退屈な彼女の呪い
中学を卒業して何年経過したのであろうか。しっかり計算して確認しなければ思い出せない。これが彼女と俺の現在の関係性を如実に表している。
今年の梅雨による長雨も終わり、空気が夏の雰囲気を帯び始めている。連日最高気温は30℃を超えている。7月中旬を過ぎたばかりだというのに、世界は真夏である。社会人らしき男性はジャケットを腕にかけネクタイを緩めながら歩き、学生たちはアイス片手に友達と賑やかそうに走り去る。そんな季節の中、暑苦しい喪服姿で炎天下を歩く。
「ただいま」
「あら、思ったより早く帰ってきたのね。どうだった?」
「どうだったと言われても・・・中学時代から全く会ってないからな・・・」
リビングのダイニングに座って母と談笑をする。今日俺は中学生時代の知り合いの葬式に参列してきた。そんなに大きな葬式ではなかったが、細かいところに気の配られた気品ある葬儀という印象だった。
ことの発端は今月の上旬である。梅雨でじめじめとした陰気な空気の中、今いる実家から電話がかかってきた。電話の内容は、俺宛に葬式の招待状が届いているということだった。亡くなった人の名前を聞いた時は正直参加を断ろうとも思ったが、両親から参加を促され今日にいたる。
「それにしても、不思議だよな。中学時代の元カレに葬式の招待状を送って、今いる友人には招待状すら送っていないなんて」
「そうだったの?」
「らしいよ。俺と年齢の近い参列者がほぼいなかったから、向こうの親族に聞いてみたらそもそも招待状を出していないって言ってた。まぁ本人の意向だったらしいけど」
「・・・」
母がなぜか深刻そうな顔をした後、納戸に行き、白い大きな箱を持ってきた。サイズとしてはA4コピー用紙が二枚平置きできそうなサイズ感である。
「なにそれ?」
「お母さんにもわからない」
「は?よくわからない箱を実の息子に渡すなよ」
「大丈夫、私は見てないけど、お父さんは確認してるから。アンタに渡すように頼まれてたの。一応自分の部屋で確認してきなさい」
そう言われたので俺は箱を持ち、自室のある二階に向かう。自室と言っても元自室である。現在は絶賛物置部屋になっているらしい。
今年の4月に俺は実家を出ている。大学進学にあたり県外に引っ越したのである。その影響なのか、地元とはかなり疎遠になっている。何なら引っ越してから両親と会話したのは、電話越しに葬式の連絡を受けたのと、今のダイニングでの会話だけである。中学時代の彼女などもっと疎遠である。
彼女とはよく考えたら不思議な縁があった。昔の俺はとにかく本が好きで時間があればずっと読んでいた。そんな奴が教室に二人いた。俺と彼女だ。もちろん放課後も部活があるが、そんな二人が在籍しているのはもちろん文芸部である。活動は週に一回である。そんな似た者同士の二人・・・となるのが普通なのだが、彼女は違った。成績優秀、容姿鍛錬、運動神経抜群、そして人当たりも良い、完全無欠の超人であった。俺とは人間としての格が違った。少し古い表現かもしれないが、クラスのマドンナ的存在であった。一方俺はできないわけではないがすべてが平凡である。学力だけは少し高いが、彼女には劣る、完全な下位互換な人間である。だから最初に声をかけられた時には驚いた。いつ声をかけられたかは覚えていないが、きっかけは覚えている。自作の小説を書いているときに声をかけられた。
「オリジナルで小説を書いてるの?」
興味本位なのか、本を読み終えた合間に暇つぶしで声をかけたのか、真意はもうわからないが、そこから二人の関係は始まりそしていつのまにか終わったのである。
自室はストーブやらコタツのかけ布団などの冬用品でいっぱいになっていた。それらを動かしてスペースを作る。冬用品に電源が入っているわけではないのに部屋がやたら暑い。物の多さとエアコンが動いてないのが原因だろうと思い、エアコンを冷房で稼働させる。物を動かしできたスペースに座る。フローリング張の床はとても生ぬるかった。
