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ユートピアオンライン~ミミックのアバターを強制された俺はなんだかんだでゲームライフを謳歌する~  作者: 雲英侑李
第1章 ユートピアオンライン1

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第35話 希望の光

ディクティオンの百穴について分かっていることはほとんどない。分かっているのはマップとここのモデルになった場所くらいだ。ここがどういう設定の下作られたのかはよくわかっていない。だが、ユニークプレイヤー関連なのは確定とみていい。何かないか?地底の遺物と戦闘したときに何が有効だった?あいつの場合は襲ってくる歯車を地道に壊し続けただけだしな。地底の遺物の時同様人型になることは出来るけれど、人型の場合、ミミックの時以上に{不壊}の発動条件が厳しい。

あの時はエリアの特性を利用した攻撃を仕掛けてきていた。もし古代文明関連の隠しエリアにいるモンスターが全てエリアの特性を利用していると仮定したらどうだ?確かに地の樹海の隠しエリア《反転の樹海》のモンスターも周囲の植物を利用した攻撃を仕掛けてくるという情報が出回っていた。そう考えると、エリアの特性を利用していると考えるのが一番自然だ。つまり、隠しエリアにいるモンスターたちの絶対的な攻略法はただ1つ!

“エリアの特性を無効化すること”

《失われし古代の王国・地底》の場合はどうにかして砂をすべて消す、もしくは操れないようにする。

《反転の樹海》は周囲にある植物を燃やし尽くすなどして相手に与えられた物量を削ぐ。

そしてここ《ディクティオンの百穴・最影部》は影を消す。このエリアはすべてが陰で構成されていると考えられる。それなら周囲が見えないのにも納得がいくし、エリアの名前からしてもそう考えるのが自然だろう。影というのは光源があることで生まれる物。ただ、この広さの影を生んでいるとなるとその光源を消すことは現実的でないし、光がないと俺の目は機能しない。ここでの最適解は影をなくすために強力な光を浴びせること。


「ゲルマ、閃光弾的なもの持ってない?」


「閃光弾?作れはするけどもってはないな。」


「それじゃ仕方ないね。いったん撤退するよ。ギルド転移」


俺の中にいたゲルマごとギルド転移で撤退した。


「おぅ、戻ったか。やっぱり無理そうか。」


「いや、勝機を見つけて戻ってきたんだよ。ゲルマ、超強力なライトの作成をお願い。必要素材はこれで足りるよね?」


普通のライトに必要な素材を大量に渡す。


「足りるけど、いったいどういう状態なんだ?」


「あの場所は多分影の中で、影だから光がなくてほとんど視覚が機能しない。そのうえ敵は影を利用して隠れたり攻撃したりしてるんだと思う。だから光を使ってそれを封じてしまう必要がある。私はキキョウと町まで行って遮光サングラスを買ってくるから。」


「俺も巻き込まれるのかよ。まぁいいけどさ。」


「それじゃゲルマお願いね。今日もう一回戦いに行くわけじゃないけど、できるだけ早めだと嬉しいかな。」


「任せろ!ライトなら1時間もかからねぇよ。」


「それじゃキキョウ、パーティ登録して町まで送ってー。」


「人使いが荒いな。それじゃ行くぞ。転移アイテム『座標転移』」


キキョウのおかげでイロアまで転移して遮光サングラスを買うことができた。それも最高級品。ゲーム的なことを言うならば光による目の眩みを無効化、サングラス特有の視界の変化もなし。これとゲルマの作ってくれたライトがあればあのエリアでも戦えるはずだ。

ただ、急ぐ必要はない。次のイベントが終わってからでいいかな。次のイベントでゲルマのレベルを最大まで上げてDEX極振りの究極体にする。そして最高の武器を作ってもらいたい。今回は人型で戦う都合上10個の武器は必要ないが、今使っている短剣たちだと正直心もとない。


「なぁ、パンドラ、ちょっと話していかないか?個室のあるカフェで。」


「どうした?まぁいいけど。」


キキョウに誘われてカフェに来た。奢ってくれるらしい。ミミックがお茶を飲んでケーキを食べている絵面は自分でも異常だと思うけど。


「あのエリアについてどう思ったか聞かせてほしいともってさ。あと、ゲーム内の口調だと疲れるだろ?」


「さすがキキョウだな。気が利く。それじゃ1つずつ議論していこうか。まずはあそこにいるモンスターについて。」


「俺は一瞬でやられたからわからないが何なんだあれは?」


「それは俺もわからない。姿が見えなかったからな。おそらくだけど、陰に潜むことができるモンスターの群れだな。もしくは大量の分体を持つ1体のモンスター。それを統一するモンスターには相当高度なAIが使用されてると思う。」


「なんでだ?」


「最初攻撃してきて、{不壊}でダメージ受けなかったんだけど、その後こっちが動くまで攻撃をしてこなかったんだよ。しかもこっちに距離を詰めさせることもしなかった。」


「そりゃすごいな。」


「モンスターについてはこれくらいしかわからなかったけど、一つ面白い仮説があるんだけど聞く?」


「聞くに決まってんだろ」


「だよな。俺の予想なんだけど、ユニークプレイヤーにはそれぞれ対応したダンジョンが存在している。そしてそのすべての説明欄に古代文明という単語が含まれている。ここまでは前にも話したよな。」


「そうだな。」


「それでここからが仮設なんだけど、それぞれに隠しエリアがあるのはほぼ確定としてそのエリアには何かしらのエリアとしての特性か特徴があるんじゃないか?地底の遺物のとこは砂地、反転の樹海は樹林、ディクティオンは影っていう感じで。」


「確かに何かしらの特徴があるな。」


「しかもそのすべてがそのエリアの特性を利用している。樹海の方は植物を操って攻撃してくるらしいし、地底の遺物は砂を自分の体の一部として操ることができる。ならディクティオンも影を操るなり影を利用してくると考えるべきじゃないか?でも攻撃とかその時の状況からして影を操っているとは考えにくい。つまり、あいつらは影を利用して自身の姿を消し、実体もないものとして存在している。」


「なんとなくしかわからんが、お前が結論づけようとしていることは分かる。エリアの特性を消してしまえばあいつらはお前なら倒せる相手だってことだな。」


「そう。さすがキキョウだね。まぁ、それでも普通のプレイヤーが倒そうと思ったら相当なプレイヤースキルを要求されるけど。」


「それはしゃあないだろ。簡単にストーリーを進行させるわけにもいかないだろうし。」


「そうだな。少なくともあいつらはストーリーの進行フラグか何かになっているとみていいだろうしな。」


「それがなかったらお前のこれまでのは全部無駄足だったことになるけどな。」


「そうならないことを祈るよ。ゲルマを待たせてもあれだしそろそろ戻ろうか。もう1時間経ってるし。」


「もうそんなになるか。今日はもうみんな落ちるかな。ミルナたちはもう落ちてるし。」


「そうだな。もう時間的にも遅いし。俺たちも明日学校だしな。」


「もう少しの辛抱だよ。あと1か月もしないうちに夏休みに入るんだし。」


「そうだな。まぁその前に大型のアップデートに加えてイベントがあるけどな。」


「とりあえずイベントまでにゲルマと《紅蓮騎士団》の方クエストはクリアしておいてくれよ。」


「あぁ、任せとけ!」

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