第52話 イベント結果と打ち上げ
イベントの結果発表の時間になり、俺たちはギルドホームに設置したモニターにその結果を映し出してみようとしていた。
「それじゃまずは個人順位から行くぞ。」
キキョウの操作により画面が切り替わる。
1位 パンドラ 156381pt
2位 ウィズ 23150pt
3位 レンド 17651pt
4位 ヴァル 15600pt
5位 アメリカン伊野 9874pt
よし!1位だ!って、ヴァルがめっちゃ頑張ってるじゃん!
「ヴァル、すごいね!4位って!」
「ヴァル君すごいね。」
女子2人から褒められてまんざらでもなさそうなヴァル。といっても片方の本当の姿は男だがな。
「そんなこと言ってもパンドラが圧倒的すぎだろ。2位と10万ポイント以上の差がついてるし。」
「それだけ頑張ってたもんねパンドラちゃんは。」
おっと、唐突なちゃん呼び。動揺したらばれてしまうかもだし、ここは平静を装って。
「まぁ、ずっと潜ってたし、本来のステータスも解放されてたからね。人型にも慣れたし、幸運値のおかげで金豚にもいっぱい出会えたし。」
「それにしてもお前やりすぎじゃないか?」
キキョウから冷静な突込みが入る。確かに5日間毎日睡眠時間も3時間しかとっていない。正直かなり眠い。
「まぁ、それは良いじゃん。大事なのはギルド順位の方だし。」
「そうだな。俺たちの総ポイント数が17万と少しってところか。」
「そうかな。ほかがどのくらい行ってるのかわからないけど。」
「それじゃ表示するぞ。」
1位 究極騎士団 215369pt
2位 完璧 196324pt
3位 パンドラの箱 176329pt
よし!見事3位以内だ!
「パンドラ!やったじゃねぇか!」
キキョウははしゃぎ、先生とヴァルは信じられないといったような表情を、ミルナは拍手している。やっぱりアクションにも人が出るもんだな。
「うん!達成できてよかったよ!ギルド報酬に関するページに変えてみてもらえる?個人5位以内が2人いるけどどうなるんだろ?」
「確かにな。すぐ変えるな。」
そういってすぐにページを切り替えてくれた。
1位究極騎士団はレンドの報酬と引き換えにギルド所属者全員にステータス5%UPを永続付与。
2位完璧はウィズの報酬と引き換えにギルド所属者全員にステータス5%UPを永続付与。
3位パンドラの箱はパンドラの報酬と引き換えにギルド所属者全員にステータス5%UPを永続付与。
ヴァルの報酬は関係ないみたいだな。俺の報酬だけでいいならよかった。欲を言えば2人分持って行ってもうちょっと倍率を上げてほしかったけど。
「パンドラの報酬だけ持っていかれたみたいだな。俺の報酬から半額渡すよ。」
ヴァルがそう言ってくれたが、ここは受け取るわけにはいかない。
「いや、いいよ。私は5%UPだけで十分だし。それにお金が必要になったらその時に協力してもらいたいからね。」
「わかったよ。その時は言ってくれ。」
「それにしても本当に達成しちゃうなんてすごいね!」
ミルナが改めてほめてきた。なんだか照れるな。
「そうだね!それじゃ今日は祝宴だね。食べ物と飲み物は準備してあるし、みんなでパーッとやろう!」
「ちょっと待ってくれ。イベント結果のページがあと1ページ残ってるんだが。」
「え?これで全部じゃない?」
個人報酬のレートなどは事前に発表されていたからここには記載されないはずだ。
「とりあえず表示するな。」
『第3回イベントのお知らせ』
ポスターの画像が表示され、その見出しがこれだ。今第2回が終わったばっかだっていうのに。運営のやる気がすごいな。
「もう第3回の情報が出るんだね。」
「あぁ。えーっとイベント形式は何だこれ?」
「ボスラッシュ的な感じかな?」
イベント形式の欄にはイベントボスの討伐とだけ書かれてあった。
「そんな感じっぽいよな。イベント期間がちょうど1か月後から1週間。1人当たり1度のみ挑戦可能で、最大10人までパーティーを組むことができる。イベント期間中に配布されるアイテムを使用することでイベント空間に転移が可能。その空間内でイベントボスとの戦闘。だそうだ。」
これじゃイベントボスが1体なのかそうじゃないのかもわからないな。それに後半になれば情報が出回って有利になるんじゃないか?
「これって後半にやる方があまりにも有利じゃない?」
「多分ポイント制とかで前半であればあるほど倍率が上がるとかそんな感じじゃないか?」
「確かにそれなら問題ないね。そうだとして、イベントの形式が全く見えないから何とも言えないね。確か第4回はギルド対抗戦って決まってたよね?」
「そうだな。俺たちにとって一番の鬼門はそこだろう。」
ヴァルの言うとおりだ。鬼門でしかない。なんせ人数が圧倒的に不足している。
「それまでに少しでも人数を確保しないとね。とりあえず私とキキョウは新メンバー探し、先生は装備の作成、ヴァルとミルナは素材不足気味みたいだから先生の希望する素材の最終をお願い。することがなくなったら自由にしていいからね。」
3人が頷く。キキョウは俺の方を見ているだけだが無視しておこう。
「新メンバーについてなんだけど、こういうメンバーがいいとかある?スキル構成とか、ステ振りとか」
「ヒーラーは必須じゃないか?いくら先生がアイテムを作れるって言っても素材はいるわけだし、魔法での回復があると利便性が桁違いだろ。」
「確かにそうだよね。まずはヒーラー、先生は戦場に出ないからタンクはミルナとヒーラーを守る2人いれば十分かな?キキョウはタンクっていう割には万能型だから。」
「そうだな。タンク系の職業の奴も欲しいな。あとはキキョウだけでは足りないだろうから、近接の物理アタッカーと弓みたいな遠距離の攻撃手段を持った物理アタッカーも欲しいだろ。」
「確かに、今のところAGI特化の盗賊系が2人もいるしね。近接の中でも槍みたいな長めの武器を使える人がいいね。それじゃ、弓使いに槍使い、ヒーラーにタンクでいいかな?」
「そんなもんじゃないか?」
「ねぇ、魔法使いっていなくていいの?それだけ人数が増えるならもう1人くらいいた方がいいと思うんだけど。」
「確かに。ミルナの言う通りかもね。それじゃこれに魔法使いを合わせてとりあえず5人は探してくるよ。1か月もあれば見つかるでしょ。キキョウ、明日からはあちこちの町を回るよ!」
「わかったよ。ほかに何か意見のある奴いないか?いなかったらこのままパーティーとしゃれこもうぜ。」
みんなすっかりその気になったので、パーティーが開かれた。たった5人しかいないけれど、とても楽しい。実際には離れていてもこうやってみんなでご飯を食べることだってできる。ユーオン始めてよかったな。




