第233話 戦後分析
「あれ?今日はパンドラいないのか?いるって聞いてたんだけど。ってかその人は?」
「キキョウじゃん。今来た感じ?」
「そうだけど、外部の人間を連れ込むのはどうなんだ?パンドラには許可とってるのか?」
流石に気付けないみたいだな。今はネイが対応してるけど、ネイはどうするかな?
「そんな言われなくても大丈夫だって。ってか無関係でもないし。」
「それでもパンドラにはいうべきだろ。」
「大丈夫だって。」
目配せがきたな。戻れってことか?それじゃスキル解除。
「え・・・?」
「ごめんねー。ちょっと色々あってね。」
ネイは爆笑、キキョウは呆然とし、先生は無関係だとでもいうように立っている。
「本当にパンドラなのか?」
「そうだよ。説明したら長くなるけど、もう一回みてもらったほうが早いかな。スキル{魔神化}」
「神化スキルか。なんで名前まで変わってるんだ?」
「さぁ?まぁ、この方が都合はいいけど。」
「なんでだ?」
「だってこれなら街に行っても目立たないでしょ?たまに因縁つけてくるプレイヤーもいるし、それを対策するためにね。これからはこれがデフォになるから。人型の方が動きやすいし。」
「その状態でゼウスのローブの効果使ったらどうなるんだ?」
「今日はもう使っちゃって分かんないけど、多分パンドラの方の人型になるんじゃない?」
「ちょっと気になるな。」
「そうね。明日にでも試してみたら?」
「そのつもり。それにしてもあれは厄介だったね。」
「そうね。ゲルマがいなければ負けてたんでしょ?」
「うん。キキョウとネイが2人ともいても無理だっただろうね。」
「先生が鍵になるってどんな敵だよ。」
「聞きたい?」
「まぁ、気にはなるな。」
「簡単にいうと単独撃破が強制されるクソ硬い上に外殻剥がしても高火力高耐久、回復持ちのモンスターだね。単独撃破が強制っていうのは他のプレイヤーがエリアに入ってきても即死するってことね。」
「無理じゃね?」
「そもそも外殻剥がすのも先生のあの爆弾10個でやっとだったからね。」
「あれで?」
「うん。剥がれたけど本体にダメージはなかったね。」
「ちょっと待て。あの爆弾は各種族特攻をつけて物質への威力を下げてるから生物なら1つで殺せるはずだが?」
「たぶん外殻は本体とは別の物質扱いなんだと思う。で中身は完全に守られてるって感じじゃないかな?」
「それでも20個あれば街一つ消し飛ぶんだろ?」
「あぁ。生物特攻をつけた状態でも威力はこのゲームにあるどんな攻撃手段よりも高い。まぁ、自分も巻き込むからそうそう使えるもんじゃないが。」
「まぁ、それで無理だったっていうのは事実だからね。ちなみに回復スキルは残傷も治してたし、なんなら{毒侵食}で溶かした場所も完全異修復されたね。喉も溶かしてたんだけどスキル使われたんだよね。」
「無詠唱か?」
「いや、声は聞こえたから多分何かしら声帯を使わずに声を出す方法があるんだと思う。」
「なるほどな。で、どうやって倒したんだ?」
「そんなの倒す方法は一つしかないでしょ?」
「{虐殺者}か?でもあれまだ使えないだろ?」
「そうなんだよ。そこで先生が気づいてくれて勝てたんだよね。」
「気づいたって何に?」
「《パンドラの箱》の効果は登録したプレイヤーの所持するスキルをMPが必要な場合はそのプレイヤーのMPを消費して使うことができる。MPが不要な場合は無条件で使える。」
「急にどうしたんだ?パンドラが登録したのはネイだろ?」
「そうだね。やっぱキキョウも気付けないか。」
「非常に不服だがそうみたいだな。」
「登録の条件は自身以外のプレイヤー。それ以外にこの装備の使用条件はない。」
「だから?」
「他のプレイヤーに譲渡もしくは貸与することで登録されたプレイヤーのスキルを使うことができる。」
「!?マジで?」
「マジだよ。だからネイに死ぬ前提でネイの《パンドラの箱》を届けてもらって{虐殺者}を使ったってこと。」
「そんなんわかるかよ。クイズとして破綻してんだろ。」
「でも先生と私は気づいたよ。」
「パンドラが気づいたのに私は気付けなくて悔しいけどね。」
「私は戦闘開始して無理ゲーっぽいって思った時点で気づいてくれればってずっと思ってたけどね。」
「私が1回目戻った時には?」
「もう気づいてたね。」
「マジ?」
「うん。私戦闘中になるといつも以上に思考が働くからね。」
「ほんと尊敬するよ。」
「それにしてもそんなのに勝って報酬が神化スキルだけっていうのはちょっとケチに聞こえるな。」
「だね。エクストラモンスターは特化型だけど、今回のはバランス型だったからエクストラモンスター以上にやりにくかったけど。」
「また新しいメンバーか?」
今度はヴァルとミルナだ。さっと明かそうかな。




