第43話 魔獣の塔攻略
キキョウとゴブリンエリートが戦い始めて3分が経過。残りのゴブリンエリートは5体。もう終わりそうだね。それにしてもキキョウが戦ってるのちゃんとは見たことなかったけど、なかなかやるな。レベルとステ振りのバランスもそうだが、PSもかなりのものだ。俺のAGI関連のPSはあくまでもシステムサポートがあることで実現できているだけのものだ。そこのあたりやっぱりキキョウのPSはすごいな。
「よしこれで最後だ!」
おっ、倒し切ったみたいだな。
「お疲れキキョウ、次の階はがやるからな。」
「おぅ。俺はちょっと休ませてもらうわ。」
「休むほどの時間があればいいけどな。」
「ボス1体のパターンだったらまず休めなさそうだな。」
「それじゃ行くか。」
『魔物の塔第2フロアボスモンスター『魔獣操鬼』勝利条件は魔獣操鬼を撃破することです。』
「聞いたことないモンスターだが、名前通りなら魔獣が絡むな。」
「操るってことだし、面倒だな。ちょっとは休憩できるんじゃないか?」
「あぁ。休ませてもらうよ。」
さて、目の前に敵がいるもが、相手が動く様子もない。接近して攻撃するか?いや、何かのスキルを使おうとしているな。タイミング次第で痛手を負うかもしれないし、ここは様子を見るか。
「スキル{魔獣召喚陣}」
魔獣召喚陣ってことはスキルで展開された魔法陣から魔獣がわいてくるのか?
そう思ったのもつかの間、出てきた魔獣はたった3体。ただ、魔法陣が消えていない。おそらく時間経過で再びわいてくるのだろう。それにもう一度スキルのために入っている。つまり、こいつは大量の魔法陣を展開することで大量の魔獣を同時に使役することができるってことか。
それじゃ俺はこの隙に倒すだけだな。まずは邪魔をしてくるであろう魔獣を倒すか。
武器を装備、そして接近!
あっさりと切り裂く。残りの2体も同様に。ただ、それを終える直前に相手の2つ目の魔法陣が完成し、さらに1つ目からさらに3体出てきた。これで6体。これは面倒だが、このエリアはこいつが大量の魔獣を召喚する前提なので半径20メートルくらいの円形とかなり大きめのエリアが用意されている。
「キキョウ!壁のギリギリまで離れてろ!」
「あれやるのか?」
「仕方ないだろ。スキル無しだとさすがに鼬ごっこだし、なんなあらこっちが不利になるだけだ。」
魔獣といっても様々なものがいる。それぞれの魔獣に種族名があるわけではないが、問題はその中に異常な攻撃力を持つものや、異常に高い防御を持つもの、AGIが異常に高いもの、防御系のスキルを貫通できるものなど何でもありだ。その分他のステータスでデメリットを負っている場合がほとんどだ。
キキョウが壁際までついたみたいだ。行くぞ
「スキル{大地の覇者}」
スキル効果の剣山大地は範囲全体に影響する。もちろん範囲内に魔獣操鬼もいる。あいつは分類としては鬼といわれる種族に当たるらしい。鬼にはいろいろとある。一般的に多くの人が想像するであろう屈強な肉体に角が生えたようなものもいればゴブリンのような見た目の小鬼と呼ばれるもの、どこからどう見ても人にしか見えないような上位種もいる。ネットで見た写真でしかないのだが、どこからどう見てもはかなげな少女にしか見えないダンジョンボスの鬼もいるらしい。これらの鬼はオーガの系統に分類されるが、それはどうでもいい。割と人型に近いこいつがどのくらいのレベルの鬼なのかがわからない以上油断はできない。
そう思っていたのだが、剣山大地で倒せてしまった。厄介な性質を持っているだけでそこまで強いモンスターじゃなかったのか?
「さすがミクだな。俺のことをキキョウって呼んだのは減点だけどな。」
「ごめん、無意識だったわ。ゲーム内だとどうしてもな。」
「わかるから別にいいんだけどな。俺は恭平であると同時にキキョウでもあるんだから。」
「そうかよ。ほら次の階に行くぞ。」
それから俺たちは怒涛の勢いで20階まで進んでいった。そこまで難易度が爆上がりするでもなくレベルカンストしていればどうにかなるくらいの難易度だ。
ただ、20階からは少し雰囲気が変わった。これまでのボス部屋は真っ白な部屋だったのに対して20階に入った瞬間フロアの雰囲気が変わった。なんというか禍々しい、たとえるなら魔王城を彷彿とさせるような雰囲気だ。
ここからが本番ってところだろうな。




