第266話 ふさわしき力
ユイユイに連れられてきたのは事前に言っていたようにサイリアの街。確かにかなり入り組んでいる裏路地に入っていく。
「お姉ちゃん本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だって。それにパンドラさんもいるでしょ。」
今日の俺は久々のパンドラモードだ。最近はずっとロキだったし、たまにはこっちもいいな。
さらに少し奥まで行くといかにも怪しい建物についた。
「ここ?」
「うん。入ろ。」
心なしかユイユイがいつもほど元気がない気がする。
「ふさわしき力を持たぬものどもよ。即刻立ち去るが良い。」
入った瞬間店主のジジイにそう言われた。なるほど。自分が認めぬ限り買わせないってことか。
「ふさわしき力とは?」
「そうであるな。そこのお嬢ちゃん以外の2人はふさわしき力をもたぬ。高い魔法の適性があってこそこの店には相応しい。」
「ごめんだけどレントル、外で待っててくれる?」
「はい。」
「なぜそこのミミックは出ていかぬ。わしは貴様もふさわしき力を持たぬと言っておるのだ。」
「これでもそう言える?スキル{魔神化}」
姿が変わると店主は顔を青ざめさせながら、
「まさかこのような力を持つ者がいるとは・・・」
「これで買わせてもらえますよね?」
「ま、まぁ、力は認めてやろう。だがわしが取り扱う魔法書は高いぞ?」
「金はあるから。さっさと見せて。ユイユイも欲しいものあったら奢ってあげるから。お金足りなくても明日には稼いでくるからまたあしたこよ。」
「ふん。1日でこれだけの額を稼げるわけなかろうて。ほれ、商品はこれで全部じゃ。」
そう言って店主が持ってきたスクロールは全部で10本。お目当てのスクロールは・・・
「確かにお金は足りないかもね。また明日来るよ。」
「パンドラさんが欲しいものは買えるんじゃない?」
「まぁ、いいから。」
そう言って一旦店を出た。
「どうして買わないの?」
「今日お金稼げば全部買えそうだったしね。せっかくなら全部買って余ったのを他の魔法使えるみんなで分ければいいでしょ?」
「ほんとに!?結構高いよ!」
「どのくらいの金額なんですか?」
「そうだね。スキルスクロール10本で合計1億ゴールドちょっとってとこかな。今手元に8000万くらいはあるし、宝石類も結構持ってるからどこかで換金しよっかな。」
「2000万ゴールド分も残ってるんですか?」
「大体あと1億ゴールド分くらいはあるんじゃないかな?」
「すごっ!」
「ほんとパンドラさんって桁が違いますね。さすがです!」
「そんなに褒められると嬉しいね。でも私が売りすぎたせいでどこの宝石商も今宝石の買取やってないんだよね。だからバルエルクの先にある新しい街に行こうと思ってるんだけど2人も来る?」
「いく!」
「行きたいですが、それならギルドの皆さんで行きませんか?」
「それだと情報が漏れちゃうからね。私がロキになってれば2人のこともバレないし。」
「それもそうですね。それじゃご一緒させていただきます。」




