第44話 王鷹
『魔物の塔第20フロアボスモンスター『王鷹』勝利条件は王鷹を撃破することです。』
王鷹?聞いたことのないモンスターだな。
「キョウヘイ何か知ってるか?」
「いーや、初耳のモンスターだな。かなり強そうだがどうする?」
「いったん俺がカウンターで攻撃してみる。それがうまくいったらキョウヘイは回避、俺は攻撃って感じで俺が仕留める。」
「了解!」
王鷹が迫ってくる。このモンスターはその名の通り巨大な鷹だ。攻撃してくるとしたら風属性魔法や風関連のスキル、あとは物理攻撃くらいだろう。
羽を後ろに引いた!風関連の攻撃スキルとみていいだろう。強い風を起こすか竜巻を起こすか、あとは風の斬撃を飛ばしてくるとかそんなところか。いずれも俺には効かないが、恭平にはあまりにも相性が悪い相手だ。
王鷹が翼を振ると同時に突風が巻き起こりそれに交じって大量の風の刃が降り注ぐ。さしあたりかまいたちと言ったところか。
範囲が広いしキョウヘイは死んだな。確認は出来てないけど、何か対策スキルがないと無理だろこれ。一応生存確認だけしてみるか。
「キョウヘイ、生きてるかー?」
「問題ない!」
お、生きてたみたいだな。かまいたちのせいで視界は塞がれているが、音は問題なく届くらしい。
とりあえず声の聞こえた方に行き、キョウヘイと合流する。移動して{不壊}が途切れて分かったのだが、このスキル思ったより威力が低い。というか、これでここまで来たプレイヤーを倒せるわけないな。多分あいさつ代わりの一撃ってところだな。
「なぁ、これ威力低すぎないか?」
「やっぱキョウヘイもそう思うか?俺も移動してて思ったよ。多分もっと高威力なのがあるかもしくはこれが永続的に続くかってとこじゃないか?」
「後者だと厳しいな。前者であることを祈りたいが、あいつが動かないことを考えると多分後者だよな。何か手はあるか?」
「全く思い浮かばないな。俺のスキルだとこの距離を詰められない。」
「そうか。それじゃ俺の策に乗っかってもらうしかないな。」
「何か策があるのか?」
「この風、あいつを中心にしてその周囲全体に広がるように吹いてるだろ?つまりこっちが魔法系統の攻撃をした場合、風で効力を失ったり届かなかったりしなければ軌道を変えられることなく当てれるんだよ」
「それで?」
「今から俺がお前をあいつのいるところまでぶっ飛ばす。このくらいの高さなら真下から行けばいけるはずだ。見たところ真下は他よりも風が弱いみたいだし距離も一番近い。」
「それで俺に攻撃して一撃で倒せと?」
「そういうことになるな。ここまでのモンスターのAIから見ても1回それをやれば学習して強引に俺を倒しに来る。そうなったら正直どうしようもない。」
「そうだな。それじゃやるか!」
「まずは一気にあいつの真下まで行って俺がバフ重ね掛けでお前を打ち上げる。お前は俺がを別行動になって2分経ったらこっちまで走ってきてできるだけ高くジャンプしてから斧に着地してくれ。場所はあいつの真下だからわかるよな。多少に位置のずれはこっちで調整する。」
「了解!それまでヘイトは稼ぐから頼むぞ。」
「おう!それじゃ2分後に!」
そういってキョウヘイは走っていった。2分後な。一応声をかけてから行くか。
何かやろうとしてると勘付かれないように俺はヘイトを稼がないとな。とにかく動き回ってればそれだけでも目立つかな?王鷹がどこにいるかくらいはシルエットが見えるから分かるんだが、あいつの目がどこを見てるのかとかわからないんだよな。
とにかく動き回るしかないか。今の俺にできるのはキキョウの期待に応えて最大バフであいつに攻撃を叩き込むこと。
そのために俺の準備しないとな。まずはキョウヘイの位置が何となくでもいいからわかるくらいの位置に移動!そしてスキルを発動
「スキル{神速}」
そろそろ2分だ!行くぞ
「キョウヘイ!今{神速}状態でお前には俺の姿が見えない。けど俺を信じて斧に重さを感じたら打ち上げてくれ!行くぞ!」
「わかった!頼むぞ!」
俺は神速で上昇したAGIで最速の動きをする。そして一度キョウヘイの近くを通り過ぎ、できるだけ高く飛び上がる!完璧だ。高さのあるジャンプはしていない。だが、速度で助走をつけている。その助走を前に飛ぶ力ではなく上に飛ぶ力に変換!
行くぞ。
「行っけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「キョウヘイのその叫び声に合わせて俺は高く打ち上げられた。飛び上がる中、俺は10本すべての腕を展開!そしてのそのすべてに武器を装備する。今の俺にはメイン武器が2つしかない。だが、モンスターのドロップアイテムで手に入れた大量の武器がある。もちろんどれも耐久性能に優れないし、基本的には投擲武器として使った方がいいレベルのものたちだ。それでも今はそれでいい。
そして俺はついに王鷹の高さまで到達。まだわずかに上昇は続けているが、その状態ですべての武器で一斉に攻撃する。もちろん所撃破わずかのずれも許されない。今の俺はステルス状態でこいつには察知されていない。そしてその状態ならスキル{暗殺者}の不意打ち補正がかかる。つまりすべての武器を同時にたたきつけるのが最も良い。そして俺が来たのは相手のすぐ側だ。距離は30㎝ほどしかない。ここであれを使う!
「スキル{反撃領域}」
俺は半径1メートルの中から移動不可になる。だが、こいつは既に領域内に入ってしまっている。そのため俺は1フレーム単位で行動できる。さっきの一撃でドロップ武器たちは砕け散ってしまった。だが、まだまだ大量にあるんだ。全部破棄切る勢いでやってやろうじゃねぇか。俺が落下することでこいつが俺の領域外から出るまでおそらくあと30~40フレームといったところだろう。それだけあれば十分だ。
ドロップ武器を開いている8本の腕に装備!そして攻撃、残りの2本は常に攻撃を加え続ける。これをひたすらに繰り返し、HPを削っていく。
ただ1つ問題が起こった。王鷹の防御はそこまで高くなかった。ダメージも普通に入っている。ただ、HP量が半端じゃない。王鷹が俺の領域外に出る!まずい!削り切ることができなかった!




