第73話 眼の鍛錬
地龍ガイアとの回想戦闘。地龍ガイアの基礎スペックは魔法物理攻撃に対する高耐性、広範囲攻撃、スキル{不壊}を貫通する何かしらのスキル、弱点は状態異常といった感じだ。回想機能では俺の完全なステータスを解放できるから、正直負ける気はしない。。ただ、それでも物理攻撃の威力はだいぶ抑えられてしまうかrさ、状態上で倒すのが一番速い。
今回の目的はプレイヤースキルの向上だ。桔梗が言っていたことが確かなら、最大のAGIで動けば動くほど目が慣れて動きが良くなるはずだ。
相手の攻撃手段がわかっているとばいえ、相手の行動はランダムだ。練習にはなるはず。
回想機能を起動し、地龍ガイアと対峙する。久々だな。これまでは毒でしか倒してこなかったけれど、今日は状態異常に頼らずに倒して見せる。
俺の持つ剣には状態異常付与のものがある上に、ファザオンでは人型で戦うことになるので、今回は人型になり、パンドラの双剣を装備する。不意打ちに即死効果が確率で付与されるが、今回は不意打ちをすることはないので、自力で倒すしかない。
早速地龍ガイアの攻撃だ。初撃から剣山大地か。こいつが使う場合のスキル名が{大地の覇者}なのかはわからんが、これ本当に厄介なスキルだよな。だが、今の俺には関係ない
俺は剣山大地が出現する直前を見計らって特大ジャンプ、そのままガイアに接近して攻撃を喰らわせる。
全力の攻撃なはずなのにびくともしないな。流石の防御力だ。サンドバッグになってもらうにはこれくらいがちょうどいい。
それからひたすらに回避からのカウンターを繰り返し、1時間ほどが経過。ようやくHPの9割を削った。
やっと終われそうだな。次の攻撃で1割削り切って見せる。
ユーオンでは物理法則が一部無効化されている。慣性はほぼ完全に無効化されていて、AGIが高いプレイヤーもそのおかげで戦えている。ファザオンでは慣性はかなり現実に近い。ただ、筋肉の力が現実離れしているため、反応さえできれば無理やり自分の体を止めてしまうことができる。ただ、感性による運動エネルギーはどちらのゲームでも無効化されているわけではない。ファザオンでハルトが吹き飛んだのもそれが原因だ。ではどうするべきか。
俺の答えは、最高速度で助走をつけて、剣をぶち込む。これで、剣による攻撃に運動エネルギーが乗るとともに、突進もできる。突進の運動エネルギーもダメージとして換算されるはずだ。
では、なぜこれまでやらなかったのか。それは隙があまりにも大きいからだ。相手の懐に潜り込んだ上で攻撃を叩き込む。最高速度で接近しているとはいえ、相手に運動エネルギーを押し付ける以上、すぐに下がることはできない。つまり、相手が耐えればカウンターを許してしまう。これはあくまでもユーオンだからではあるが、大きな弱点でもある。
いま、ガイアは{大地の覇者}発動直後、すなわち、一瞬攻撃の隙ができる。俺は高速で移動を開始、すぐに最高速度に到達し、ガイアの目が速度に追いつかず、俺の位置を捕捉できていないうちに背中側から攻撃を叩き込む。
腹の方が皮膚が柔らかく、ダメージの通りはいいのだが、万が一のカウンターに備えて背中だ。
ただ、そんな心配は杞憂だったようで、ガイアはそのまま消滅した。なんとか倒せたけど、これはきついな。ただ、その分鍛錬にはなった。超高速戦における眼の慣らし、長時間敵の攻撃を避け続ける集中力、そしてそれだけの時間眼を休ませずに使う持久力。どれも一級品の賜物だ。これは1回でも十分に効果を感じられるな。なんせ1回1時間ぶっ通しでの戦闘だ。そもそも疲弊するし、連続ではきついな。数分間の回避くらいなら休まずともいくらでも連続でできるから状態異常ありなら楽なんだけどな。




