第36話 違和感
疲れ果てた俺たちは全員アウトして、翌日再びユーオン内で再会した。
「ゲルマ、今日のうちに《紅蓮騎士団》の方はクリアしちゃいたいんだけど行けそう?」
「時間は大丈夫だが、クリアできるかはお前次第だろ。」
「そうだね。70までは上げに行こうか。」
「あぁ。今日はどこのエリアに行くんだ?」
「そうだね・・・。まだ行ってないエリアに行きたいんだけど、キキョウ、何か経験値効率の良いエリア知らない?」
「ほんとに人使いが荒いなお前は。経験値効率で言ったらいい場所はいろいろあるけど、やっぱりある程度強いモンスターがそれなりに大量ポップするエリアだろうな。まぁ、そんなエリアは大体モンスターの強さもバグレベルだから研究が進んでないからな。これまでお前が行ったエリア以上に経験値効率の良さが明言されてるエリアはねぇよ。」
「そっかー。それじゃあ、デュラハンがリポップしてほしくはないし、遭遇もしたくないけど、ニュンペーの森跡地に行こうかな。」
「それがいいと思うぞ。お前の場合あそこが一番効率良いだろうし。」
「俺が座標転移先に登録してるから今回は楽に行けると思うぞ。」
「そっか。それじゃ早速行こうか。」
・・・・・・1時間後・・・・・・
「パンドラ、レベル70行ったぞ。」
「やっとだね。それじゃここを離れてサイリアに行こうか。転移先に登録してたよね?」
「あぁ、登録してるぞ。それにしてもお前の中慣れれば意外と快適なんだな。」
「それは良かった。それじゃ転移お願い。」
「転移アイテム『座標転移』」
サイリアに転移した俺たちは早速《紅蓮騎士団》のギルドホームを訪れていた。
「お待ちしておりましたパンドラ殿。それで、そちらのものは玉髄を加工できるようになりましたかな?」
「もちろんですカイザ殿。鍛冶場と素材をお貸しいただければすぐにでも作成できますよ。」
「それはありがたい。それではゲルマ殿こちらの鍛冶場でおつくりいただいてよろしいでしょうか?」
俺とゲルマは顔を見合わせる。このギルドには鍛冶師どころか生産職もいないはずだ。それなのになぜか鍛冶場が用意され整備されている。
「すみません。用事を思い出したので1時間ほどお待ちいただいてもよろしいでしょうか?」
ゲルマの方からそういって退出の許可を求めた。
「もちろんこちらとしては依頼している身ですので」
「すみません。パンドラにも手伝ってもらいたいんだがいいか?」
「もちろん。それではカイザ殿1時間ほど後にまたお伺いいたします。」
「えぇ。お待ちしています。」
俺とゲルマは2人そろって一度ギルドに転移した。ギルドホームキキョウはいなかったので2人で話し合うことにした。
「どう思う?考えてることは同じだと思うけど。」
「そうだな。あの整備された鍛冶場、それにNPCにしては他人行儀すぎる気もする。」
「うん。このクエストは何隠し要素がありそうだね。もちろん通常のクリアもできるんだろうけど、どうせなら」
「隠し要素も含めてこそクリアだな。」
「それじゃ相談と行こうか。あのギルドについてどう思う?特に生産関係。」
「絶対に生産職を抱えているとは思うな。玉髄の加工は無理だろうけど。それにしてもなんでそれを隠しているのかがわからないんだよな。」
「そうだよね。私も皆目見当がつかないんだよね。何か理由があるんだろうけど。これに関しては直接聞く以外に知る方法はなさそうだね。」
「何か厄介な秘密を抱えてそうだし、もしかしたら長期的に続くクエストかもしれないな。まぁ、地道に進めていくしかないだろうな。」
「そうだね。」




