第202話 メンバーだけの時間
ヴァルたちの結婚式は予定通りの時間に開始し、予定通りの時間で終了した。
2人とはあんまり喋れなかったけど、とても幸せそうだった。それにヴァルこと神崎康正さんは結構イケメンだし、ミルナこと水上瑠奈さんもすごく美人さんだった。ウェディングドレスもよく似合っていたし、とにかく幸せな空気の中結婚式は終わった。
そして招待された俺たちはそれぞれ帰路につこうと別れようとしたところだった。
「ちょっと待ってくれ。」
ヴァル、いや、康正が走ってきた。後ろからはミルナも走ってきている。ミルナに関しては瑠奈さんと名前同じなんだよね。リアルで会う時なんて呼ぼう。
「ごめんな。ほとんど話せなくて。今ちょっと落ち着いたしさ、2次会も予定してないから、みんなでどこかいかないか?子ども組が大丈夫なら。」
「せっかくみんなで集まれたんだし、ちょっとみんなでお話しできないかな?」
「私はいいよ。どうせ恭平たちも大丈夫でしょ?」
「だな。」
ネイの言葉に俺、瑠奈さん、凛も同意する。
「俺も明日は休みだから付き合うぞ。」
「私もお付き合いしますよ。」
「僕たちはあんまり遅くならなければ。一応ここからなら電車で10分ちょっとで帰れる距離なので。」
「みんな大丈夫みたいだな。それじゃどうする?場所は。」
「決めてないの?それならユーオンの話もできる個室がある場所がいいかな?」
「だな。今日は2人のためにみんな集まったんだから2人のいきたいところでいいんじゃないか?もしなければ俺たちで決めるけど。」
「それじゃせっかくだしあそこにするか。誰か車で来てる人いるか?」
「私はガキたち乗せて車で来たよ。」
「俺も車だ。」
「それじゃ、みんなそれぞれ車で移動しようか。運転手にだけ先に行き先教えとくな。」
そう言って車で来ていた瑠奈さんと先生を呼び、目的地を教えていた。
瑠奈さんの車には来た時に乗ってたメンバー、先生の車には蓮、唯、神代さん残りが康正の車だ。
そこから数分走ったところにある大きな建物についた。
「ここは?」
「ここは俺の父さんが所有してる別荘だ。今は自由に使っていいって言われてるから俺が使ってるんだけどな。」
「もしかして結構お金持ちな感じ?」
「まぁ、父さんはな。ほら入って。」
中は広々としていてパーティーとかに使えそうな感じだ。
「客室もそこそこあるからユイユイたち以外はあれだったら泊まって行ってもいいからな。」
「そういえばリアルの方での呼び方どうする?」
「そういえばそうだったな。」
2人でジュースを出してくれる。
「俺はまだみんなの名前確認してないんだよな。誰が誰かは雰囲気でわかるけどさ。招待客関連のことは仕事が立て込んでたこともあって瑠奈に頼んでたからさ。」
「それじゃ康正のためにもみんな改めて自己紹介しよっか。」
「だね。それじゃ私からパンドラこと人見未空です。」
「やっぱりお前だよな。」
「やっぱりって何よ。」
「まぁ、気にすんな。それで、お前にぴったりくっついてるってことは」
「うん。こっちがリンだよ。」
「人見凛です。」
「本名そのまんまなのか。それじゃ次はキキョウとルナだな。」
目線でキキョウたちの方を見る。
「キキョウこと如月恭平だ。」
「名前かっこよ。」
「だろ?」
「私はルナこと如月瑠奈だよ。ミルナと名前一緒って聞いた時は驚いちゃった。」
「やっぱり?私も招待の時にびっくりしちゃったもん。」
「それにしても思ったんだが、このギルド兄弟多いな。」
「確かに。」
「ってことでその流れでユイユイたちだな。」
「私はユイユイ!福島唯だよ!」
「レントルこと福島蓮です。改めてご結婚おめでとうございます。」
「ありがとな。やっぱりユーオンの印象そのまんまだな。」
「そう?」
「そうだよ。唯は元気いっぱいだし、蓮は礼儀正しいな。」
「後はネイとハンスさんとゲルマさんだけど・・・」
「まぁ、私はわかるわよね。私も残りの2人はどっちか判断しづらいもの。私はプロゲーマーの高橋寧々。プレイヤーネームはネイよ。」
「性別的にそうだよな。で、ゲルマとハンスだが、さっき車で来たか聞いた時に俺って言ってたからゲルマさんだな?」
そう言って先生の方を向く。流石の観察力だな。
「正解だ。俺がゲルマこと茅野宏昌だ。」
「そして私がハンスこと神城優剛です。」
「やっぱあってたか。一応俺たちもだな。俺はヴァルこと神崎康正だ。」
「私はミルナ。神崎瑠奈です。よろしくね。」
「これで全員だな。それにしてもまさか全員集まってくれるなんて。ありがとうな。」
「いや、せっかくのお祝いなんだし、それにみんなにも会いたかったしね。」
みんなうなずいている。
「それならよかったわ。」
「ここにいるメンバーしかいない時はプレイヤーネームで呼ぼっか。本名だとなんとなく落ち着かないし。まぁ、私のことはミクって呼んでもらってもいいけど」
「まぁ、お前だけは勝手につけられたプレイヤーネームだもんな。せっかくだしそうさせてもらおうか。」
「それじゃみんな名前を呼ぶ時は私以外はプレイヤーネーム、私はミクでお願いね。」
「何しれっと特別扱いされようとしてるのよ。私は何がなんでもパンドラって呼ぶわね。」
「なんでよー」
みんなの笑い声が響く。やっぱみんないい人たちだし、楽しく過ごせて俺はとっても嬉しいよ。