渡された箱を少し観察する。何回も開け閉めをしたのか箱は少し歪んでいる。直方体のごく一般的な白い箱である。美術室に写生用で置いてありそうな箱だ。とりあえず開けなければ話は進まない。意を決して恐る恐る箱を開ける。
「・・・そういうことか。・・・うん、わかった」
俺は箱を開けて上から覗いて少し時間はかかったが箱の中身の正体と、ここにある理由がなんとなくわかった。入っていたものはなんの価値もないただの紙束である。そして、その紙束の作者は間違いなく俺だ。理由は簡単で、一番上の紙束には俺の名前と俺の書いた物語の題名が書いてあった。
「持ち主に返却しておこうってことか・・・」
少し黄ばんでいる紙束を箱から出す。紙の種類は様々で、原稿用紙もあれば無地のコピー用紙も入ってる。書いてある文字の筆跡だけが同じである。ボールペンで書き殴っている雑な文字には今はもう無くしてしまった熱量を感じる事ができる。紙束は作品毎に紐で閉じられている。上から一束手に取る。題名なのか「ピタゴラス」と無地の紙に太めのサインペンで書いてある。当時の年齢を考えるとピタゴラスの定理を数学で習った頃である。語感がかっこいいと思い、人の名前と知らずに使った可能性がある。ただこの作品は自分が初めて最後まで書き切った物語であり、そして、彼女が俺に初めて声をかけた時書いていた物語でもある。
「よく残っていたな」
しみじみと言う。優等生は物持ちが良いことが多いイメージはあるが、これには脱帽物ではある。ペラペラ紙束を捲る。中にはびっしり文字が書いてあった。自分の繋げ字の黒ボールペンに混ざって、赤ペンが所々入っている。楷書で書いてあり読みやすいシステマチックな文字である。明らかに俺の文字ではないことから、彼女の添削であることに気がつく。
彼女と俺は確かに付き合っていた。だが、どちらかというと、関係性は作家と編集者のような関係性だった。「オリジナルで小説を書いているの?」そう声をかけられた俺は「書いてるよ。学校一番の優等生さんも俺を笑いに来たのかな?」と、触れるもの全て傷つけていきますと言わんばかりの返答をしていた。誠に恥ずかしい限りである。ただ彼女の目的は違ったらしい。
「書いている文章読ませてもらえない?」
「え?なんで?」
反射で疑問の言葉が飛び出る。続け様に俺は言う。
「いやいや、学校には図書館というものがあるだろ。そこに行けば大量に本があるから、そっちを読んだ方が有益じゃないかな?」
「はぁ~」
大きなため息をつかれた。面倒くさいと言わんばかりの顔で彼女は語り始める。
「図書室にある本は飽きたの。あんな代り映えしない本がただただ並べられてる空間に面白みの欠片もないわ。だから、身近に書いてる人間が居るから試しに読んでみたいなというあたりまえの行動よ」
俺は言葉を失った。学校一番の優等生はどうやら退屈らしい。やろうと思えば全てできてしまう彼女にはこの世の中は退屈なのだろう。ただ、図書室という空間が面白みに欠けるという意見には同意できると思い、今書いてる原稿と合わせて、学校指定の鞄から紙束を取り出し渡す。
「ありがとう。読ませてもらうね」
そう言って彼女は微笑み元の席に戻るのかと思うと、荷物を持って隣の席に来た。
「あのーなんでわざわざ隣に来たのでしょうか?」
謎の緊張感に襲われてるせいで敬語でカタコトの質問を繰り出してしまった。
「なんでって、内容について聞くなら作者に直接聞くのが一番正確でしょ?読みながら不明点が出ればすぐ聞くから君はいつも通り書いていて」
