第196話 ランドと拳のリン
ギルド戦争の宣戦布告から約2週間、ギルド戦争が始まろうとしていた。
「ヴァルとミルナがいなくてよかったね。」
「だな。あの2人も流石に忙しいだろうし。」
今日は10月18日。来週にはヴェルたちの結婚式が控えている。
「ね。それはそうとしてユイユイたちとルナは呼ばなくて良かったの?」
「私たちの戦いにあの3人まで巻き込むのは申し訳ないからね。」
「それもそうですね。」
「みくねぇがいうならそれが絶対だよ。だってみくねぇはパンドラの箱のマスターなんだから。」
「それもそうね。」
「それじゃ、みんな暴れてきな!」
ギルド戦争開始の合図はさっき聞こえてきた。向こうも動きだしているみたいだけど、隠密と要道に分かれて動いてるね。どっちにもそれなりの戦力が裂かれているみたいだけど。
ギルド戦争のルールは簡単。どちらかが全滅もしくは降伏するまで戦い続ける。以上だ。この様子は全プレイヤーが見れるよう中継もされているから、今回の戦争で麻痺の双爪とハンス、キキョウ、ネイ、リンについてはある程度情報が出切ってしまうことになる。ただ、他のメンバーの情報は一切出していない。だからこそヴァルやミルナみたいなメンバーでも十分隠し球になりうる。
「拠点を狙う部隊かな?申し訳ないけど無駄足だよ。私しかいないからね」
「ならば貴様の首を取るまでだ。」
「あなた程度のプレイヤーにそれができるのかね。ランドさん。」
「ほぅ。俺のことを知っているのか。いや、ネイがいるのだから当然と言えば当然か。」
「まぁ、ネイがいなくてもそのくらいの情報は仕入れてあるけどね。」
「そうかよ。それで、お前は味方を巻き込まずにこれだけの人数を相手できるのかな?もちろん全員毒無効の装備をつけている。貴様の手札はお見通しなんだよ。」
「どこまで対策してることやら。スキル{大地の覇者}」
「研究済みだ!」
全員剣山大地発動直前に飛びやがった。よくバランス取れるな。いや、鍛えたメンバーだけを連れてきたのか。
「なるほどね。それじゃこれはどうかな?」
いつも通りの直進からの切り付け。それに加えて
「スキル{反撃領域}」
ランドが{反撃領域}の効果範囲内に入ったのを見計らってスキルを発動。だが
「俺がその程度予想してないとでも。」
「まさか、こっちの行動よりも早く転移するとはね。」
「オートマで発動する術式さ。お前の対策をしてないわけないだろ。」
「まぁ、それも当然だよね。でも、これはどうかな?」
ランドの背後に唐突に人影が現れ、その背を切り裂く!
「どう?まぁ、私一人でも勝てたんだけど、どうしてもっていうからね。」
「私はどんな時でもみくねぇと一緒にいたいからね。」
「不意打ちだと。だが、俺の探知魔法には直前までお前以外の反応がなかったはず。」
「あるわけないじゃん。いなかったんだから。」
「は?」
「教えてあげるつもりはないよ。その状態じゃ動けないでしょ。リン、殲滅をお願いね。」
「もちろん!」
「で、何か言い残すことはある?」
ランドは俺の領域内に投げ込まれている。そのため、いつもで殺すことはできるのだが。
「強いていうならお前らのその強さの秘訣を知りたかったよ。」
「教えてあげてもいいよ。それはね、普通じゃないこと。それだけだよ。」
「だろうな。普通だったらこんなバケモンみたいな武器存在しねぇよ。それにあの嬢ちゃんまさかあれだけで戦ってるのか?」
「まぁ、前こっ酷くやられたのが悔しかったらしくてね。あえてあれで戦ってるんだよ。」
リンは今回麻痺の双爪のみで戦っている。攻撃力がほとんどないものの、ほとんどのプレイヤーはすでに麻痺で動けなくなっている。
「さてと、どうやって死にたい?あなた、そっちのマスターと違って話も合いそうだし、死に方くらいは選ばせてあげるよ。」
「そうだな。あんたの最高威力のスキルか攻撃で死にたいな。」
「スキルは見せてあげてもいいけど、あなた効果がわかる前に死ぬけどいいの?」
「それは困るな。それ以外でたのむ。」
「ちゃんと情報を持ち帰ろうとするのいいね。それじゃクールタイム長いからほんとは強敵にしか使わないんだけど、そのスキルで殺してあげるね。」
「嫌だって言ってんのに。ほんと、どいつもこいつもいい性格してるぜ。」
「スキル{虐殺者}」
わざわざこれを使わずとも殺せるが、みんなも使えるわけだし使ってもいいだろうと判断し、{虐殺者}で殺す。これで殺せばスキル名以外の情報を相手に渡さずに済むし。
「みくねぇ。終わったよ。」
「おぉ。早いね。」
リンも麻痺の双爪を手に入れていこう麻痺の双爪をメインにした拳での戦いを鍛えている。だから元々のAGIに加えて先生の新作ブーツでAGIをかなり強化している。
それに一般的には修行僧が取るバフ系統のスキルも獲得しているから拳での攻撃でもかなりの威力が出る。
拳の攻撃って剣とかよりも痛みの軽減が少ないらしいし、仕返しとしては最高だよね。




