第195話 麻痺の双爪
『麻痺の双爪』
鉤爪型になった刃が3本ついた手に装備する手袋型の武器。両手1対で1つとみなされる。生物に命中させると電気蠍の麻痺を付与する。」
「すごいね。完璧だよ。」
「だろ?パンドラも使えるし、いい感じじゃないか?」
「早速みんなに渡そっか。」
「だな。一応全員分の素材も足りてるからあとはギルド武器に登録さえしてくれれば自動量産できるようになるはずだ。」
マスターソースを開き、ギルド武器2の欄に『麻痺の双爪』を登録。
「できたよ。」
「それじゃ早速配るか。みんなは?」
「もうちょっとしたら集まってって言ってあるけど、ハンスだけリアルの方が忙しくて来れないってさ。」
「そうか。そしたら他のみんなには先にだな。」
「だね。できるだけ早く渡して自分の戦闘スタイルと合わせて研究してもらいたいし。」
「俺も装備はしておくが、戦わないからな。」
「わかってるよ。先生のステータスで戦えるわけないじゃん。」
「まぁな。」
10分ほどでみんなが集まり、早速お披露目だ。
「みんなにはギルド武器としてパンドラの箱を渡したと思うんだけど、イベント報酬で追加された2つ目のギルド武器も完成したから配るね。」
「早いですね。ギルド戦争に間に合わないと思ってました。」
「ねー。で、どんなのができたの?」
興奮を抑えられないと言った様子でユイユイが食いついてくる。やっぱり子供だね。
「できたのはこれ。」
「これは爪ですか?」
「そう。『麻痺の双爪』。攻撃能力は乏しいけど、当てるだけでこの装備専用の麻痺を付与できるよ。」
「つまり、麻痺対策が意味をなさないと。」
「さすがヴァルだね。電気系モンスターの麻痺と蠍系のモンスターの麻痺毒を混ぜてあるから対策は不可能だね。」
「えげつないこと考えるわねー。」
「私じゃないって。先生が実験で作ってたんだって。」
「さすが先生だな。」
「みんな各々つけて闘いに使ってみてよ。自分の戦闘スタイルに合わせていろんな立ち回りがあると思うからね。」
「早速つけてみるか。」
みんなが装備して、並んだがなんというか・・・
「似合わないメンバーと似合うメンバーがはっきりしてるわね。」
「ネイもそう思うよね。」
俺は論外。鍛治屋の服を着ている先生はもちろん似合わない。
ルナも割と重めの防具をつけているからかあまり似合ってはいない。
ネイとリンは割と似たような軽装の装備だし、軽装だからか似合っている。なんか拳で戦ってきそう。
ヴァルはアサシンって感じでさすがの似合い具合だ。
ミルナとユイユイはそれぞれの雰囲気も相まってミルナは穏やかな猫、ユイユイは元気いっぱいの猫って感じがして可愛らしい。
レントルは弓を背負っているからかちょっと違和感を感じてしまう。
そして最後、キキョウはというと・・・
「で、なんで一番似合わなさそうなキキョウが一番似合ってるのよ。」
フルプレートの拳の部分から爪が生えているからか、サイボーグ的な感じに見えてめちゃくちゃ強そうに見える。
「俺もここまでマッチするとは思わなかったよ。」
「ルナさんは多分顔が出るタイプの兜だから重装備と合わなくて違和感あるんだろうね。」
「だろうねー。こいつ顔だしてないから人外感が上がって似合っちゃったんだろうねー。」
「おい、似合うことが悪いことみたいにいうのをやめてもらおうか。」
それからはしばらくわちゃわちゃしていたものの、みんなそれぞれ自身の戦闘スタイルとのすり合わせをしたり、リアルの方で何かあったりという感じで解散の流れになった。




