」


「おお!ではさっそく」


「新品を出してきますね」


「おお、新品!」


ということで、収集癖の末に買いまくったのに袖を通していない着物を入れた箪笥を片っ端から開けて、とりあえず余らせまくった分の着物の半分を商人さんに渡した。


…コレクションが手元から離れるのは残念だが、背に腹はかえられぬ。


今はとにかくお金が必要だ。


「これは…おお、素晴らしい…」


…現代日本の着物は、異世界だと素晴らしい出来らしい。


「神聖金貨五百枚でどうですかな?」


「あの…こちらでの金貨の種類と価値がわからなくて」


「それでしたらわかりやすくご説明いたします」


商人さんの説明を元に日本円にして換算するところ、銅貨が百円、銀貨が千円、金貨が一万円らしい。


で、神聖金貨は百万円。


…百万円が五百枚…五億?


うぉおおおおおお!?


「ぜひそれで買い取ってください!」


「はい!いやはや良い買い物が出来ました。もちろんもっと高値での転売はして構いませんよね?」


「それが仕事でしょうからどうぞどうぞ!」


「いやぁよかった!それで本題ですが」


商人さんに服を渡して代わりに神聖金貨とやらを五百枚受け取ってから、本題に入った。


「…この国に入る許可証などは」


「持ってません」


「この土地の使用料などは」


「払ってません」


「では当然この領地への移住の許可証も」


首を振ると商人さんは天を仰いだ。


「ですよねぇ、箱入りお嬢様っぽいですしその辺の常識もなくて不思議はないですよねぇ」


「すみません…」


「わかりました。この土地を治める公爵様には、私から上手く計らっていただけるようお願いしましょう。先程良い買い物をさせていただいたお礼として、ということで。公爵様から許しを得たら、この国のこの土地にいる分には問題はありません。身分証も作っていただけるでしょう。あとここの土地代ですが…」


「…ごくり」


「ここは私の持つ土地で、空き地ですから。今なら神聖金貨五十枚でお譲りしましょう」


この商人さんがそういうなら、ぜひともそうさせてもらおう。


「は、はい!ではそれで!」


「では神聖金貨五十枚を」


「はい!」


先程受け取った神聖金貨の山から、五十枚を取り出して渡す。


「ではこちら、土地の所有権の証書です」


「ありがとうございます!」


「いえいえ、こちらこそありがとうございました。ではさっそく公爵様の元へ行ってまいります」


「よろしくお願いします!」


こうして私の異世界ライフは唐突に、そして多分おそらく最高のスタートを切った。

高評価、ブックマークなどいただければとても励みになります!完結まで頑張っていきますので、楽しんでお付き合いいただければ幸いです!

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