第277話 『仮面団』
「みんな大丈夫?瞬殺されちゃったみたいだけど。」
「初撃を耐えるのだってやっとだったよ。それを耐えたのだって俺とキキョウとリンだけだったし。」
「そういえば気になってたんだが、リンは何で生き残ってたんだ?ヴァルはAGIで解決できるし、俺は鎧に守られてたが、お前はそうもいかないだろ?」
「あの程度なら対応できる、って言いたいところだけど、スキルのおかげだよ。10秒間ダメージを3分の1まで軽減する{硬化}ってスキル。{獣神化}にセットでついてたっぽい。」
「なるほど。それで生き延びたわけか。それにしてもパンドラ以外全滅とは想定していた以上に強かったな。」
「まぁ、前のことを考えてもしょうがないんだし、次のことを考えよ!予想通り{仮面団}が上がってきてるみたいだね。かなりの大規模ギルドだから{裁き}を使おう、って言いたいところなんだけど、後半まで秘匿しときたいから今回は私がどうにかするよ。」
「どうにかするってどうする気だ?ロキの魔法でどうにかする気か?」
「いや、今回はパンドラで出るよ。{魔神化}の獲得でとれるようになったスキルなんだけど、面白いものがあるから。{分身体}」
「うわっ、増えた。」
「これが新しいスキル。{分身体}を1つ作り出して動かすことができるんだ。そこそこなAIが搭載されてるし、私の行動を全部学習させてるから私に化けることくらいは可能だね。スキルはコピーされないけど影武者としておいとく分には十分でしょ。」
「なるほどな。ロキの状態のパンドラを学習した分身に本体のパンドラか。これでほかのギルドにはパンドラとロキは別人物と誤認させることができる。」
「そういうこと。ほらそろそろ始まるよ。」
「仮面団と直接戦うのは初めてだな。」
「だね。前の情報とは変わってるかもだから注意してね。」
《VS『仮面団』》
マップへ転送される。ロキからパンドラの姿に戻っているのを確認し、戦場を一気に駆け抜ける!敵の軍勢が見えてきたが、数がすさまじいな。ざっと200人はいそうだな。今回はマップの都合上超大規模ギルドには人数制限がついていたはずだ。その数が250人だったはずだし、多分最大数で来てるな。
「敵襲!」
おっとこの速度の俺に反応できるか。まぁ、関係ないな。
「スキル{毒霧}」
味方は全員毒を無効化している。取り残しの内容エリア全体を覆いつくすように{毒霧}を発動する。さすがに全員が耐性を持っているようだが、耐性では無効化は出来ない。多少ダメージは入ってるみたいだな。さて、人数も多いことだ。大衆には初お披露目のスキルのオンパレードと行きますか。
「スキル{毒侵食}」
{毒侵食}は対象を10人までしか選べないが、その分効果は絶大だ。適当な10人を倒せば多少の動揺が生まれるはず。
「スキル{浄化の光}」
範囲内の毒の無効化か。{毒侵食}も無意味になっちまったな。こんな芸当ができるのは・・・
「初めまして、ですね。私は『仮面団』ギルドマスターのノルルと申します。」
やっぱりマスターか。強力な神聖魔法とバフ系統の魔法の使い手だと聞いているが。
「こちらこそ初めまして。『パンドラの箱』ギルドマスターのパンドラです。仲良くしたいわけではないので速攻で終わらせますね。スキル{霞流連斬}」
唐突に腕を10本生やしてからの100連撃しかもその手には普段の短剣ではなく大剣が握られている。1撃につき平均2人が切り伏せられ残ったのは対処できた数人の幹部と運よく当たらなかった20名ほど、そしてギルドマスターであるノルルのみだ。
「これはこれは。恐ろしいスキルを持ってらっしゃること。それではこちらも。スキル{束縛の光}」
スタンか。まぁ、このくらいはなんてことない。
「さぁ、一斉攻撃です!」
全員が一気に襲い掛かってくる。{束縛の光}は相手を2分間スタンさせ拘束するスキル。だが、その効果は実体のある相手にしか通用しない。つまり俺の本来の腕以外の8本の腕だけは動かすことができる。そしてスタン状態でもスキルは発動できる。敵の大半が効果範囲に入ったことを確認して・・・
「スキル{反撃領域}」
8本の腕で一気に切り伏せる。倒すことができたのは雑多のメンバーのみ。残ったのはノルルと幹部らしきプレイヤー3人の計4人のみ。さぁ、人数差ですら形勢逆転だ。




