第199話 勝利
「そっちいた?」
「いや、ここまで来たけど見当たらなかった。」
「ネイがいて見つけられてないってことは何か認識阻害系のスキルでも持ってるのかな?」
「だろうね。でもこっちにパンドラがいる以上負けることはないし大丈夫でしょ。」
「ですね。」
「みくねぇがいれば安心だよね。」
「そういえば誰か{虐殺者}使った?」
「俺だな。流石にマルクルと正面からやり合うのは分が悪かったからな。」
「そっか。私も使っちゃったから1ヶ月はみんなしか使えないからね。」
「あんなもの1人でも使えれば十分なのに10人も使えるプレイヤーがいれば困ることはないでしょ。」
「まぁね。それにしてもちゃんと発動したみたいで良かったよ。」
「ちゃんと発動したかは確認できてないんだけどな。」
「してたわよ。あんたはパルフと戦いつつだったから気づかなかったでしょうけど、結構いいタイミングで死んだわよ。」
「多分俺が発動させたタイミングだろうな。あいつに気づかれないようにバフかデバフに見せかけて使ったからな。」
「うまくやってくれたようで何よりだよ。さてと、どうやって探す?」
カァァァァァァァン
おっと俺に何か当たったみたいだな。これは槍か?
「そっちから来てくれるとはね。もしかして私を殺す算段でもあるのかな?」
「無策で挑むと思うか?」
「まぁそうだよね。」
プレイヤーネームはダフト。聞き覚えはない。
「ネイ、あいつは?」
「知らないわね。末端のプレイヤーまで把握してたわけじゃないし。」
「末端とは失礼な。パルフ様直属だったのでな。貴様らさえ知らぬということさ。」
「へぇ。で、5人いるわけだけどどうするの?とてもあなたで倒せるメンバーじゃないけど。」
「麻痺効果が付与された爪を使うみくリン、バランスの良いステータスと強力な攻撃力を持つキキョウ、速度と武器性能による圧倒的攻撃力を持つネイ、バフ攻撃に加えみくリンと同じと思われる爪を装備し近接も捌き切るハンス。そしてほとんどの攻撃は無効化され圧倒的速度と攻撃力を誇るユニークプレイヤーパンドラ。」
この短時間でこれほどの情報を?しかも別れて戦っていたはずなのに。ハンスとリンに関する情報からみても複数人いると考えた方がいいか。
「情報は集めたみたいだね。それにおおよそ正解だね。」
「おおよそ?」
「まぁ、それは気にしないでいいよ。それにしても複数人残っていることを教えちゃってもいいのかな?」
「何を言っている。生き残りは俺だけだ。ただ、俺がたくさんいるってだけさ。」
なんだ?周囲の気配が膨れ上がっていく。これは・・・
「このゲーム分身できるスキルなんてあったんだ。」
「さて、本体に攻撃することができるかな?」
おそらくさっきから喋っていた個体も本体ではないだろう。そうなると全部潰す必要があるんだが、ネイにやってもらった方が速いか?ただ、これだけの自信があるということはおそらく俺を倒せる何かを持っているはずだ。
「一つだけいいことを教えてやる。俺はとある方法で麻痺を含めたあらゆる状態異常に耐性を持っている。」
それを聞き終える前にネイが動き出した。分身に接近し、斬る。
ただ、分身はその場に残ったままだ。つまりこれは
「なるほど。実体を持たないわけだ。つまり、本体は安全な場所ただ、遠すぎるとスキル効果範囲の外に出るだろうからある程度近い場所で様子を伺っているのかな?」
「さぁな。」
そうなると麻痺の実験はできないかな。あれを使った方が速いだろう。
「ダフト、今からあんたを殺すけど言い残すことは?」
「この状況で、しかも探知スキルが機能しない中でか?無理に決まってるだろう。」
スキル{虐殺者}は効果範囲内に存在する生物から1体を対象に取り殺すスキルだ。つまり、どこにいるか分からずとも殺すことができる。
「ネイ、あれ使っていいからサッと殺しちゃって。」
「いいの?これだけの目がある中で。」
「いいよ。」
「それじゃスキル{虐殺者}」
『ギルド戦争パンドラの箱VS完璧 勝者 パンドラの箱』




