第197話 キキョウ組VSパルフ&マルクル
「やっぱりお前らはこっちだよな」
「こっちにパンドラが来るとでも思ってたんでしょ。安直すぎる考えだね。」
「我々はうまく騙されたわけか。まさかパンドラ自身が前線に出ないとは。それにそちらのギルドには最低でも9人いるはずなのにたったの5人とは。舐めくさるにも程があるんじゃないかい?」
俺とネイ、ハンスは前線にいた敵軍に接敵した。リンの野郎はみくねぇと一緒にいたいとか言って残りやがったし。この人数はちょっとめんどくさいぞ。
「どうする?あれ使うか。」
「マルクルにだけお願い。パルフは問題ないけど、呪術はちょっとまずいから。」
「わかった。タイミングを見計らってやるよ。」
「パルフに感づかれないようにね。」
「当たり前だ。ハンスは援護を頼む!」
「言われずとも。」
俺は前に出て前衛として動く。マルクルはまだ動かないな。あいつが動き出す前かつパルフに気づかれないようにあれを使いたいんだが。そうなるとパルフと打ち合ってる最中にスキル詠唱をすればいいか。声は聞こえるだろうが、何のスキルかはわからないはずだ。マルクルから意識が逸れている間に使えば問題ないだろうし。万が一勘付いても何もできない。
「それじゃ行くぞ!」
パルフへ向かって突撃!マルクルは俺じゃなくてネイを警戒している。だからこそ隙が生まれている!
「貴様程度が俺と打ち合うつもりか?いいだろう。受けて立ってやろう!マルクル!ネイは任せる!」
「わかった!」
ネイはすでに雑魚狩りに入っている。ハンスは新たに覚えた結界の魔法で自身を守りつつネイのサポートをしてくれている。
「それじゃ始めよう。」
パルフが構えたのは彼の身長よりも巨大な剣。イグザミナの情報にもなかったし、新たに用意した武器だろう。ただ、今の俺の目的を完遂するにはそれは障害とはなり得ない。
「大層立派な剣だな。動きづらかろう!」
切り掛かるがうまく剣で受け流される。こいつあれだけ巨大な剣をおもちゃでも扱うかのように扱いやがる。どんなSTRしてんだよ!
「よほど軽いんだな。でもそんなもんでどうにかなると思ったら大間違いだぜ。」
「見せてもらおうじゃないか。」
さっきの一撃を受け流されたのとは異なり、今度は連撃で仕掛ける!これで余裕はないはずだ
「スキル{虐殺者}」
「何のスキルかは知らんがその程度で勝てると思うなよ!」
「そんなことを言ってる暇があったら反撃したらどうだ?」
できるわけがない。いくら軽く作られていても大ぶりな剣では剣を振るうだけでも隙が生まれる。
それからも数分打ち合った。お互いに余裕がなく、周囲の様子は確認できていないが、確実に周りのプレイヤーが減っている。声も闘いの音も小さくなっている。というかもうほとんど聞こえない。
「ウッ」
パルフの心臓を刀が貫いた。
「すまねぇな。俺の目的は時間稼ぎだったんだわ。」
そのまま脳天まで切り裂かれ死んだ。
「早かったな。もうちょっとかかると思ってたぜ。」
「私を舐めないでよね。まぁ、あんたもよくバレずにマルクルを処理してくれたわね。」
「まぁ、相手も俺も結構余裕なかったからな。ハンスのサポートも助かったぜ。」
「私は多少バフをかけただけですから。」
「向こうは終わったかな?」
「終わってても終わってなくても私たちはこのまま進まないと」
そう、俺たちはこのまま敵拠点を落としに行く予定なのだ。




