第48話 作戦会議
「ごめんみんな、お待たせ。」
「お、やっと来たな。呼びつけといて遅れるなよ。」
ヴァルが不満を言ってくる。
「それについてはほんとにごめん!新実装されてた魔物の塔に行ってたんだけど、思ったより時間がかかっちゃって。」
「あぁ、あれな。初クリア者の賞品がすごいらしいな。」
「具体的にどんなアイテムかは知らされてないけどな。」
「キキョウがそういうってことは2人でもクリアできなかったのか?」
「うん。というか倒し方がわからなかった。最上階の敵が相手のスキルで一定値ずつしかHP減らせないのにHPが半分になったら攻撃を吸収して回復するようになるっていう感じかな。」
「なんだそのムリゲー。」
「ほんとだよ。でも、待たせちゃったからその話はまた今度ね。今は明日からのイベントと今後のギルドの方針について話し合いたいし。」
「そうだな。確か今日から各ギルドのマスター限定でギルドとそのギルドのギルドマスターの一覧が閲覧できるようになってるんだよな?」
「うん。その一覧によると、今発足してるギルドはここを含めて9つ。さっき明日からのイベントの参加受付が終わったから受け入れ先に指定されるギルドはこの9つだね。まぁ、途中で発足したギルドもイベントの対象にはなるみたいだけど、他プレイヤーの受け入れは出来ないみたい。」
「なるほどな。ここのギルドマスターはパンドラなわけだが、実際他はどんな感じだ?」
ヴァルが聞いてくるが、実際これはギルドマスターの身の特権だからギルドマスターにいちいち確認する必要がある。少し不便だ。
「まず、最も人数の少ないギルドがここパンドラの箱。最大人数25人中現在の人数が5人。そして残りの8つはどれも現時点で50人を超えてる集団だね。少ないところでもギルドホームの人数上限が180人だね。一番多いところは1000人まで収容できるみたい。」
「そんな巨大なホームもあるんだな。うちの40倍じゃん」
キキョウのその反応はもっともだ。ここも決して小さい空間ではない。この40倍となると、かなりの大きさになる。
「まずうちの次に小さいギルドが180人のホームを持っていて現在50人の『考察専門ギルド・イグザミナ』だね。多分名前の通りじゃないかな?そして次200人のホームで65人のメンバーを抱えてる『仮面団』掲示板情報だと全員が仮面をつけてるらしい。ほかもいろんなギルドがあるけど、この2つが特徴的なのと、あとは上位2つかな。まず2番目に人数の多いギルド、収容可能人数が1000人で今は180人抱えてるね。どこからそんな人数を集めたのかはわからないけど。ギルド名は『完璧』って書いてパーフェクトっていうらしい。とにかく人数が多いし、メンバーの質もかなり高いみたい。そして現在人数1位のギルドが収容可能人数が850人で318人のメンバーを抱えている『究極騎士団』って書いてアルティメットナイツって読むギルドだね。ここは掲示板情報では魔法使い系の職業のプレイヤーがいないらしい。大半が剣士系の職業で名前の通り騎士職が一番多いらしい。」
「いろいろあるんだな。で、明日からのイベント、外部からの受け入れはしないらしいがどうするんだ?」
「一応決めてあるよ。まず、私とヴァルが単独行動で討伐数を稼ぐ。ただ、他のギルドはほぼ満員になるだろうから1000人分を2人で稼ぐことになる。イベント期間が明日から5日間だから水曜日の日付が変わるまでだね。ヴァルはどう?予定付けれそう?」
「問題ない。今週は時間に余裕があるからインできるときは討伐数稼ぎをするつもりだ。」
「うん、お願いね。で、ゲルマとミルナはキキョウについていってレベル上げね。」
「わかったよ。よろしくねキキョウさん。」
「俺はもともとその予定だったしな。」
「そっちはそれぞれ時間の都合を合わせてね。キキョウがいないときはミルナとゲルマだけで言ってもらうかもだからお願いね。で、私が本来のステータスでできるだけ、討伐数を稼ぐ。5日間は適当な理由付けて学校を休むつもりだから基本的にずっとインしてるかな。ご飯の時と寝るとき、あとは休憩で3時間に1回くらいはアウトするかな。夜寝ずにインしてることもあるかも。」
「そこまで本気になることか?」
「ヴァル、わかってないね。今回のイベントの報酬は知ってる?」
「確か討伐数に応じて個人報酬とギルド報酬が出るんだよな。個人報酬がポイントに応じてゴールドが、ギルドは上位3ギルドにギルドメンバーの全ステータス1%UPだったか?」
「甘いね。それは今回の報酬の一部なんだよ。もちろんこれが知らされてるのはギルドマスターだけだから知らないのも仕方ないけど。ギルドメンバーの誰かが個人順位で上位5位以内且つギルド順位で上位3位以内に入った場合、個人順位で5位以内に入ったメンバーのゴールドが没収される代わりにギルド報酬がギルドメンバーの全ステータス5%UPに変わるんだよ。あと、これは私にしか知らされてないんだけど、私がパンドラのステータスに到達した場合、1日に1度、5分間だけ人型になれるようになるらしいんだよね。それならよりステータスを上昇できる方を狙うべきでしょ。」
「そんな仕様があったのか。それは確かにやるべきだな。」
「個人5位は余裕だろうけど、メンバー募集の掲示板とか見た感じだと、この期間中にあと5ギルドくらいは発足すると思うから、上位3位も狙いに行くならこのくらいやる必要があるんだよね。」
「パンドラに頼りっきりになって申し訳ないけど、お願いね。私たちも出来るだけ協力はするから。」
「ありがとうミルナ。それじゃ、ゲルマ、急で悪いんだけど、そこそこな武器を2本用意できる?双剣だと嬉しい。」
「できるが、どういうのがいいかあるか?」
「なんでもいいよ。メイン武器はゲルマのレベルがカンストしてからお願いするから。」
「わかった。それなら通常の鉄の双剣を作るな。」
「お願いね。それじゃみんな今伝えたのがイベント期間中のこのギルドの方針なわけだけど、何か気になることはある?」




