第57話 パンドラの光剣
「2人ともお疲れ。どうだった?何人かは見つかったか?」
ギルドに帰るとゲルマがいた。
「先生。お疲れ様です。一応3人はフレ登録できましたよ。」
「先生呼びはやめてくれ。それに敬語禁止って言い出したのはお前の方だぞ。」
「分かったよ、先生。」
「分かってないじゃないか!それで、見つかった3人って言うのは?」
「ヒーラーと、アーチャー、ウィザードだね。アーチャーとウィザードの方は特にゲーム慣れしてなさそうな感じだったし、色々大変かもだけど。それに多分小学生じゃないかな?」
「そうか。まぁ、レベル上げとかマップの案内は俺以外のメンバーだし、俺は装備とかアイテムを作るだけだな。」
「そうだね。先生はそうなるかな。レベル上げ効率のためにも私の武器早めに仕上げれる?」
「もともと明日には10本完成予定だから大丈夫だぞ。あ、キキョウのはできてるから先に渡しとくな。」
キキョウに渡されたのは注文通り、STRと耐久値の高い両手剣、そしてVITとRSTにステータスを全振りしたフルプレートメイルだ。
「これはすごいね。顔も見えないから鎧の雰囲気で覚えないとね。」
顔まで覆うタイプの鎧なので防御面に関しては抜け目が無い。多分ヴァルの攻撃でも貫通できないんじゃ無いかな?ダメージは多少通るだろうけど。
「こっちの剣もすごいな。これってゲルマしか作れないんじゃないか?」
確かに特殊そうだ。装備品名は『パンドラの光剣』。確実に俺が絡んでいるだろう。
「そうだな。そもそもパンドラと同じギルドにいることが獲得条件のレシピを使って作っているからな。多分他のユニークプレイヤーにも用意されてるんだろうけど、他のユニークプレイヤーはギルドを作れないから本人にしか作れないだろうな。」
「やっぱりそう言う感じなんだ。それで先生、この剣の効果ってどんな感じなの?」
「基本的にはキキョウの注文通り、STRが高い。耐久値は低めだが、それはスキルでカバーしている。と言うか壊れたとしてもスキルで徐々に耐久値が回復していくから時間が経てば完全に元通りになるぞ。そしてMPかHPのいずれかを使用することでスキル{光剣}が使える様になる。魔物に対して特攻効果があるスキルだ。」
「それは確かにありがたいな。確か{光剣}て遠距離の攻撃スキルだろ?HP消費は痛いけど、十分使い勝手の良さそうなスキルだ。」
「そうだね。それで、加入予定のメンバーについてなんだけど、とりあえず僧侶用の杖、弓、ウィザード用の杖を用意して欲しいんだけどいい?それぞれもう少しレベルが上がってからメイン武器は作ってもらいたいから、とりあえずステータス的に高ければなんでもいいんだけど。」
「それだったら試作品だったり、これまで作ったあまりがあるからそれで賄えると思うぞ。」
「それじゃそれでいいかな。それじゃ私はそろそろ落ちるね。」
「俺もそうしようかな。」
「俺はもうちょっと残って今やってる作業まで終わらせてしまうとするよ。」
俺とキキョウはログアウトして、翌日また新メンバーを探しに行った。その日は収穫がなく、しばらくはそんな生活を続けていた。そして次のメンバーが見つかる前に新メンバー3人をギルドに案内する日になった。




