第252話 認識の阻害と暴走するビーム
「外に出たの久しぶりだな。」
「ごめんね。入ってきたばっかりなのに呼び出しちゃって。」
「大丈夫だ。それにしても大体はリンから聞かせてもらったが、俺が必要ってのは本当なのかい?」
「多分ね。ただ、攻略法は分かってないから、3人はどうにか先生を守って。これまでと何か変化がないか確認してみるから。」
先生の持つ神術スキルは神化のスキルとは違って姿が変わるわけではない。存在そのものが神になるのだから神化をしたプレイヤー4人と神術スキルを持つ神そのものが1人。これでこの場には神の名を関するプレイヤーが5人いることになる。
見た目には変化がなさそうだし、攻撃してみるかな。まずはやっぱり結界だよな。ギミックがあるとしたら心臓部の結界が一番怪しい。
「パンドラ!結界が!」
ん?結界がなんだって?見た目は変わってないように見えるが。
「そっち視点だと何も変わってないの?こっちから見たらあいつの打ってたビームと同じ赤色に染まってるんだけど・・・」
何!?もしかして結界内部で圧縮でもしてるというのか?でも正面から見えないのは何故だ?一旦離れるか。
キィィィィィィィィィィィィ
金属を擦るような音が聞こえたかと思ったら俺の横をビームが掠めて行った。さっきまでのビームとは比較にならないほど速い。威力は変わらないが、そもそもの威力が高すぎて話にならない。
「ありがと。それにしてもあれ何?しかも動かなくなったし。」
「多分エネルギー使いすぎて溜めてるのか、あのビームをどうにかすること自体がギミックに関係あるのか。」
「正面からはさっきまでと全く同じ見た目だったんだよね。」
「だとするとあの結界には認識阻害系の魔法が付与されてる可能性があるな。」
「その可能性が高そうね。でも攻略できるの?あのビーム喰らったら終わりでしょ。」
「私が行くよ。結界に攻撃してみてすぐ動きを止めれば{不壊}が発動するはず。」
「気をつけてよ。あんなのあんたでも喰らったら無事では済まないんだから。」
「みくねぇ気をつけてね。」
「頼んだぞ。」
みんなの期待を背に再び結界に近づく。さっきは結界から5mくらいの位置に入ってから5秒くらいでビームが来たか。それならそれより早く攻撃をするのみ!ただ、神化を解くわけにはいかないから完全な停止が求められる。多少でも動いていたら{不壊}は発動しない。{不壊の目}であのビームが{不壊}を貫通することがないのは分かっている。
結界を攻撃すると明らかにさっきまでと違う感触、そしてヒビが入る。これはまずいかもな。
「みんな避けて!」
俺も{不壊}の発動ではなく反射的に回避行動をとってしまう。
結界に入った日々の隙間からビームが暴走しつつ発射。周囲は地形が変わるほどに破壊し尽くされた。なんとかみんなうまい具合に避けれたみたいで回避は成功している。そしてドルドワロウはというと・・・
「結界が壊れたな。これで心臓部が剥き出しだ。」
「素直に倒させてくれればいいけどね。」




