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第5話 友人とプロゲーマー

ん?視点が前よりも高い。というかリアルの視点より少し低いくらいか。ってことは人間の姿になってるってことでいいんだよな。視点移動で確認してみるか。最初に容姿設定したんだし、その通りになってるといいんだけど。

・・・・・・・・・・・・

なんだこりゃ!俺のキャラメイクの面影もないじゃないか!かろうじて同じなのは身長だけかよ。見た目は美少女としか言いようのない顔、そして華奢な体つき。ユーオンではSTRすなわち筋力を上げても見た目に反映されることはない。つまり今の俺はSTRが500もある物理アタッカーとして十分すぎる火力を持ちながら華奢な体つきをした女子ということだ。ギャップとかそういう次元じゃないな。とりあえず恭弥に来てもらってからステ振りとかの相談をするか。

確かログアウトしなくてもメールは出来たよな。


「いま、ディクティオンの百穴の入り口近くにいるから来てくれるか?一応人型だったからイベントは一緒に参加できると思う。」


メールを送信して5分ほどでディクティオンの百傑の入り口付近に武器を持たないプレイヤーが現れた。やっぱり拳で戦う感じか。あいつ格ゲー好きだもんな。プレイヤーネームもキキョウで間違いないな。


「キキョウ、俺だ。プレイヤー名違うけど未空だ。」


「お前がか?確かにユニークプレイヤーはパンドラって名前だとは聞いてたけど、本当に未空なんだな?」


「見た目で信じれないかもだけど俺だよ。とりあえずディクティオンの百穴の中で話できるか?一応ゆっくりできそうなところを見つけてモンスターは狩りつくしてある。」


「おう。ステ振りの相談ってとこか?」


「よくわかるな。そうだよ。まぁ、目立つところだとほかのプレイヤーに見つかるかもだから。表示されるプレイヤーネームは変えられるみたいだけど、まだ変えてないんだ。目立ちたくはないからな。」


「さすがにユニークプレイヤーとなると本名が透ける偽名はよくないからな。賢明な判断だな。」


「ゲーム慣れしてないのに何でこんなことにならないといけないのやら。ここだ。」


「おー、さすが未空だな。いい感じの場所じゃん。まぁ、時間もないから無駄話してる時間はないか。本題に入ろう。」


「あぁ。俺の今のレベルは1。種族進化したことで1レベルに戻った。これまでも種族進化を繰り返しているからSPは他のプレイヤーと比べると格段に多く入っている。魔法は現状使えないから今日のイベントは物理戦闘が基本になると考えといてくれ。」


「おっけー。それで今のところのステ振りはどうなってんの?ある程度は振ってあるんだろ?」


「今映すな。」


UniquePlayerNo.1パンドラ

種族:パンドラ

スキル:{不壊(ふかい)}{毒霧(どくぎり)

HP(体力)   30

MP(魔力)   500

STR(筋力)   500

VIT(防御力)  500

INT(魔法攻撃力)500

RST(抵抗力)  500

AGI(素早さ)  500

DEX(器用さ)  630

LCK(運)    540

SPステータスポイント4500


「ミミック系統なのは知ってたけど、こりゃすごいな。通常プレイヤーはレベルカンストでのSPの合計値が5880なんだよ。1レベルごとに60ポイントで1レベルから99レベルまでの98回のレベルアップ。それに対してお前はレベル1時点で8000を優に超えている。1レベルあたりのSPは60じゃない感じ?」


「あぁ。1レベルあたり30だ。」


それに対して少し俺の顔を見つめた後、キキョウは唐突にこんなことを言い出した。


「なぁ、お前普段の口調と同じだと違和感がすごいぞ。その見た目と声なんだからもうちょっと丸い口調で話せよ。」


「えー。何でそんなことしなきゃいけないんだよ。」


「ほかのプレイヤーに男なのにめっちゃ美少女のアバター使ってる痛い奴だと思われるぞ。」


「わーったよ。それで、このステータスを見てどう思う?」


「正直どうでもできるな。お前のことだからAGIとSTR高めのアサシンとかがいいんじゃないか?」


「やっぱ俺のことわかってくれてるなキキョウは。」


「だろ?となると、今後入るSPが2940で残存分と合わせて7440か。何ならAGIに2500くらい振ってもいいんじゃないか?MPに関しては500もあればアサシンが使う魔法には十分だ。ステータスを振るべきなのはSTR、AGI、DEX、LCKの4種類。特にアサシンならAGIは大事になってくるな。この4つ全部を2000になるまで振っても5830で足りる。あと1610の余裕があるんだよ。LCKとDEXは2000もあれば全部のスキルが最大の効果で使えて全部クリティカルに入るようになるはずだ。つまりその2つはそれ以上振る必要がない。残りの1610はSTRとAGIに振ることができる。それでだ。AGIを3000にして残りの610をSTRに振る。大雑把ではあるが、これが最適解だと思う。もちろんリアルの人間が動かしているアバターとの戦いだから、想定外とか予想外なことは起こりうる。それでもどんな敵を相手にしても十分に戦えるくらいには強いステータスだ。そもそもSPがバグレベルに高いんだ。これくらい豪快に振った方がいいかな。」


「俺も大体賛成かな。AGI3000の景色ってすごそうだけどね。」


「そうだな。今ある分でAGIは振り切っといた方がいいぞ。慣れも必要だしな。話し方も少しなじんできたみたいだし、ステ振り終わったら町に行って武器を買うか。」


「そうだね。今は筋力にそこまで振らないでも戦えそうな気がしてるんだけど、AGI以外はどのくらい振るべきだと思う?」


「残り2000だから、STRに500追加して、残りの1500を750ずつDEXとLCKに振ればいいんじゃないか?ほかのプレイヤーの強さを見た感じそれだけあれば十分だろうし。」


