第59話 3人の新メンバー
「本当にあの中にあるのですか?」
ハンスが尋ねてくる。心なしか声が震えている気がする。
「もしかして洞窟苦手?」
「はい。以前リアルの方でトラウマになる出来事があり。」
「そっかー。まぁ、そんな怖いところでもないし、最深部まで行かなければ外の光も差し込んでいるから大丈夫だと思うよ。」
「頑張ります。」
「洞窟とかダンジョンに行くこともあると思うからちょっとずつでいいから慣れてね。」
「ハンスは情けないなー。私たちならこのくらい余裕だよ!」
「お姉ちゃん、人それぞれ苦手なことはあるんだから責めちゃダメだよ。お姉ちゃんだって勉強苦手でしょ。」
「そうだけど」
「そうだよユイユイ。みんな仲良く、苦手なことを支え合って楽しくプレイしないと。」
「うん。ハンスごめんなさい。」
「私は大丈夫ですから。それにユイユイちゃんくらい元気なほうがいですよ。」
「それもそうだね。そしたら行こうか。キキョウと他の3人も待ってるだろうし。」
俺たち4人はディクティオン内部に入った。しばらくはハンスがビビっていたけれど、しばらくして慣れたのかこれまでの道とほぼ同じテンションで進んで行った。10分ほどでギルドホームまで到着した。
「やっときたか。パンドラ、遅いよー。」
到着早々キキョウが文句を言ってくる。
「予定の時間より少し早いくらいじゃん。」
「それもそうか。」
「それじゃ改めまして、3人ともようこそ、ギルド『パンドラの箱』へ。これからよろしくね。」
「これはすごいですね。洞窟の中とは思えないほどに快適です。」
ハンスは感心し、子供2人は目をキラキラさせてキョロキョロしている。
「とりあえずギルドの登録は今済ませたから自己紹介かな?」
「そうだな。まずはこっちのメンバーからだな。俺は初対面じゃないが改めて、キキョウだ。くる途中でパンドラから色々聞いてるとは思うが、まぁ、ほぼそれであってる。パンドラとはリア友だからパンドラと一緒にいることが多いと思う。よろしくな。」
えらくキキョウがでしゃばるな。まぁ、いいか。って言うかここまで残りの3人空気すぎだろ。
「次は俺か?俺はゲルマ、パンドラ、キキョウとはリアルの方でも繋がりがある。急にこいつらが俺のこと呼んで困惑してもいけないから言うと、こいつらの学校の先生だ。こいつらからは先生って呼ばれることも多いから、その時は俺だと認識してくれ。レベルは99だが、たぶん3人の誰にも勝てない。DEXに全てを振った生産専門の人間だ。欲しい武器とか装備があったら遠慮なく俺に言ってくれ。」
先に言ってくれて助かるね。いちいち反応されても面倒だとは思ってたけど。
「じゃあ、次は俺たちだな。俺はヴァル。こっちにいるミルナとは恋人関係だ。パンドラと同じで速度特化のステータス構成だ。基本的には高速で移動しての戦いが得意だ。」
「私はミルナ。さっきヴァルくんも言ってたけど、ヴァルくんの恋人。基本的にはヴァルくんと一緒のことが多いかな。攻撃魔法が使えるよ。レベルもキキョウくんに手伝ってもらってなんとか99までいったところだよ。」
「そして私がギルドマスターのパンドラ。ユニークプレイヤーだけど、ステータス自体は他の99レベルのプレイヤーと同じかな。ただ、イベントとか、ユニーク絡みの戦闘をしてる時だけ本来のステータスが解放されることがあるかな。あと、今は1日5分だけだけど、本来のステータスを解放できるよ。本来の姿は人型だからどっちの姿も覚えてね。人型は今度見せるね。」
「それでは次は私。ハンスと申します。敬語に関してはクセの様なものなのでお気になさらず。職業は僧侶、現時点では回復魔法と支援魔法を使用できます。浄化系の魔法の使える様になりたいとは思っています。」
「次は私ね。私はユイユイ、火属性の魔法が得意なウィザードよ!よろしくね。」
「僕はレントルです。ユイユイの弟で風魔法と弓を使います。一般的にこのゲームでは風の弓使いと言われている職業にあたります。姉が何かとご迷惑をおかけするかもしれませんがよろしくお願いします。」
「迷惑かけるくらいがちょうどいいんだよ。みんなで強くなっていこうね。」
レントルは定期的に様子を見ておかないとな。姉のしでかしたことを一人で背負い混んだりしそうだ。
「じゃあ、自己紹介も終わったことだし、一旦お茶しながら次のイベントについて話そうかな。」




