第273話 魔槍と第6回イベント
最後に闘技場の舞台に上がったのはルナだ。何気にちゃんと戦ってる姿を見るのは初めてな気がする。一応レベル60くらいまでは上げてるって聞いたけど・・・
相手のモンスターには物理攻撃が無効で、高速移動するため遠距離攻撃は当てることが難しいというかなり厄介な特性を持った幽霊狼を選択した。攻撃力も高いし、あのモンスターのレベルは90だ。かなり高難易度のダンジョンでしか現れないモンスターだけど、レベリングに付き合ってたネイが何も言わないってことは勝てるっぽいけど、どう戦うんだろ?
「{魔槍化}」
職業固有のスキルだな。魔槍使いならではの戦い方だ。これなら物理攻撃もヒット判定がありはするだろうが、あれがそれ以外にどんな力を持ってるんだ?
「{魔槍 性質変化・毒}」
魔力による攻撃から毒を付与する性質に変えたか。確かに毒を付与さえできて仕舞えばあとは耐えるだけでいい。
「{自動反撃}」
なるほど!確かにモンスター相手なら{自動反撃}があれば十分対応できる。プレイヤーが相手だと{自動反撃}は攻撃さえしなければいいだけで対処できるが、モンスターにそこまで高度なAIを組み込まれているわけがない。
あっという間に毒の効果を最大限重ねがけし、撃破してしまった。対モンスターで考えると最強格だな、
「ふぅー。勝ててよかったよー。」
「ルナってすごいんだね。戦ってるの見たの初めてだったけど、感動したよ。」
「そんなすごいことしてた?まぁ、パンドラちゃんがそういうならそうなんでしょうね。」
「戦いぶりを見ていた感じだと何が必要か判断しきれないが、どのスキルか決めたか?」
「そうだね。ゲルマさんのおすすめってある?」
「正直わからないというのが感想だ。現状のスキルでそのジョブに相性がいいものが思い浮かばない。」
「たしかにね。ルナはスキルつけるのちょっと待ってもいいんじゃない?何か槍につけておきたいスキルが見つかるかもだし。」
「そうね。そしたらそうしよっかな。」
「これで全員終わったな。解散か?」
「ユイユイ、レントル、ハンス、ルナはちょっと用があるから残ってくれる?他のみんなは先にホーム戻ってていいよ。何か用事があるとかなら落ちてもらってもいいけど、後でちょっと話はあるからこっちの要件が終わったらホームで話すよ。」
「分かったわ。それじゃ先に戻ってるから。」
ネイのその言葉を皮切りに指名したメンバーと俺、先生以外の全員が戻っていった。
「で、用事って何ー?」
「みんなにさっき渡したのとは別で新しい装備を渡そうと思って。」
さっき先生から預かったとある装備を渡す。
「これは?」
「お姉ちゃんのは魔法剣士、僕は聖職者。ルナさんは大楯使い、ハンスさんはウィザードの装備ですか?」
「そ。これについてもホームでついでに話すから一旦戻ろ。」
「わかりました。」
装備を渡し終え、全員がホームに戻ってきたことを確認して、次の議題に入る。
「それじゃ改めて今日の本題、来週末に差し迫った第6回イベントについて話そっか。」
「今日全員を集めたのはそれが本命ですね?」
「うん。ハンスのいう通り魔法使い系の人以外を集めたのはこれが理由ね。で、みんな知ってるとは思うんだけど、第6回イベントは来週末、ギルド対抗トーナメント。元々はアップデート翌日に予定されてたんだけど、アップデート直前になってシステムの関係だとかで延期されるね。」
「だな。それでどうするんだ?確か開始時間は未定で、開始時点でログインしているプレイヤーと開催中にログインしたプレイヤー全員が参加対象なんだろ?隠したいメンバーだけログインさせないっていうのも酷だろ。」
「うん。だから入りたい人は全員入ってきてていいよ。開始時間は告知なしで突発的に始まるらしいから、気をつける必要はあるけど、私はその日1日中入っとくから。」
「それなら安心ですね。それでさっき渡された装備って・・・」
「まずはそのことだね。さっき残ってもらって装備を渡した4人には前日ログアウト前にその装備に装備を変えてもらっときたいんだよね。ギルド対抗トーナメントでは全員が強制参加だからメインで戦わないかもしれない人はできるだけ情報を隠したくて。それにユイユイは剣術、ルナは大楯での立ち回りを覚えさえすれば戦えなくもないし。」
「基本は戦わせないってこと?」
「うん。基本の戦闘は私とキキョウ、ネイでやるつもり。厄介な相手がいたらすぐに誰かが{虐殺者}を発動させればいいし。」
「それなら情報は出ないな。でも相手が距離詰めてきたらどうするんだよ。」
「距離詰めさせると思う?」
「まぁ、それもそうか。」
「ほかに質問ある人いるー?」
それぞれの質問に答えつつ第6回イベントの対策をしていった。




