第51話 イベント終了
イベントが終了し、結果が集計中に切り替わった。集計結果が出るまで1時間ほどかかるらしいので、みんなでギルドに集まった。
「2人ともなんで内緒にしてたの。」
俺は少し怒りながらキキョウとゲルマを問い詰める。
「だって先生が隠してって言ってきたんだもん。」
「おい、キキョウなんでも俺のせいにするのは良くないと思うぞ。」
「だって実際そうじゃん!」
「2人とも落ち着いて。性別についてさえ隠してくれればそれでいいから。」
「わかってるよパンドラ。」
そんな会話をしていると、ホームにヴァルが戻ってきた。ほぼ同時にミルナも帰還した。
「おいおい、3人ともどうしたんだ?パンドラから何かすごく怒りの波動を感じるんだけど。」
「ちょっと問題が起こっただけだから気にしないで。」
それから、キキョウのネッ友だと説明していたゲルマが現実での交流のある人物、しかも学校の教師だということを話した。隠してもよかったのだが、こうやって言っておけば、ゲルマと呼び捨てにするのではなく、先生と呼ぶことができて何となく罪悪感が薄れる。
「なるほどな。それで怒ってるのか。それは2人が悪いな。まぁ、許してやれよ。生徒が教師を叱ってる絵面はなかなかに面白いけどww」
「笑っちゃだめだよヴァル君。2人も悪気があったわけじゃないだろうし、許してあげてよ。」
「まぁ、2人もそういってるしいいかな。リアルの方でも学校休んでることについて私の都合のいいように動いてくれてるみたいだし。」
俺がそういうと2人は正座を崩そうとする。
「なんで自由にしようとしてるの?先生は良いけど、キキョウは隠してたんだから罰を受けるべきでしょ?罰としてイベントの結果が出るまでそこで正座ね」
「何でおれだけだよー」
そう文句を言いつつも正座を続行するキキョウ。くつろぐ4人と正座する1人。なんだかすごく異常な光景だけど、キキョウにはこれくらいの罰は受けてもらわないとね。
「それで、先生。頼んでた武器はどのくらいできた?」
「とりあえずミルナとヴァルの投げナイフ以外の装備一式が完成したところだ。先に渡しとくな。」
そういって先生はヴァルとミルナが希望していた装備を手渡す。さすがDEX極振りの男。完成度が高いなんてもんじゃない。
「なぁ、俺は耐久高めの双剣を1対って言ったよな?」
「確かそうだったね。」
「じゃあ何で攻撃に毒属性が付与されるようになってるんだよ⁉」
「いやー、装備のスキルスロットが空欄なのも寂しいなーと思って毒属性付与のスキルを追加しといた。アサシンにはちょうどいいでしょ?」
「ちょっと待て。スキルに振ってるってことはその分ステータスは低くなるよな?」
「ん?何言ってるのかわからんが、そんなことはないぞ。DEXが低ければそういうことも起こるだろうが、俺レベルのDEXがあればそんなこと万が一にも起こらんよ。」
「マジ?」
「マジ。それじゃ次はミルナの分な。これで大丈夫か?」
新装備を装備したミルナはまるで別人だった。ローブもとてもおしゃれでかわいらしかった。
そっか。ミルナはローブも頼んでるから見た目も大事だよね。本当に気が利くね先生は。
「ローブに付与してある効果は攻撃魔法の威力上昇と壊れたり破れたりしても自動的に再生するスキル。杖の方は魔力量を少しではあるが増やしてミルナの得意系統である水系統の魔法威力に補正をかけておいた。」
「さすが先生。ちゃんとミルナに合わせて作ってくれたんだね。」
「当然だろ?俺を誰だと思っている。今はキキョウの装備一式を作ってるところだ。今日中には終わらせてからアウトするから明日には渡せるぞ。楽しみにしててくれよ。」
「私のはいつくらいになりそう?」
「そうだな。パンドラは武器がなくても十分戦えるだろうし、とりあえずメインの1対だけ作ってあとの8本は後回しかな。先にヴァルの投げナイフを作りたいし。」
「それでお願い。メインの2本があればしばらくは十分だから。」
「俺からもいいか?」
「どうしたの、ヴァル?」
「いや、ゲルマになんだが、全部の武器作成が終わってからでいいからさ強力な麻痺毒を作ってくれないか?投げナイフと毒って愛称いいからさ。」
「わかった。それじゃ武器が完成次第取り掛かるな。ただ、麻痺毒の素材となると今手元にないから採ってきてもらうことになるがいいか?」
「もちろんだ。」
「それじゃ必要な素材をまとめてまた今度メモを渡すな。」
「それじゃ、イベント結果出るまではゆっくりしようか。」




