第172話 《地底の遺物》とまさかの弱点
「2人とも準備はいい?」
「もちろんだ。」
「私も。」
「それじゃ行くよ。」
扉を開いた先にはやっぱりあいつがいる。動き始める前に人型に姿を変え《地底の遺物》と対峙する。前回同様ゆっくり動き始めるのかと思ったが、どうやら違うようだ。まだ動き出さない。
「コ・・・ライ・・・ノ・・・チカ・・・ラ・・・ヲ・・・ウケ・・・ツグ・・・モノ・・・ヨ」
まずい!
「2人とも奴の視界から外れて!」
キキョウとネイが慌てて《地底の遺物》の背後へ向けて壁沿いを走り出す。それに合わせて、俺は正面から《地底の遺物》めがけて突っ込む!
「ワレ・・・ノ・・・テデ・・・ホウ・・・ムッテ・・・クレル」
突っ込む俺に対してかなりの速度で攻撃し、こちらの攻撃を相殺してきた。やっぱりエクストラモンスターのAIはバグレベルに強い。
だがこっちもその程度でやられるほどやわじゃない。
「{神速}キキョウ、ネイ、しばらくそっちにヘイト向かうけど、気合いで生き延びて!」
俺はステルス状態に。《地底の遺物》のヘイトは2人に向かうが、どうも動きが遅い。まさかとは思うが、俺と戦ってる時だけあの速度になるのか?
「私たちなら大丈夫。それにパンドラが戦ってる時以外は遅くなるみたいだね。」
「そうだな。間違っても死ぬなよ!」
「誰に言ってんのさ。あんたこそ気をつけなよ。こっちでヘイトは稼ぐから、ちょっとずつでも削って。」
「了解!」
2人も連携取れてるみたいで一安心だ。あとはあの2人を巻き込まずに{大地の覇者}を使うにはどうすればいいか。
・・・・・・・・・
無理だな。でも一つ妙案を思いついた。ミスったらあの2人殺しちゃうけど、仕方ないよね。
俺は壁をつたって天井に張り付く。そしてそこで元の宝箱の姿に変化。
「{巨獣化}」
2人は察したみたいで、すぐに俺の下から離れようとする。ただ、よりダメージを大きくするために中央位置に2人がいる。間に合わない!
俺の体は重力に引っ張られ、《地底の遺物》に衝突する。落下ダメージ、ただし、上にものが落ちた方のだ。これならば質量による大ダメージを与えることができる。《地底の遺物》はプレイヤーよりも数十センチ身長が高い。頼むからこれで行けてくれ。
「倒れた!」
ネイのその声を聞き即座に{巨獣化}を解除。ネイの言った通り、《地底の遺物》は崩壊している。
「あれはつけてるね。」
「もちろん。」
「あぁ。」
先生の作ってくれた防護の首飾り。そしてネイの手には大海の錬水玉を操るためのパネルが握られている。
「それじゃ早速使って。歯車はこっちで倒すから。」
「オッケー。」
ネイは大海の錬水玉を使い、水を散布し始める。歯車は全部で10。さて、何分かかることやら。
召喚された水が早速歯車に水をかけた。するとどうだろう。歯車がポロポロと崩れ始めるではないか。
「「「え?」」」
思わず3人でハモってしまった。まさかこんな簡単だったなんて。
「ネイ!私は篭っとくから。どんどん水かけちゃって。」
「オッケー!」




