第268話 ラギルの街とマジックストーン
「早かったね。それじゃ行こうか。」
「はい。」
「うん!」
門番の屍を超えた先にはバルエルクの街と同じ程度の大きさの街ラギルが広がっていた。
「ここも大きいね!」
「だね。一応マップもあるみたいだし、まずは宝石商に行こっか。」
「はい。それにしてもかなりのプレイヤーが来てるみたいですね。」
「そうだね。まぁ、開放からちょっと経ってるからね。」
「ほんとにお空真っ暗なんだねー。なんだか夜に遊び歩いてるみたいでワクワクしちゃう!」
「確かに。夜の世界って感じですね。」
「夜というより闇の中って感じがモチーフみたいだからね。ほら、もうついたよ。外は危ないかもだから2人もおいで。」
「いいんですか?貴重な宝石なんですよね。」
「まぁ、他のプレイヤーには情報が出回ってない宝石とかもあるけど、いいよ。」
「やったー!」
そうして宝石商に入り、換金の限界額と言われた2500万ゴールド分を買い取ってもらった。と言っても買い取ってもらえたのは1個だけだったけど。
「あの宝石、いったいなんなんですか!マジックストーンに見えましたけど・・・」
「すごいでしょ?装備に使った時の効果もすごいから今先生に頼んで作ってもらってるんだ。」
「どんな効果なの?」
「基本はMPと魔法の威力が上がるって感じかな?あとは追加で魔法系のスキルなり能力なりが手に入るって感じだね。」
「それだけ聞くとゲルマさんが作る装備の中だと普通に聞こえますけど・・・」
「と思うでしょ?これすごいのがね、他の装備は装備自体にステータスがあってそれが割り振られてステータス補正とか見合う分のステータス値を消費してスキルとか能力を持ってるんだけど、それとは別でかかるの。だからステータスは通常の装備の倍だし、スキルとか能力もつけようと思ば通常の倍つけれるんだよね。」
「すごいね!」
この宝石は他の現実世界にあるような宝石や特殊な宝石類とは分類が少し違う。その性能に見合うマジックストーンという名を冠し砕くことで魔力を少しだけ回復する効果すら持ち合わせている超高性能な宝石、というよりもアイテムだ。どの街でも宝石商なら驚いて買取してくれるだろうけど、プレイヤーから見ればこれはただの石だ。俺だって他の街で宝石に混じって出しちゃって気付いたんだから。どこでも流通している上にMP回復量が渋いためプレイヤーの中での価値は低く1つ300ゴールドほどで買える。そして宝石商の買取価格は1つで2500万ゴールドだ。
「ちなみになんていう宝石だったんですか?」
「レントルが言った通りマジックストーンだよ。」
「え、でもマジックストーンって300ゴールドで買えるでしょ?」
「そう。でも実はあれ宝石で宝石商なら超高額で買い取ってくれるんだよ。プレイヤーはあれを宝石だと知らない。宝石商は・・・」
「プレイヤーたちの中で流通していることを知らない。ということですね。」
「そういうこと。さすがレントル。」
「アイテムの分類宝石じゃなくて回復アイテムだから私も知らなかったよ」
「これ気づける人いないからそう凹まないで。私だってこないだ間違って他の宝石に混じって出しちゃってから気付いたんだし。それよりも3人ともこの街初めてなんだし、回ってみよっか?」
「はい。」
「うん!」




