第163話 古代魚人
「なんだそのキモい移動方法。」
「確かに水中でも移動できてるけど、それは流石にちょっと気持ち悪いかも。」
古代都市の真上まで船で来た後、そのまま垂直に落ちた俺たちは古代都市へと侵入していた。そこで俺は
「仕方ないでしょ。これ以外に有効な移動方法ないんだから。2人は巻き込まれないよう気をつけてよ。」
「わかってるよ。ってか今のお前に近づきたくないわ。」
「私も。」
そんな俺は腕を4本だし、その腕で地面を蹴り移動していた。要は四足歩行だ。ちなみに2本では体が重すぎて移動できなかった。
「戦闘は2人にお願いするからね。もちろんサポートはできるけど、腕が下手な当たり方してダメージを入れちゃってもいけないし。できるだけ様子を見つつサポートに回るから。」
「大丈夫。私ファザオンで水中戦闘も得意だったし。それにしてもあのポーション飲めば水中でも会話できるの便利だね。」
「ね。通常のポーションだと無理らしいんだけど、これは先生のお手製だからね。」
「流石ゲルマね。」
「おい。」
「うん。来たみたいだね。」
5体ほどのモンスターの気配がする。背後に3体両サイドに1体ずつかな?
「後ろとサイドだね。パンドラ、サイドは任せていい?」
「いいよ。それじゃ向こうが動き出したタイミングでばらけよう。」
「了解。」
相手は少し様子を見ているようだ。明らかに異常な挙動を見せている宝箱型の何かがいるのだから当たり前か。
「動かないね。私のことが理解できなくて戸惑ってるって感じかな?」
「多分そうだろうね。応援が来るかもだからパンドラに多く受け持ってもらった方がいいかも。こいつがどれだけ戦えるかわからないけど、少なくとも水中じゃモーニングスターとか弓みたいな飛び道具は使えないし、多対一の状況で使えるほど 向日葵之紅刀は育ってない。」
「だね。2人はここにいて自分の身を守ることに専念して。私が後ろに向かって行くから多分敵もそっちに集中すると思う。」
「だね。そしたらそっちで暴れてもらっていいから。」
「うん。あんまり流れを出さないようには気をつけるけど、もし暴走しちゃったらごめんね。」
「いいよ。それじゃ行っておいで」
「たのむぞ。」
「誰に言ってんのさ。それじゃ行ってくるよ。2人も死なないように。後ポーションの時間も気にしときなよ。」
「ありがと。忘れるとこだったよ。」
そんなネイの言葉を背に俺は後ろ方向に進み始める。今の所気配は感じるが、姿は見えていない。そしてさっきよりも数が増えているな。具体的な数はわからないけれど、そこそこいそうだぞ。
ん?あそこにいるな。武器はトライデントか。海底にいる人型モンスターといえばって感じだな。男女入り混じっているが、総じて魚人。下半身が魚だ。そして古代。現代の人間よりは少し猿に近い。
流石にこの距離になると臨戦体制に入るよな。そういえば古代ってついてるよな。もしかしてここってエクストラのいるエリアなんじゃ?
おっと、襲いかかってきたな。っていうか数多くない?
ざっと四十くらいはいそうだな。まぁ、いつも通り捌こうか。
「スキル{反撃領域}」
スキルを発動直後古代魚人が俺の領域に侵入するはずだった。
「へー。頭いいんだね。」
古代魚人たちは俺の領域に侵入することなく少し離れて様子を窺っていた。




