第280話 小さくなるとかアバターとか
「今の何!?」
「アバターサイズを一時的に小さくするポーションだ。効果が強力な分使用条件を厳しくせざるを得なかったがな。」
てっきりユイユイかレントルが来たものだと思っていたら敵を倒しに前線まで来ていたのは先生だった。
「条件って?」
「みんなも聞いてないんだ。」
ネイが聞いたということは全員知らないと見ていいだろう。
「念の為こっそりついていってたからな。条件は複数のアバターを持っていることだ。似たような条件は色々つけようがあったんだが、アバターに関する能力ならアバターに関連した条件の方がいいだろ?」
「実質ユニークプレイヤーか神化・神術スキル持ちしか使えないってわけだね。」
「あぁ。ちなみに条件にアバターを3つ以上所持していることっていうのもできるから今度それで強力なポーションか何か作ろうと思ってる。このレベルの条件ならゲームシステムを覆せるレベルのものまで作れるはずだからな。」
「?でも私しか使えなくない?」
「実はそうじゃないんだ。まず、今回のアップデートで俺は神術スキルに付随して{鍛治神化}という神化スキルを獲得している。能力自体は劣化版だから誰にも言ってなかったんだが、これで新たにアバターを1つ獲得している。」
「それじゃ先生と私の2人。」
「それも不正解だ。」
「そうね。私の{精霊神化}は4つの精霊の姿のアバターを有しているから私の対象になるわね。」
「確かに!3人使えるとなれば十分作る価値もあるし、切り札になりえるね。」
「そうだ。まぁ、完成はまだ先だ。今は目の前の相手を見た方がいいだろう。」
「そうね。」
「ネイ、柄にもなく緊張してる?」
「まぁ、してないと言えば嘘になるわね。作戦通りでいいのよね?」
「まぁ、そうだね。向こうからさっき釘を刺されてるし。」
実は今回のイベントの開始数日前にギルド{完璧}からとあるメールが送られてきていた。要約するとこれまでの因縁に決着をつけよう。どちらが勝っても恨みっこなしだ。とのことだ。向こうの要求は以前こちらが突きつけたメンバーへの接触の禁止という条項の撤廃とネイの連れ戻しだろう。つまり今回の負けはこれまで以上に許されない。
「相手としては辛いだろうな。こっちのメンバーに接触できない以上うちの武器屋を直接みることはできていないはずだ。つまり、どの程度の生産職系のプレイヤーがいるのかは把握できていないはずだ。」
「確かにヴァルのいう通りだけど、たぶんどこかしらから現物は入手してるんじゃないかな?」
「それもそうか。まぁ、ネイに敵うことはないだろ。」
「そうだね。一掃してきちゃいな!」
「えぇ。ただ、パルフが何も仕込んでないとは思えなくてね。前回は体に爆薬を巻きつけて自爆までしてきたし。今回も何かとんでもないものを仕込んでそうなのよね。」
「まぁ、バグとかチートを使うようなら運営が止めるだろうし、純粋な人数差と小細工程度じゃその差は埋まらないでしょ。それとも自信ないの?」
「言ってくれるじゃない。あんな奴らくらいサクッと片付けてきてあげる!」
《VS『完璧』》




