261話 3兄弟と労働契約
3日間武器屋の準備をしてついにアップデートの日が訪れた。今日は金曜日だからアップデート終了直後の13時にはプレイすることができないけど、16時ごろには家に帰れるし、すぐにインしないとな。
ってか恭平のやつ学校サボりやがったな。アップデート直後にやりたいにしろ午前くらいは来いよ。
なんだかんだ16時過ぎごろに家に帰りつき、ようやくユーオンを開くことができた。今日はネイと、一緒に帰ってきた凛、瑠奈さんもいるって言ってたっけ?
「遅かったな。お前のことだからサボってくると思ってたんだが。」
「あんたと違って真面目だからね。ルナとネイもお疲れー。」
「お疲れー。ってか会うの久々じゃない?」
「だね。ずっと3人で慌ただしくしてたからね。今日が終わればやっと落ち着くかな。」
「それで、例の件のメールは来てるの?」
「来てるよー。さっさと行ってくるね。」
「行ってらっしゃい。」
「どこに行くの?」
「バルエルクって街。リンは行ったことある?」
「あるよ。あの一番端っこにある街でしょ」
「そうそう。ってか多分みんな行ったことあるよね。」
「私もあるしみんなありそうだよね。」
ルナが行ったことあるなら全員行ってるかな?
「それじゃいってくるよ。買い物とか行くんだったら一緒に行くけど、誰もついてこない?」
「ついていかないが、忘れてるぞ。」
「おっとそうだった。スキル{魔神化}」
「えー!なにそれ!」
「そっか。ルナは見るの初めてだったね。神化って名前のつくスキルは姿が変わるんだよ。ここにいる4人全員それなりに詳しいから私がいない間に聞いてみて。」
そう言い残して転移をした。バルエルクの街は広いけど、うちのギルドと店の裏の転移用ポータルを繋いであるから自由に行き来することができる。それじゃ早速行こうか。
「ロキ様、お待ちしておりました。ご要望のあった接客業を希望する人材が見つかりましたので、一度面談をしていただきたくご連絡差し上げました。」
「ありがとうございます。」
「控えさせておりますのですぐにでも可能ですがいかが致しますか?」
「ではお願いします。」
「俺はカズと申します。3人兄弟の長男です。」
「俺はダンっていう。次男坊だ。」
「僕はギルタっていいます。末っ子です。」
まさか兄弟を準備してくれるなんて。長男は礼儀正しく、次男はちょっと豪快な感じ、末っ子は礼儀正しくも少し控えめって感じかな。
「私はロキと申します。我がギルドのマスターであられるパンドラ様より今回の件についての全てをお任せされております。」
「それでロキ殿、今回は接客関連の雇用だとお聞きしたのですが。」
「はい。皆さんに運営してもらいたいのは武器と防具を扱う店です。こちらで商品は作って店までお届けします。基本的には接客と売れた商品の在庫数や在庫のなくなった商品のデータ消去など在庫管理をやってもらいたいです。」
「仕事の内容は大体わかったぜ。待遇を聞かせてもらってもいいか?」
ちゃんとしてるみたいでよかった。ここで待遇を聞いてこなかったらちょっと嫌だったかも。
「はい。お店の2階に部屋がいくつかあるのでそちらを住居として無償でお貸しします。給金は1人あたり売り上げの5%をお支払いします。もし忙しくて仕事が回らないようでしたりトラブルが発生したらすぐに私たちに相談していただいて構いません。その場合は人員を増やす可能性もありますが、その際には給金に関してお話し合いをさせていただきたく存じます。現在考えているのは売り上げに応じて昇給ありの固定賃金の予定です。」
「わかりました。労働に関しての詳細をいただいてもよろしいですか?」
「はい。営業時間は15時〜24時の予定です。遅い時間で働いていただくことになるので、売り上げが安定するまでは給金を追加でお支払いいたします。商品の性能は素晴らしいのでおそらくすぐに繁盛するとは思いますが。労働に関しては皆さんで相談して誰がいつ働くのか決めてください。1日を3つに分けて全員で毎日働いてもいいですし、2人で交代しながら1日の仕事をして1人あたり週4〜5日働くようにしていただいても自由にしていただいて構いません。ただし、2人が体調不良で働けないなどの時は店を臨時休業にするなどして絶対に1人で経営しないようにしてください。」
「わかりました。こちらで雇っていただきたく存じます。」
「こちらこそよろしくお願いします。この後ご都合よければお店まで案内しましょうか?」
「いいんですか?私たち実は行く宛がなくて、早速今日から住ませていただけたりできますか?」
「もちろんです。ですが、1階のお店の方に関してはまだ触らないでください。見たり配置を覚えたりするのはしていただいて構いませんが、今日在庫の運搬を済ませてしまいますので、明日、お店の方の勝手を覚えていただいて明後日の16:30に開店します。初めの方は開店1時間後ごろには私がお店まで来ますので。」
「わかりました。では契約は成立ということで。」
「はい。もし何かありましたらお店に備え付けのメールでもいいですし、この後ご案内しますが、2階に転移できるポータルを用意していますのでそちらから私たちのギルドホームに直接来ていただいて教えてください。」
「それじゃ決まりみたいだし、俺とギルタは兄貴が話してる間に荷物まとめてくるぜ。」
そういって2人は走って行った。
「すみません。せっかちなもので。」
「大丈夫ですよ。今からの内容を後から伝達してくれますか?」
「はい。もちろんです。」
「今言ったことでほとんどなのですが、毎月第3日曜日に私たちのメンバーの誰かが視察兼お手伝いに来ますので、普段で困っていることがあったらその時に教えてくださいね。住居として欲しいものがありましたら相談してくれたらこちらで購入してきますので、給金はあくまでも皆さん自身の仕事と関係ないことのために使ってくださいね。」
「ありがとうございます。」
「うちのギルド名義で出店するお店ですし、うちに敵対しようとする勢力はいないわけではないのでくれぐれも怪しい人物には注意してくださいね。仲が悪いギルドもありますので。それと私に関することは一切秘密でお願いします。今回の話は私ではなく我らがマスターであるパンドラとしたものと思ってください。」
「?わかりました。それでは今日からお世話になります。」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。」




