第40話 自己紹介
「そういえば全員でこうやってのんびりするのって初めてだな。」
ヴァルのその発言は何気ないものではあるが確かにそうだ。俺たちは全員で集まって談笑したりっていうことを全くしていない。もっとお互いのことを知りたいとは思うが、どこまで踏み込んでいいかがわからないな。
「そういえばそうだな。パンドラはみんなと交流があるけど、俺とゲルマはヴァルたちのことをあんまり知らないしな。」
「それじゃ改めてみんなお互いのことを知るために自己紹介的な感じのことをしない?」
「いいな。それじゃ言い出しっぺのパンドラからな。」
「えー、まぁいいけど。みんな知ってるとは思うけど、改めて名前はパンドラ、ステータス的にパーティを組んでの戦闘よりもソロプレイの方が得意かな。もちろんサポートをしたり、レベリングをしたりっていう手伝いもできるからいつでも言ってね。」
「それじゃあ次は俺な。名前はキキョウ、パンドラとはリア友だ。職業は戦士でステータスは防御系とにバランスよく振っているいわゆる万能型ってやつだな。レベルはカンストしてる。パンドラとは逆で単独での戦闘は苦手だからいろいろと協力を頼むかもしれないけど、その時はよろしくな。」
「それじゃ次は俺、名前はゲルマだ。キキョウに誘われてきて、ステータスはDEX極振り、多分今全プレイヤーの中で一番DEXが高いかな?戦えない代わりにサポートは任せてくれ。」
「次は俺たちだな。まずは俺から、ヴァルだ。職業はアサシン。AGIとSTR特化のステータスだ。音速で動くことが出きるから索敵や暗殺、不意打ちによる襲撃が得意だ。」
「私はミルナです。魔法関連のスキルをいろいろとってます。攻撃系統なら結構いろんな魔法を使えます。」
「これで全員だね。それじゃみんなある程度の情報を共有しようか。スキルとかに関してはパーティーで戦うときに知っておかないといけないし、スキルの特性とか系統だけでいいからざっくりとみんな言っていこう。」
「俺は基本的にはバフと見方をかばうスキル、防御系のスキルしか持ってないな。自分以外に干渉することがないスキルばかりだから戦闘の時はあまり気にしないでいいぜ。」
キキョウのスキルとかってそういえば聞いたことなかったな。そんな感じなんだ。
「俺はさっきも言ったが生産系のものしか持ってない。自分で戦ってもないからアイテム制作で手に入れたスキルだけだな。」
まぁ、ゲルマはそうだよね。
「俺はバフ、デバフ、状態異常、状態異常耐性、あとは攻撃系のスキルだな。味方に干渉するスキルはほとんど持ってないな。」
「私は魔法の威力をあげたり、魔力量をあげたりするスキルを持ってるよ。」
ヴァルとミルナも予想通りって感じだね。
「それじゃ最後は私ね。私はバフ系統以外はスキルの詳細を全部公開するね。ちょっと癖の強い者がいくつかあるから。まずバフ系が{大物殺し}と{神速}、{暗殺者}だね。これの詳細は省くね。」
「どれも俺が持っているものだな。その3つだけでも相当脅威なんだが。」
ヴァルのリアクションはいたって普通だ。キキョウは知っているから特にこれといった反応はない。ゲルマも同様だ。ミルナはよくわかっていないみたいだ。
「次に{虐殺者}半径10メートルの範囲内から好きな数の生物を対象にとって即死させるスキル。」
「なんだその無法スキル⁉さすがに使用条件とかあるよな?」
「使用条件はないね。ただその代わりクールタイムが30日に設定されてるんだよね。」
「1度使えば1か月使用不可か。確かに見合っている条件だな。」
「そうだね。で、次に{大地の覇者}。これは5秒間地震が発生した後、剣山大地っていう別スキルが内包されててそれが発動するスキルだね。剣山大地っていうのはこれね。」
そういってヴァルとミルナに地龍ガイアの剣山大地の映像を見せる。
「これまた高威力な攻撃スキルだな。使用条件は?」
「特に条件とかはないかな。しいて言うならMP消費が激しいね。」
「MP消費が条件のスキルか。」
「そう。そしてもう一つ。」
「あれ?お前が持ってたスキルって5個じゃなかったっけ?」
そういえばキキョウにスキル買ったこと話してなかったっけ?
「そういえば言ってなかったね。町でスキルスクロールを買ったんだよ。」
「へー、それでなんてスキル?」
「有名なスキルだから知ってるとは思うけど{反撃領域}っていうスキル。」
「{反撃領域}?何であんなもん買ったんだ?あれってただカウンターの成功確率が上がる領域を出して、しかもそれは視認できてその中から動けないんだろ?デメリットがでかすぎるだろ?」
そう。確かに世間の評価としてはこうだった。それは間違いない。AGIが無限になって知覚速度が上がるとはいえアバターを動かす感覚が違いすぎて本来確殺カウンターとは程遠い。でも俺の場合は違う。無生物である以上AGIの制御が機械的で自由自在。それでもプレイヤーからしたら対策は簡単なことだ。ただこのスキルの真価はそこにはない。
「確かにそうだね。ヴァルの言ってることはもっともだと思う。でもその説明は正確じゃないかな。正確には領域を展開して5分間その中から出ることができない。ただしスキルを使ったらその領域内でAGIが無限になって知覚速度にもサポートが付く。あくまでもAGIを上昇させるだけだからSTRが低い場合はカウンターが失敗することもあるんだよね。でも私の場合は基本的にカウンターは確実に成功する。そしてこのスキルは対人以外でこそ真価を発揮する。例えば高レベルモンスターがうじゃうじゃいる場所で使ったらどうなる?」
「確かにそれなら大量の経験値稼ぎができるな。しかもパンドラの場合腕が10本もあって領域内すべてが腕の届く距離だな。」
「でしょ?それに対人戦でも使い道はあるよ。相手が接近してきてたらどう?例えば半径1m県内にいるときとか。」
「その瞬間にスキルを発動させてカウンターを無理矢理あてるわけか。なんて強引な。」
「でも初見では絶対対応できないでしょ?」
「そうだな。そのゲーム脳がどうなってるのか気になるレベルにはゲーム慣れしてるし頭もいいってことは分かったよ。」




