第191話 ギルド武器 パンドラの箱
「ギルド『完璧』に対してギルド戦争を仕掛けたいの。」
「なるほどね。それはいいけど、ほかにも何か言いたげだね。」
「うん。パンドラたちには後ろで控えてもらって今回やられたメンバーで戦いたいの。」
「なるほど。キキョウ、ネイ、リン、ハンスの4人でってことね。許可はするけど、一つだけ条件をいいかな?」
「何かしら?」
「絶対に誰も死なずに勝つこと。」
「もちろん。そのつもりだよ。何があっても今回みたいな無様は晒さないつもりだからね。みんなもそうでしょ。」
「もちろんだ!」
「私もです。やられっぱなしでは気が治りませんし。」
「みくねぇがいなくても戦えるってところを見せつけてあげるよ!」
「それじゃ早速宣戦布告をするけどいい?」
「もちろん!」
ギルド戦争を行うにはまず宣戦布告をし、その上で両者の希望から日程の調整が行われる。そしてその日時になると戦争専用フィールドに参加登録されたメンバー全員が転送され、戦争が開始される。
宣戦布告を行うと対象ギルド以外のプレイヤーも含めた全プレイヤーにどのギルドがどのギルドに宣戦布告を行なったのかの通知が行われ、その戦争の様子は街や各ギルドホームなど至る所で中継される。
『ギルド『完璧』よりギルド戦争の宣戦布告が行われました。対象ギルドは『パンドラの箱』です。』
チッ、先を越されたみたいだな。
「先を越されたわね。」
「まぁ、こっちからやる手間が省けたね。日程の申請は後で調整してするとしてせっかくマスターソース開いたし、恩恵の確認をしよっか。」
「だな。でもやっぱり向こうもこっちをつぶしに来たな。」
「だね。えーっと今回イベントで得た恩恵はっと、所属メンバーの9割以上が上位入賞した恩恵として通常の恩恵の代わりに、ギルド武器の追加だって。」
「ギルド武器の追加?」
ミルナが唯一声に発したがみんなどういう意味かわかっていないというような表情だ。
「簡単にいうとうちはまだギルド武器自体作ってもないけど、2種類目のギルド武器を作れるようになるってことみたい。しかも各メンバー2つずつ持てるみたい。」
「それは便利ね。そういえばそれに関しても話さないといけなかったわね。」
「それに関していいか?さっき試作していてでできたものなんだが、いいものができたんだ。」
「なにー?」
「これだ。」
「指輪?」
「あぁ。名前は未定だが、スキル効果で1日に1度登録したプレイヤーのスキルを借りることができる。魔力が必要なものは登録されたプレイヤーの魔力を吸って発動してくれる。」
「なるほどね。それぞれ相性のいいプレイヤーのスキルを使えるようにすれば。」
「と思うだろ?凄みはそこじゃないんだ。」
「どういうこと?」
「この指輪。1日に1度という制限がある以上クールタイムという概念が存在していない。」
「「もしかして。」」
「ネイとパンドラは気づいたみたいだな。そうだ。全員がパンドラの能力を使えるようにすることによってスキル{虐殺者}を1日に10回使用できる!」
「「「「「「「!!!!!!!!」」」」」」」
「そんなところに気がつくなんてさすが先生だね。ねぇ、私いい名前の案があるんだけど、名付けて、これをギルド武器にしてもいい?」
「もちろんだ。」
「それじゃ私たちの一つ目のギルド武器となるこの指輪の名前はパンドラの箱。ギルドの名前を冠するってだけじゃなくて。私の力を引き出すことができる箱って意味も込めてね。」