「わかった。それじゃその通りに振ろうかな。」


キキョウの指示通りにステ振りを終え、表示されるプレイヤーネームも変更した。新たな名は「ミソラ」。本名の読み方を変えただけだ。


「本当にそれでいいのか?下手したら身バレするぞ。」


「大丈夫でしょ。そこまで特定する人がいないと信じよう。」


「お前がいいならそれでいいけどさ。それにしても口調は良い感じだな。」


「俺は違和感でしかないけどね。」


「まぁ、そのうち慣れるさ。できれば一人称も変えてほしいけど、まぁ一人称が俺の女子もいるしギリ大丈夫か。」


「大丈夫でしょ。それじゃ武器を買いにいこー!」


「パーティ登録したから俺の転移アイテムで一気に町のポータルまで飛ぶぞ!」


「おぉ、便利だね。」


「まぁな。それじゃ行くぞ!転移アイテム『座標転移』」


すると魔法陣の光に包まれて目の前には町が広がっていた。


「おぉーすごいな。それじゃ武器屋まで案内してくれ。防具も買わないとだし、あちこちしないとな。あ、アイテムを買い取ってくれる店ってある?」


「素材か?」


「うん。これまで倒したモンスターの素材を売ってお金作らないと今無一文だから。」


「それだったら武器屋で買い取ってくれるぜ。素材持ち込みで通常より安く武器を作ってもらうこともできるぞ。」


「それじゃ武器屋に行こうか。」


「そうだな。武器屋はあっちだ。武器を作ってもらうのには3時間くらいかかるから、イベントには間に合うんじゃないか?」


「そうだね。できれば作ってもらいたいかな。職業(クラス)をアサシンにしたから短剣だな。」


「そうだね。良い物を作ってもらえればいいけど。」


「修練の横穴のモンスターも倒したんだろ?それなら相当いい素材があるだろ。」


「そうだね。ここ?」


「あぁ。プレイヤーの経営する武器屋だ。生産職の中でも腕は立つし、プレイヤーは何年も付き合いのある俺のネッ友だ。」


「なるほど。それなら安心だね。」


「あぁ。おーい、キース来たぞー!」


ドアを開けながらキキョウが声を上げる。キースさんっていうのか。


「キキョウさんじゃないですか。昨日も来たのに今度は何の用ですか?それにそちらの方は?もしかして彼女自慢ですか?それなら帰ってください。」


すごく物腰の柔らかい青年だ!キキョウと知り合いだなんて信じられないくらいに。キキョウには厳しいみたいだな。


「ちげぇよ。それより、今から10分くらい店舗を封鎖できるか?ほかのプレイヤーに聞かれたくない話がある。」


「はぁ。突然来てなんだといいたいところですが、仕方ないですね。」


それから少し操作をした後にキースが用件を聞いてきた。


「詳しくはこいつから話してもらう。ミソラ、こいつは信用していいから、例の件も含めて全部話して大丈夫だ。口は堅い。」


「キキョウがそこまで言うなら。キースさん初めまして。ミソラといいます。といってもこれは偽装したプレイヤーネームでして本当の名前はこっちです。」


俺はプレイヤーネームを本来のものに切り替える。


「なるほど。大体読めました。つまりミソラさんはキキョウさんのリア友でユニークプレイヤーだと。」


「そういうことです。」


「ゲームに関する知識はあるけれど、慣れていないといった感じですね。アバターの動きに無駄が多い。」


すごい。観察眼が桁違いだ。


「すごいですね。そこまでわかるなんて。」


「一応リアルではプロゲーマーですので。そちらのことを秘匿にする代わりにこちらから少し質問をしてもいいですか?」


「はい。」


「ユニークプレイヤーは魔物の姿だと聞いていたのですが、なぜ人型なのですか?」


「種族的な進化をして人型になれるようになりました。本来の姿はこっちです。」


そういいながらミミックの姿になる。これまでのミミックの姿とは違ってかなり豪華な宝箱だ。その辺のダンジョンにおいてあったら警戒するレベルの。


「ミミックですか?ということは最上位種族のパンドラということですね。」


俺は人の姿に戻りながら返事を返す。


「はい。俺としても非常に不本意なのですが、ユニークプレイヤーでして。ただ、ほかのプレイヤーと対立する気はないです。」


「それがメインのゲームだと思うのですが、それは置いておきましょう。それではもう一つ。なぜ男性なのに女性アバターを使用しているのですか?あなたはそういう趣味があるわけでも、心が女性でもないように見えますが」


「本当に観察眼が鋭いですね。言葉遣いにも所作にも気を付けているというのに。」


「所作にところどころ男性を感じさせるものがありました。まぁ、カマをかけただけなのですがね。」


「質問に答えますね。このアバターも俺が作ったものじゃないんです。俺が作ったのは男のアバターだったんですが進化して人の姿になったらこの姿だったんです。」


「なるほど。運営も人が悪いですね。」


「そうですね。」


「事情は分かりましたし、言いふらしたりはしません。それで、用件は?」


「素材の買取と武器の作成をお願いしたくて。」


「今日初めて町に来たってことはお金がないんですね。それなら買取が必要ってわけですか。素材にもよるけど、大丈夫です。まずは素材を一通り見せてくれますか?」

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[一言] 全ての作品と更新に感謝を込めて、この話数分を既読しました、ご縁がありましたらまた会いましょう。(意訳◇更新ありがとな、また読みに来たぜ、じゃあな!)
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