第90話 恭平と未空
「久しぶりだな。」
ドアを開けるとそこには恭平がいた。
「おい、約束は10時だろ?今何時だと思ってるんだよ。」
「9時だな。早いけどいいかなーって思って。」
「俺がどんな人間か知ってるだろ?」
「まぁ、知ってるけど、寝起きは機嫌が悪いじゃん?ならギリギリに起きたお前の相手するよりお前を叩き起こした方がいいかなーと思ってな。ほれ。」
そういってエナジードリンクを手渡してくる。昨日解散したのは結局2時を過ぎていたし一応気にはかけてくれてるんだろう。
「ありがと。それでなんで早くきたんだ?さっきのが本当の理由ってわけじゃないだろ?」
「まぁな。とりあえず上がっていいか?」
「いいよ。今日誰もいないし。」
「だからおばさん出てこなかったのか。」
「母さんも今日は出かけるっていってたよ。どこ行ったのかは知らないけど。」
「そうか。それじゃ、さっき聞いてきた理由についてだけど。」
「あぁ。どうしたんだ?」
「要件は2つだな。どっちから聞きたい?」
「内容わからないのにどっちも何もないだろ。」
「それは確かにそうだな。それじゃユーオン関連かファザオン関連か。どっちがいい?」
「ユーオン関連で何かある?ファザオンの方は予想してたけど。」
「あぁ。両方あるぞー。」
恭平は勝手に冷蔵庫からピッチャーを取って律儀に2人分麦茶を注いで、手渡してきた。
「ありがと。それじゃ予想もついてるしファザオンからにしようかな。」
「オッケー。それじゃ早速本題だが、お前は昨日あのあとファザオンに呼び出されたか?」
「やっぱりその件だよな。呼び出されたよ。遅い時間に申し訳ない。できるだけ早く返信をってことだったから夜中にっていって向こうを呼び出したよ。」
「やっぱりか。俺も同じなんだよな。あの直後か?」
「そうだけどなんで?」
「俺も同じ時間に呼び出されたんだよ。明日に約束してるけど。」
「そうなんだ。キキョウには別で伝えるっていってたし、聞かなくていいと思う。たいしたことでもなかったし。」
「そうなのか?」
「前にイベントの依頼来てただろ?あの確認とか詳細を聞いただけ。」
「そうなのか。それじゃいいや。」
「それで、もう一つの要件っていうのは?」
「そうだ。お前俺と2人きりの時にも喋り方変えなかっただろ?それがちょっと気になったってだけ。」
「それは俺もアウトしてすぐそれに気づいたよ。まぁ、盗み聞きされててもいけないしな。それにしても無自覚だったのが自分でも怖いけど。」
「それだけなれたってことだろ?いいことだとは思うけど、リアルの方では気をつけろよ。」
「まぁ、最悪この顔に声だし、大丈夫でしょ。学校では気をつけるけど。」
「そうだな。学校では気をつけた方がいいだろうな。なんなら見るなたちの挙式には女子として行った方がいいんじゃないか?」
「ちょっとそれも考えてるんだよね。」
「マジかよ。冗談で言ったつもりだったんだけど。」
「だって、普段女子として振る舞ってるんだし、女子として行った方が良さそうじゃん。」
「まぁ、わからなくはないけど、服装はどうするんだ?」
「まぁ、まだ時間あるしどうしようか悩んではいるんだけど、おいおい考えるよ。」
「そっか。まぁ、お前のやりたいようにやればいいんじゃないか。」
「正直俺は男女とかあんまり気にしないしな。」
「お前って男っていうよりか中性って感じだしな。」
「確かにそうだな。まぁ、好きなようにしな。もしそうしたいなら言えば女子プロプレイヤーとして加入することもできるだろうし。」
「そうなんだ。まぁ、またゆっくり考えるよ。とりあえず宿題やろ?」




