第229話 {霞流連斬}
攻撃自体は{反撃領域}がなくても十分防げるものだが、その一撃一撃がかなり重い。短剣で上手く弾いたとしても多少のノックバックを喰らってしまう。秘策も残ってるし、やるしかないな。
{反撃領域}の効果が切れるまで3・・・2・・・1・・・
「スキル{神速}」
スキル{暗殺者}による不意打ちのバフが有効化される。これは威力補正のバフだし、多少ダメージが入ってくれるだろう。そして{自動反撃}を買う時に見つけたこのスキル!
「スキル{霞流連斬}」
{霞流連斬}霞という時から想像できる通りこのスキルを発動させる時自身の手元にステルスほどではないが認識阻害の効果を付与できる。そして連斬という名前が示す通りこのスキルは手元の認識阻害をした状態で一瞬のうちに1本の腕につき10連撃の斬撃を繰り出す。ここで重要なのは20連撃ではなく1本の腕につき10連撃なことだ。すなわち腕が10本ある俺ならば100連撃を繰り出せる。
そしてこのスキルにおいて重要なポイントはもう一つある。霞の効果、つまり認識阻害の効果が意味をなさない状況の場合、認識阻害の代わりとなる効果が発動する。状況としては今みたいに自身がステルス状態になっていたり、目ではなく感覚や何かしら特殊な方法でこちらのことを認識しているような場合だ。
そしてそのかわりに付与される効果というのは・・・
「ヴァァァァァァァァァァァァ」
威力の補正と残傷の付与!
攻撃箇所を1箇所に集中させることによってその場所に残傷を付与することができる。残照を付与された部位は強制的に弱点となり、そこに攻撃を加えれば確定でクリティカル扱いになる。
このゲームでは通常頭部や心臓に近い位置が弱点にされ、クリティカル判定が出やすくなる。だが、皮膚が硬いなどの要因でクリティカルを出すのがほぼ不可能な相手というのは存在している。そういう場合は魔法で倒すか、残傷で無理やりクリティカルを出すのが一番手っ取り早い!
今回頭部に残傷を刻んだ。これで頭部を攻撃すれば確定クリティカル!これならダメージも通るはずだ!
「スキル{自己修復}」
{自己修復}?{自己再生}ならスライムとかが持ってたりするけど・・・
!?残傷が消えただと!?それにHPも回復しているようだ。まさか、攻撃、防御、スピードにとどまらず回復まで持ち合わせているとは。これは本当に無理ゲーな気がしてきたぞ。
アレを使うしかないか。