当たり前でしょ?という顔で彼女は言い放ち、自分の書いた原稿を黙々と読み始めた。ペラペラと紙のめくる音がやけに耳に反響する。自分の作品を目の前で読まれるのというのは、こんなにも緊張するのかと思い知らされた。こんな思いをするなら渡さなければよかったと思っていたのを覚えている。結局彼女が読み終わるまで俺は一文字も書けなかった。
「ねぇ、この物語自体は完成しているの?」
「まだ完成はしてない。書き上がったばっかりで、添削とか内容の確認は一切していないから」
「なるほどね・・・少しこの原稿借りても良い?」
「別に良いけど、ちゃんと返してくださいね」
「わかった、それは約束する」
彼女はクリアファイルに原稿を丁寧に入れ、気遣いなのかファイルの表裏を今日配られたプリントの裏紙で隠し文章自体を隠してくれていた。
数分後、少し厚みの増したファイルと赤のボールペンを持って教室に戻ってきた。また俺の隣の席に座り、ファイルから原稿を出して俺に渡してきた。
「はい、これ」
「あ、どうも」
まさか本当に帰ってくるとは。半ば帰ってこないだろうなと諦めていたのに・・・原稿の違和感に気づく。この原稿、原本ではなくコピーだ。さらに紙をめくっていくと赤ペンが入っていた。
「これ、何?」
「修正箇所と、修正案」
「簡潔明瞭なお答えありがとうございます。ただ、今聞きたいのは赤ペンの内容ではなく、赤ペンを入れてきた理由と、なぜコピーなのかを聞きたいのですが?」
彼女は顔がきょとんとしたあと、理解できた!と言わんばかりの表情をした。もしかして学校一番の優等生は天然なのかもしれない。
「君がその文章の添削を一切してないから、物語の整合性や登場人物の一人称、語尾の表現、文末の表現に違和感あったから直してきただけよ。そして、原本に赤ペン入れるのは気が引けたからコピーを取ってきたの。以上」
「いや、素人の文章にそこまでしなくても・・・」
「物語の面白さにプロとかアマチュアは関係しないわよ。その物語を読んで、色々お粗末な部分はあれど大筋のストーリーを私が面白いと思った。そしてその小説の完成版が早くみたいと思った。だから添削の手伝いをしたそれだけ。これで大丈夫?」
言葉を失う。唖然としている俺なんて気にしてないかのように、彼女は帰りの支度を始る。
「じゃあ、ここ数日中に修正箇所直して持ってきて。また確認してあげる」
彼女はにっこり笑顔でそういうとスタスタ帰っていった。彼女の満面の笑みを見たのはこれが初めてだった。
あの日から俺達は毎日放課後の教室で、物語をあーでもないこーでもないと、試行錯誤をする日々を過ごした。その日々の中で何個か作品も完成した。そして、いつの間にか二人は付き合っていたし、周りも当然かのように受け入れていた。当人である俺もそれが当たり前になっていた。そういう日常が永遠に続くかのように思い始めた頃、非日常が襲いくるっていうのは、よくあるの話である。
「高校受験どうするの?」
いつも通りの放課後の空間に彼女の一言が投げかけられる。作者と編集者の関係が急にただの受験前の中学生の関係に戻る。
「え、どうするって・・・言われても、まだ夏も終わったばかりじゃん」
「確かにそうね」
彼女は赤く染まった夕日を見ている。空の赤色が目に映り込み、瞳が燃えているようだった。
「私、今日は帰るね」
「一緒に帰る?」
「いや、大丈夫。今書いてるのいいところでしょ?」
「まぁそうだけど・・・」
「なら、書き切ってね。また、会おうね」
そう言うと彼女は早足に帰って行った。不思議な胸騒ぎがしたが、その胸騒ぎに蓋をして俺はみなかった事にした。
