第280.5話 『完璧』からの挑戦状
時は数日前にさかのぼる。間もなくイベントだろいう日にとある人物からメッセージが届いた。それもギルドマスターのみが使用可能なチャットツールでだ。
「メッセージ?」
「そうみたい。送り主を見てもう嫌な予感しかしてないんだけど。」
「その言い方的にパルフ?」
「やっぱネイは鋭いね。今他のみんないないし、一緒に見る?」
「そうしよっかな。どうせ私がらみだろうし。」
『ギルド『パンドラの箱』ギルドマスターパンドラ殿
ギルド『完璧』のギルドマスターパルフだ。これまで我々と貴殿らは幾度となく争ってきた。しかし、それをしていてはお互いのためにもならないだろう。だからこそ今回のイベントで決着をつけようではないか。こちらが勝利した場合、以前結ばされたそちらのメンバーへの接触禁止という条項の撤廃、そちらのメンバーとなったネイの返還を行ってもらう。こちらとしては負けるつもりもない。せいぜいあがいて見せろ。』
「なんというか普通に文面が失礼だし、あまりにも自分勝手だね。何でこんな奴のギルドにいたの?」
「とりあえず大規模ギルドで実権を握りたかったからね。自分のギルドの運営なんて面倒なことはやりたくなかったし。」
「でも相手は選びなよ。そのせいでこんなに粘着されてるんだから。」
「まぁ、今はあんたがいるし大丈夫でしょ?」
「それもそうだけどね。それで、どうする?」
「トーナメントで当たることなく終わるのが一番いいけど、向こうも実力だけはあるギルドだからね。多分上がってくるでしょ?そうなるとこっちがさっさと全滅する?」
「そんなやらせみたいなことしていいの?」
「私のプライドは許さないわね。」
「じゃあ戦おうよ。向こうは何か策を用意してるみたいだけど、私とネイ、先生、リン、キキョウまでそろうんだよ?負ける方が難しいって。」
「向こうが強気なのが気になるわね。相当追いやられてるのか、それともよほど自信があるのか・・・」
「どちらにしろ返信は送っとこうかな。」
「なんて送るの?」
「今話しながら軽く入力してたんだけど、こんな感じ。」
『パルフ殿、その挑戦受けさせていただきます。が、そちらが勝利した際の条件のみ要求され、こちらにはメリットのないもはや一方的な宣戦布告となっています。ですので、こちらが勝利した際の条件を私から提案させていただきます。『パンドラの箱』が勝利した際には先ほどパルフ殿から送られてきたメッセージを情報屋に提供させていただきます。あれほど不躾な物言いをされていらっしゃいますし、新規でギルドに加入する人もそうそういなくなるでしょうし。現存メンバーも離れていくでしょう。あなたにその覚悟がおありなら挑戦を受けさせていただくこととします。』
「あんたも相当嫌味な言い方するわね。」
「このくらい言った方が乗ってくれるでしょ。」
「あえて乗らせに行ってるのね。なら納得だけど。それにしてもパンドラって人をあおるのうまいわよね。」
「そう?自分が言われてキレそうな文面を考えて書いてるだけだからあんまり自覚無いや。」
「無意識でそんなこと書いてるんじゃなくて安心したわ。」
ピロン
「もう返信来たね。見てみよっか。」
『もちろんどのような条件でも受けますとも。万が一そちらが勝利するようなことがあればギルドの解体だとしても受け入れる覚悟はできている。そちらこそ覚悟をしておくんだな。』
「なんでこんなに強気なんだろうね。」
「さぁ?もしかして神化スキルでも取ったのかな?」
「確かにそれで貫通攻撃あれば私は倒せるけどね。だからといってこっちが神化をとってる可能性を考えないとか愚かでしかないね。」
「まぁ、目先の利益に目がくらんでるんでしょう。ただ、油断はしないようにね。」
「誰に言ってんのさ。」
「それもそうね。キキョウあたりにいうべき言葉だったわね。」
そして数日。そのギルド『完璧』との戦いが始まる。




