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ユートピアオンライン~ミミックのアバターを強制された俺はなんだかんだでゲームライフを謳歌する~  作者: 雲英侑李
第2章 ファイト・ザ・オンライン

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第71話 ハルト

キキョウに連れられてきたのは初回ログインの際に来た町のはずれにある、一つの小屋だった。家というほど大きくもないし、作業小屋といった感じの外観だ。


「今から紹介するやつはだいたいここにこもってるから、何かあったらここに来るといいよ。今回の大会には参加しないらしいから調整にはいくらでも付き合わせて大丈夫だと思うぞ。あいつはこのゲーム好きな割になぜか決闘を自分から挑むことはしない変人だから。」


「わかった。なんて伝えてある?」


「俺の友人連れて行っていいかとしかいってない。好きな方で振る舞えばいいんじゃないか?」


「じゃあこのまま行くね。」


「了解。それじゃ入るぞ。」


そういってノックもせずに中に入って行った。慌てて跡を追うと、中には一人の男性がいた。アバターは筋骨隆々といった感じだ。


「お前か、キキョウが一目置いているのは。今回のファザオンカップ出るんだろ?」


「はい。パンドラと言います。」


「パンドラか。俺はハルトだ。よろしくな。」


「よろしくお願いします。」


ゲーム内とは言え、女性アバターで面識のないプレイヤーと喋るのは久々なので緊張する。


「そんなに堅苦しくなるな。とりあえずそこに座りな。茶でも飲みながら話そうや。」


いつの間にはお茶が入れられている。


「ハルト、さっそくだが、俺はこいつを優勝させたい。ただ、ある事情でこいつと俺は戦えないから、こいつの調整相手になって欲しいんだ。」


「大体の話は掴めた。確かに今回のファザオンの優勝者はレジェンドプレイヤーとのエキシビションマッチの権利を得られるもんな。」


「まぁ、そういうことだ。元はユーオンで一緒にプレイしていたんだが、俺の希望で少し無理を言ってきてもらった。」


「パンドラはそれでいいのか?」


「キキョウは昔からこうなったら聞かないからね。それに私もファザオンには興味あったし。」


「そうか。話はわかった。ただ、一つ確認しておきたいことがある。パンドラはどれだけゲームができる?このゲームはそんなに甘いもんじゃないぞ。」


「フルダイブVRはユーオンしかやったことないけど、ユーオンでは最強だよ。あと、キキョウが無理に連れてきた時点である程度わかってるんじゃない?」


「なるほど。キキョウが推薦するわけだ。別ゲーの最強格、それに加えてプロの器を感じる。こっちの発言の意図を瞬時に理解して正確な返答をする。すごいなお前。」


「やっぱりあなたも相当なゲーマーですね。プロではないですが、限りなくプロに近いアマチュアって感じですかね。」


「まぁ、正解だ。実力的にはプロクラスなんだろうがな。どこからも声がかからないし、俺自身どこかのチームに所属したりはしたくないしな。」


「そうなんですか。それでは1回お手合わせお願いしてもいいですか?」


「いいぜ。俺はスキルを使わない戦闘スタイルだがいいか?」


「もちろんです。」


俺たち3人は表に出て、決闘をスタートした。近くにいたプレイヤーたちが開始前から集まってくる。やっぱりハルトもそれなりに有名なプレイヤーなんだろう。


『決闘 パンドラVSハルト 3・2・1・・・スタート!!!』


ハルトが距離を詰めてくる。スピードの数値は50といったところか。標準が50らしいから、基本的にはそうしているプレイヤーが多いんだろうな。一旦60にしておいたからこっちの方が動くスピードは早いはずだ。はるのが大きくふりがぶって殴りつける。それを回避、それと同時に速度感覚を掴む。

大体50~60くらいがリアルでの人の動きの範囲って感じだな。60が世界レベルの陸上の100mとかのスピードって感じだろう。リアルだと体がついていかないだろうが、ゲーム内なら遅く感じるくらいだ。このゲームのスピードの最大値は250らしいし、とりあえず100くらいまで上げてみようか。

一旦エリアの端まで寄ってメニューを開く。すぐにハルトが距離を詰めるが、少し距離をとっていたのでスピード設定の変更くらい間に合う。

ハルトの攻撃に反応して、回避する。

おっと、危うく、エリア外に出てしまうところだった。おおよそ時速80kmくらいと言ったところだろうか?高速道路の自動車ほどではないが、通常の道を走るよりは早く感じた。


「なんだ今の!?」

 

「まさかスピード値を60以上に上げたのか!?」


「そんなバカな!人間の反応できる速度じゃないだろ。まさかキキョウか?あいつは90まで対応して見せたんだろ?」


「流石に違うだろ。アバター女だし。」


「さすがキキョウの推薦だな。あとで詳細を話すが、スピード値は1あたり現実の時速1kmに相当する。今のお前のは一体どれだけなのか俺にもわからないのだが。」


あれ?俺の感覚と全く違うな。まさかユーオンで高速移動しすぎてゲーム内での感覚がバグったのか?


「そうなんだ。ユーオンで感覚がバグってるのかも。ちなみに今のはスピード値100だよ。ユーオンではもっと早く動いていたからね。向こうはシステムサポートあったとは言えまだまだ対応できるよ。」


時速60kmを超えて対応しきれないというのはなんとなく納得できる。そもそものエリアが狭いからあまり速くするとすぐに外に出てしまう。時速100kmともなると本来1秒あたり27m進むはずだ。エリアは半径10mくらいしかないから中心からなら0.5秒もしないうちに外に出てしまう。ユーオンでの反応速度なんてもっと速いものだろうけど、あくまでもそれはサポートを受けてのものなはずだ。もしかしてサポートを受けていたとは言え、以上な速さで動き続けていたことで脳がなれた的な感じなのかな?

わからないけれど、もうちょっと速く動けそうな気がする。それに時速100kmって実際人間が素手出したら化け物な速度だしね。


「それじゃ終わらせますね。」


俺はハルトに最高速度で接近、そのまま殴り飛ばす。

ファイト・ザ・オンラインは格闘ゲームだ。ユーオンとは違って物理法則の無視はできないはずだ。それどころか現実に相当近い形で再現されていると聞いている。

つまり・・・!

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