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ユートピアオンライン~ミミックのアバターを強制された俺はなんだかんだでゲームライフを謳歌する~  作者: 雲英侑李
第1章 ユートピアオンライン1

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第49話 武器

「一ついいかな?」


「ミルナから何か言うのって珍しいね。どうした?」


「パンドラの箱って最大収容人数が25人で、いまあ5人しかいないでしょ?あと何人かメンバーを増やした方がいいんじゃないかな?今後ギルド対抗戦みたいに人数が少ないだけで不利に働くイベントも告知されてるし。」


「それはそうなんだよね。誰かリア友で連れてきたい人がいるとかない?」


沈黙が流れる。いないんだな。


「それじゃ私とキキョウで探してみるよ。今回のイベントが終わってからになると思うけど、掲示板の募集じゃなくて街中でいい感じの人を探してみるね。」


「俺もか?パンドラだけじゃダメなのか?」


「だめに決まってるじゃん。相手が初心者で私についてあんまり知らなかったらそうするの?」


「確かに。キキョウ、一緒に行ってくれ。」


ゲルマもそういう。ヴァルも頷いている。


「わかったよ。どんな奴を仲間にしたいとかあるのか?」


「そうだね。上位プレイヤーはもうほかのギルドに取り込まれてるだろうから逆に初心者を連れてきてうちに染まってもらうのがいいかなと思ってるんだけど。ゲーム慣れしてないとよりいいかな。」


「確かに。ゲーム慣れしてない方が予想外の行動からスキルをゲットしたりできそうだもんな。」


「うん。それじゃ新規のギルドメンバーについてはこのくらいで。」


「俺からは他に何もないな。」


「俺も大丈夫だ。」


「私も。」


「俺から一つみんなに確認しときたいことがあるんだがいいか?」


最後に口を開いたゲルマがそう言ってきた。ミルナもだけど、ゲルマから何か発言があるのって珍しいね。


「どうしたの?」


「あぁ。ほぼ確実に今回のイベント中に俺とミルナはレベルカンストするだろ?それでみんなの武器の身長と、ギルド武器について聞いておきたいんだが。」


「確かに。それは決めといたほうがいいかもね。」


「まずは俺からな。耐久性とSTR高めの両手剣がいいな。あと、鎧の耐久値も減ってきてるから新調してもらいたい。そっちはVITとRST高めがいいな。」


「わかった。武器、防具以外にもいる者があったら言ってくれ。」


「それじゃ私は魔力増幅の効果がある杖がいいかな。あとは魔法攻撃の威力を上げれるローブとかほしいかも。」


「そのくらいならお安い御用だ。」


「俺は武器だけでいいや。基本は双剣だが、投げナイフとかみたいな消耗品も使うことがあるから、耐久ちょっと高めの双剣1対と投げナイフ20本、あとはブーツに仕込めるナイフを1本頼みたい。ナイフは両方ともSTR特化で頼む。」


「わかった。量が多いから少し時間をもらうかもしれない。」


「私はSTR高めの双剣を1対と短剣を8本お願い。短剣は状態異常だったりデバフ付与みたいな特殊能力系で全部違うものでお願い。防具はゼウスのローブがあるからいいかな。」


「お前だけ注文が異常なんだよ。まぁ、そのくらいだったらできるからいいぞ。お前だけ圧倒的に時間がかかるがな。」


「まぁ、いいじゃん。で、ギルド武器なんだけど、素材があれば自動で量産できるらしいんだよね。だから、これを使ってみんなが使える物を作りたいんだけどいいかな?」


そういって俺は玉髄を見せる。


「おい、本当にいいのか?」


ヴァルが信じられないといった感じの声を上げる。


「みんなに使ってほしいしね。これで指輪を作れば状態異常無効と即死・呪いが無効化できるでしょ?あったら便利だと思うんだよね。指輪なら装備スロットを圧迫することもないし。」


このゲームでの装備スロットは細かく設定されていて、頭部、左腕、右腕、左手、右手、各指、首、胸部、腹部、上半身、下半身、右腿、左腿、右膝、左膝、右脛、左脛、右足首以下、左足首以下だ。

上半身と下半身がさらに詳細に分けられているのは服の上からプレートなどを装備できるという意味だ。指輪なら各指のスロットのうちどれか一つでいい。その分指輪型の装備品は加工に高いDEXをお要求され、購入する場合、かなり高額になる。玉髄ともなるとギルドホームが買える金額だ。


「指輪の加工はゲルマならできるだろうけど、玉髄ってそんなに大量に確保できるのか?」


アクセサリー類に詳しいからかヴァルの食いつきがすごいな。


「いや、多分これで足りると思うよ。装備を作るときの鉱石系の素材は単位が1個じゃなくてグラムだからね。」


「そうなのか?知らなかった。」


「生産職でもないと知らないよね。これは1㎏あって《玉髄の指輪》1つに必要な玉髄は20gだから最大人数になっても大丈夫でしょ。」


「それなら大丈夫そうだな。ギルド武器って装飾品でも大丈夫なもんなのか?」


「大丈夫だね。基盤は《玉髄の指輪》で、実際に作るものは違うんだけどね。それで、せっかくだしここで相談。このギルドのエンブレムを決めてそれをギルド武器の刻印したいんだけど、誰か書いてくれる人とか伝手がある人っていない?」


全員が首を振る。


「そっか。それじゃしばらくこの件については置いとこうか。誰か伝手が見つかったとかあったら私に教えて。ギルド武器はそこまで急ぐものでもないしね。それじゃこれで話し合いは終わりで大丈夫かな?」


4人が頷いたのを確認して俺は最後に一声かけた。


「それじゃイベント頑張ろうね!」


「応!」「あぁ。」「うん!」「おう。」


俺は学校をさぼってまでゲームをやるわけだ。幸い俺は一人で暮らしているから誰かにとがめられることもない。親も近くに住んでいないから仮に学校から連絡がいってもここに来ることはないだろう。

さすがにやりすぎだとは自分でも思うが、今はゼウスのローブの効果で1日5分人型になれる。そしてパンドラのステータスに到達すればさらに5分間人型になれる。慣れてきたとはいえミミックで行動するのと人型で行動するのとではあまりにも勝手が違う。

手の本数という利点もありはするが、そもそも空気抵抗がミミックの時の方が大きいからAGIに実質的にマイナス補正がかかっている。そして動きの切り替えにもラグが生じる。人型の方が圧倒的に動きやすく、実際そっちの方が強い。

それにゲーム内でずっとミミックっていうのもなんか嫌だしな。

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