次の日、彼女は学校を休んだ。最初は珍しいこともあるなと深く受け止めていなかった。その次の日もまた次の日も彼女は来なかった。不安になり連絡を取ろうとしたが、彼女の親が電話越しに「今は電話に出たくないそうだ」と申し訳なさそうに伝えられ、電話は切れてしまった。そんな風に早々と時間が過ぎて行く。いつの間にか受験が終わり、高校の入学式が終わった。中学の彼女が思い出になった頃、俺は大学受験に向けて勉強をし、無事合格そして今に至る。今の俺はもう随分と小説を書いていない。大学は理系学科に進んだのである。高校の途中までは、どこかの文学部が良いなと思い勉強をしていたが、案外俺は優秀だったらしい。先生達の後押しもあり、理系に進むことになった。その結果小説を書いている暇がなくなり、今はもう書いていない。
彼女と俺の関係性はこんなところである。一言では言い難い関係である。彼女とは中学のあの会話以来一回も話してない。本当に何があったのかは知らない。親族に聞くわけにもいかず、そそくさと葬儀場から帰路に着いたことを後悔する。色々な思い出を振り返りながら箱の中の紙束を出していく。思っていたより量が多い。そして何部かはコピーである。確かに原本は一部俺が持っているがコピーを取り、添削しながら読んでいたのであろう。様々なメモ書きが所々にある。そして箱の一番底が見えた。冬物を動かしできたスペースは既に紙束で埋まりかけている。壮観な量の作品を眺め箱の中身をもう一度覗く。そこには箱の底には俺の知らない真っ白な日焼けのしてない封筒が入っていた。途中で箱の底に見知らぬ封筒があったのは気がついていた。ただ、開ける覚悟がなくだらだら箱の中身を展開していた。箱の中身を全て展開した今覚悟を決めて封筒を手に取る。中には便箋が何枚か入っている。便箋には楷書で読みやすいシステマチックな文字が並んでいた。誰が書いた手紙なのかは明白である。
拝啓、桜の木は緑色に変わり、紫陽花が美しく色づく季節になりました。長い間連絡もせず、葬儀の招待状と手紙一通残して逝く事をお許しください。
この手紙を読んでいるということは、君は私の葬儀に、ちゃんと参列したのだと思います。君のことなので晩年の私はどういう風に過ごしていたのだとか、何故急に学校に来なくなったのか、色々聞きたいことはあれども聞かずにさっさと帰宅したことでしょう。君はそういうドライな人間だということは知っています。そして私はそんな君が未だに好きなのでしょう。なので、君の疑問に答えるべく事前に手紙を書いています。
時系列順に書いていきます。まずは中学生の頃、私は急に不登校になったように見えたと思います。君からもそういう風に見えていたと思います。しかし君の事なので薄々勘付いているとは思いますが、私はあの学校という空間がとてもとても退屈でした。暇な授業に、煩わしい友人関係全てが嫌でした。そろそろ学校来るの辞めようかなと思っていたとこで、放課後の机で難しそうな顔をして文章を書いている君に気づきました。本を読み終わり暇つぶしで声をかけました。でも、君は興味を惹かれるくらい必死に原稿用紙に向き合っていたんですよ。その日から私は少し学校に行くのが楽しみになっていました。放課後のあのやり取りがとても楽しかったのでしょう。それと同時に少し劣等感を感じていたのだと思います。ただ物語と時間を消費していく自分と、必死に原稿用紙と向き合い物語を創り出す君を比べて。その結果があの不登校です。最後の心の拠り所も私はあの時捨ててしまったのでしょう。偶然にも当時の私は学力と登校日数に余裕があったので、高校には進めました。このまま似たような毎日を過ごしていくのだろうかと思っていました。しかし、私の人生の終わりは案外早く決定してしまいました。
高校2年生の冬に私は白血病だとわかりました。お医者さんは十代がなりやすい血液の癌だと哀れみを込めて言ってるようでした。更に検査をすると体の様々な臓器に転移があるそうでした。一応私も死にたくないので、すぐに高校は休学して治療をするため入院しました。それからは一瞬良くなって退院するもまた入院そんな事を繰り返して今になります。結果は君の知っての通りです。
