第39話 全員集合
ゼウスのローブを見た俺たちは数分してようやく情報を整理し始めた。
「この[人外][神]っていう2つの属性が何かわかるか?」
「全くだね。」
「俺も全く知らんな。」
キキョウの問いかけに対する俺とゲルマのリアクションは同じだ。もしかしたらヴァルなら何か知っているかもしれないということでヴァルとミルナも招集した。
2人ともインしていたのですぐにギルド転移で戻ってきた。
「3人ともどうしたんだ?俺たちを呼び出さなくても大抵のことは解決できるだろ。」
「ヴァル君、そういうの良くないと思うよ。みんな同じギルドの仲間なんだから。」
「ミルナがそういうなら。それで何かあったのか?」
「ちょっと聞きたいことがあってね。なんていえばいいかわからないんだけど、プレイヤーの特性?的な奴で[神]とか[人外]って聞いたことない?」
「神は知らんが人外はお前自身だろ。」
「それはそうなんだけど、私は人外の特性持ってないし。この装備なんだけど、クエストの報酬でゲットしたんだよね。」
ヴァルはしばらくゼウスのローブを見つめた後、口を開いた。
「これは行かれた性能の装備品だな。しかも現状ではユニークプレイヤー以外が装備しても全く無意味だと来たもんだ。[神]も[人類]もこれまでのゲームシステム的には全く触れられていない。ただ、ユニークプレイヤーと並べられてるってことはそれと近しい何かってところか。」
「私たち3人も同じ見解なんだけど、何か知らない?」
「あいにく俺は何も。ミルナはどうだ?」
「よくわからないかな。それをその神とか人外とかの人がつけてたら強くなれるっていうことは分かるけど、そんなものゲーム内で聞いたこともないし。」
「だそうだ。俺たちから言えることは何もないかな。ただ、その装備には興味がある。」
「ゲーマーならだれでもそそられるでしょ。未知の特性持ちでないと装備の真価を発揮できなくてしかもその能力がとてつもなく強い。」
「そのうえ、これまでゲーム内に存在していなかった状態まで追加されている。」
「そうだね。キキョウもゲルマもこれについてはよくわからないみたいだからいったん私が装備してみるね。」
そういって俺は装備スロットの画面を呼び出し、装備にゼウスのローブを追加した。手に装備する剣などの装備はミミックの状態でも反映されるが、それ以外の装備は見た目に反映されない。もちろんその効果は発揮されるが。
「見た目に変化はないな。」
「ミミック状態だと武器以外は見た目に反映されないからね。この特殊スキル②の結果が表示されたね。えーっと、[魔鋼体]だって。誰か魔法打ってみて。多分ノーダメージだから。」
「この中で攻撃系の魔法使えるのってミルナだけじゃないか?」
「私でいいならやるけど、本当にいいの?」
「大丈夫。この説明が本当なら魔法は一切効かないはずだから。」
「わかった。それじゃ行くよ!【ファイアランス】」
炎系統のかなり上位の魔法だな。火力もそれなりに高く、射出速度にも優れている。魔法を主軸にプレイするプレイヤーたちがこぞって使用する魔法だ。
俺に命中した瞬間炎が消え去り、ダメージは無効化されていた。やはり説明もこの装備も本物らしい。
「本当に無効化できるんだな。」
最初に口を開いたのはキキョウだ。俺もそれに続く。
「うん。これならこれまで倒せてなかった地底の遺物とディクティオン最影の魔物も余裕かもね。」
「それは言いすぎじゃないか?地底の遺物ってあれだろ、地底王国跡地の隠しエリアに現れるっていうバグレベルに強いモンスターだろ。って、あいつと戦ったことあるのかよ⁉」
そういえばヴァルたちには言ってなかったっけ。
「言ってなかったっけ?本来のステータスが解放されたおかげで何とか善戦はしたんだけど、第三形態があってムリゲーっぽかったからギルド転移で逃げかえったんだよね。」
「パンドラが勝てないってどんなバグだよ。しかもあの時の速度も出せるんだろ?結局お前って本来の姿だと最大速度どこまで出せるんだ?」
「マッハ14ってとこかな?」
「マッハ14ってことはAGI14000!!??」
「いや、私のステータスとみんなのステータスって違って私の10はみんなの1と同じくらいの扱いだけど、数値が大きくなればなるほど1あたりの価値が上がっていくんだよね。私の本来のAGIが3000でその価値がみんなのステータスでいうところの14000だね。」
「それでも十分すぎるくらいに化け物だろ。通常のプレイヤーの中でもかなり上位に食い込むはずの俺の10倍だぞ。」
「ヴァルもすごいよね。マッハ1.5って相当でしょ?」
「お前に言われてもなんもうれしくねぇよ。」
「そう?そしたらとりあえず要件はこれで終わりかな。これについてもだけど、次のイベントと大型アップデートについて少し話したいからみんなでお茶しない?」
「いいね。あんまりみんなで集まる機会ないし。」
ミルナが食い気味で賛成してきた。
「それじゃ私が用意してくるからみんなはテーブルと椅子の準備お願い」




