第223話 10分
なんとか攻撃を回避しつつ戦い続けて約4分が経過。{能力向上}に加えてダリの異様なほどに高い攻撃力では俺の防御は貫通される。さらに武器の特性なのか{不壊}も貫通して攻撃してくる。
「どうしたぁ!手も足もでねぇじゃねぇか!」
本当にNPCか?口調がすごいな。
ただ、押されているのは確かだ。ダリのAGIがこっちを上回ることはないが今のダリには大量のバフや面倒な効果がかけられている。
相手の攻撃を弾こうものならこっちに反撃が来るし、ノックバックまで食らう。反撃のダメージ自体は少ないからそうそうやられはしないが、回避の一手になるのは非常にまずい。流石にそろそろ集中が切れてくる。
だが、ここからはこっちの番だ!
「スキル{反撃領域}」
「なんだ?結界か?」
「ちょっと特殊な結界だけどね。来る者拒まずの結界だよ。」
「そうかよ!それじゃ行かせてもらうぜ!」
{反撃領域}があればこいつの攻撃を回避し続けるのは容易。万が一回避し切れない攻撃が来てもそれは弾けばいいだけの話だ。そして{反撃領域}の効果時間は5分間。俺の秘策の発動に必要だった時間は10分。そこから5分が経過しているから、これで時間稼ぎは完了だ。
「なるほど。その結果以内にいる限りお前の能力が底上げされるのか。その代わり結界から出ることはできないと。」
「その通り。」
「ならばその結界ごと押しつぶすまで{巨石落下}」
なるほど。巨大な岩を落下させる魔法か。リタの魔法だな。だが、これは純粋な質量攻撃のはず。つまり・・・
「なぜ無傷なのだ・・・」
「最初ので学ばなかったのかな?この程度の攻撃じゃ倒せないって。」
「なんだと・・・。舐めやがって。そんなにいうならこれを喰らいやがれ!」
そこからダリは長い詠唱を行なった。おそらくリタの使用可能だった魔法の1種。それも詠唱時間が2分を超えるとてつもない代物だ。
「{深海への誘い}」
聞いたことのない魔法だ。急に視界が悪くなった。何が起こったんだ?ダメージを喰らう様子はない。名前からしてここは深海?いや、{反撃領域}で動けない以上俺のいた座標に深海が生まれたと言ったところか。おそらくこの魔法の効果は相当な深さの深海と同じ状況を作り出すことによって呼吸をできなくしつつ、圧力によって相手を圧殺すると言ったところか。圧力系の攻撃は効かないってわかんないのかね。
ってかこれいつ終わるんだ?呼吸を止めるのを視野にしている以上2分くらいか?
1分半後、急に視界が良くなった。どうやら効果時間が終わったみたいだな。
「なぜだ?なぜこれを喰らって生きていられる?」
「だから圧力とか質量系の攻撃は意味ないんだって。それよりも今度はこっちの番だよ!」
「パンドラの箱効果発動!{虐殺者}!」