なので、私は最後に心残りを残さないよう今やりたい事を色々しています。まず手始めに中学時代の教科書を破り捨て燃やしてみました。案外スッキリするので君もストレスをため込んだときは試してみてください。高校の教科書はほぼ新品なので、高校近くの古本屋に売り飛ばしました。僅かですがお金になったことに驚きましたが、使う予定も時間もないので帰り際寄ったコンビニで全額寄付してきました。身辺整理とも取れる心残りの片付けをしていたら、君の小説を見つけました。朝に見つけ懐かしく思い、休み休み読み返していたら夕方になっていました。やはり私は君の書く物語が好きです。これをもう読めなくなると思うと残念です。しかし、このまま私が持っていてはもしかしたら火葬の時に燃やされる可能性まであるので、燃やされないように、君にまとめて返却しておきます。以上が私の人生です。面白みの欠片もない人生ですが、君とのあの放課後だけは私の中で大切な宝物としてしまっています。
ここからは、君にとって呪いのようなものになるでしょう。引き返すならここです。ただ、私は君の創る物語の自称ファン第一号として伝えたいのです。君の中にある世界はとても素晴らしいのだと。輪廻転生なんて信じていないのですが、生まれ変わった先で君の作品を見れる可能性がゼロではないと思うと信じてみたくもなります。書いてください。私がこの世界のどこに生まれ変わっても君の文章が私の目に、耳に、届くように、その名を轟かせてください。死に逝く私が言うのも変ですが、待っています。またどこかでお会いしましょう。
早々不一
自称ファン第一号より
不思議と涙は出なかった。人生で初めて出来た彼女兼編集者兼自称ファン第1号からのファンレターである。泣いては失礼である。一部ずつ丁寧に紙束を箱に入れていく。頭の中で様々な想いや言葉が水泡のように浮かんでは消えていく。ただどの想いも、言葉も的確にこの感情を表してはいない。最後に便箋を封筒に戻し、箱に入れてリビングのある1階に戻る。父が椅子に座り麦茶を飲んでいた。どうやらかなり長い時間部屋にいたらしい。キッチンを見ると夕飯も終わったようだった。父の正面の椅子に座る。
「夕飯終わったのに晩酌しないなんて、気を使わせたみたいだね」
「自分の息子にあんな物残されたんだ、呑気に酒を飲めるような人間ではない」
「それもそうか・・・親父はどこまで知っていたの?というか、聞いていたの?」
「あそこに書いてあること以外知らん。ただ、あの子が直接ウチに持ってきて、自分の葬式の後にお前に渡すように頼まれた。事前に確認して渡すべきでないと判断したら処分でも構わないと言っていたが、俺は渡すべきと判断して今日、母さんに渡してもらった」
「そう・・・」
長い長い沈黙・・・何を言うか考える沈黙ではない。もう言うことは決まっている。あとは勇気と覚悟だ。そっと白い箱に手を乗せる。何回も開けたり閉めたりしたのだろう、歪で不格好なただの直方体の箱である。ここには俺の心に火を灯すありったけの呪いが込められている。
「親父・・・今の大学に入れて後悔はしてない。むしろ高い入学金と授業料払ってくれて感謝している。けどやらなきゃいけないことが別に出来たんだ」
「・・・だろうな」
「理解が早くて助かるよ」
「こんなところで、悩む男に育てたつもりはないからな」
「ありがとう」
会話はこれで終わった。
俺の物語はようやく動き出している。昔みたいに原稿用紙に熱のある文字をボールペンで書き殴っているわけではないけど、ひたすら物語を書いている。彼女に失望されないように、そして生まれ変わった彼女を退屈させないために。少なくとも図書室が彼女にとって面白みのある空間になるように願って。