第187話 訃報とマルクル
『パーティーメンバー:ハンスが死亡しました。』
ハンスが死んだ?
何があった?そんな簡単に死なないでしょ。ネイとキキョウだっているんだし。なんだか嫌な予感がする。
『パーティーメンバー:ネイが死亡しました。』
『パーティーメンバー:みくリンが死亡しました。』
ネイにリンまで?何がどうなってるんだよ!
キキョウはまだ生きてるんだよな。とにかく連絡を!
『パンドラ、あとは任せた。』
なんだこのチャット?まさか・・・・
『パーティーメンバー:キキョウが死亡しました。』
まさか全滅するとは。モンスターの群れにあったとしても圧勝できるだろう。つまりはプレイヤー。でもあのネイの刀があって複数人を相手取って勝てるプレイヤーがいるとは思えない。100人いてもネイ1人で圧倒できるはずだ。
もちろん乱戦になればハンスは死ぬ。ハンスだけ先に死んだことを考えると、大人数での奇襲でハンスを撃破したが、ネイに返り討ちにあった。そして残っていた何者かが自爆をした。こう考えるのが自然だろうな。それならネイとリンが同時に死んだのも納得できる。そしてキキョウだけは爆発から生き残ったものの、他に控えていたプレイヤーがいたか運悪くプレイヤーに遭遇したかしてかろうじて残っていたHPが削り切られたって感じだろうな。
どちらにしても予定が大幅に狂ったな。俺のLCKだとモンスターに遭遇しづらい。とにかく動き回ってプレイヤーの位置をばらけさせる。そして最後に{毒霧}で勝つしかない!それだけがみんなのために俺にできることだ。
「おや、これはパンドラ殿ではありませんか。」
「誰だ、お前。」
「私はギルド『完璧』副マスターの称号をいただいておりますマルクルと申します。以後お見知り置きを。」
「嫌だね。私忙しいからお暇させていただくよ。」
「いいのですか?仲間の敵討をしなくて。」
「あんたが襲撃したわけじゃないのは分かりきってるよ。状況からして襲撃した本人は自爆、周囲にいたプレイヤーも全滅してるでしょ?」
「ほう。パルフ様が自爆されたとでも言いたいのですか?」
「ほら言っちゃってるし。そりゃ同時に2人しかもネイがやられたら自爆を疑うでしょ。それにあんたのとこのマスターがやりそうなことだし。」
「喧嘩を売っているようですね。いいでしょう。買って差し上げますよ。」
「だから、私は忙しいって言ってんでしょ。どうしても戦いたいってんならイベント終了前20分の段階でここにきな。そしたら相手してやんよ。」
そう言いつつ、マップを送る。
「信用できるものですか。」
「あっそ。どっちにしてもお暇させてもらうよ。」
いつも通り一気に駆け抜ける。周囲を囲っていたみたいだけど、そんなことに意味はない。それにしてもやっぱり『完璧』か。厄介な相手だな。




