第161話 《向日葵之紅刀》と《地底の遺物》
「遅かったねー。」
「なんで俺たちより家遠いのに先に入ってんだよ。」
「あんたらが遅かったんでしょ。それよりもちょっと相談があるから。」
ユーオンに入るや否やネイが相談があると言う。
「何?困り事?」
「そうなんだよね。みんな色々あったせいで感覚バグってると思うんだけど、昨日魔物の塔を攻略したわけじゃん?」
「『完璧』絡み?」
「そう。あいつらからバレた上に魔物の塔について聞くチャットとメールがめっちゃ来ててさ。後ついでにチームメンバーにもめっちゃ聞かれてる。」
「そっかー。『完璧』の方は無視でいいよ。チームの方はキキョウ以外のメンバーに関する詳細とか情報を漏らさないなら大抵のことは話していいよ。ただ、ユニークとかエクストラに関しては相談してね。」
「オッケー。」
「問題は『完璧』だね。メンバーの多いギルドだから各所に人材を派遣して見張らせ続ければここから出るのが見つかって拠点バレする可能性がなくはないね。」
「そうだね。どうしよっか?」
「それをされたらうちのメンバーが出ていく時点でばれることになるし、そのうちバレるのに変わりはないだろうから、対策する方が馬鹿らしいでしょ。ネイはキルされないようにだけ気をつけて。他のメンバーにも言っとくけど、結構思考が危なそうな人が集まってそうだし、誰彼構わずキルしてくる可能性もあるだろうし。」
「それは否定できないね。まぁ、今の私をキルはそうそうできないよ。」
「それもそうだね。先生の防具もあるしそうそうやられないか。」
「うん。それにこの子も鍛えればそうそう負けないだろうしね。」
そう言いながら先生の作ったユニークウェポンをさする。
「《向日葵之紅刀》、いい名前だね。」
「紅っていうには淡すぎる気もするけどな。」
「ほんとあんたって余計なことしか言わないよね。」
《向日葵之紅刀》元は《緋緋色金之大刀》だった名前を{名変}のスキルで変更した名前だ。すごくいい名前だし、個人的には血を吸うって設定上もう少し発色が良くなるんじゃないかとも思ってる。なのにこいつはほんと余計なことしか言わないよね。
「ネイらしくていい名前だと思うけどなー。それにこれまでは多種多様な武器と多様なスキルで戦ってたネイがこうやって一つの武器に対して思い入れを持つってのも一つ良さを感じるな。」
「確かに。これまでは壊れたら交換してって感じだったもんね。この武器はこのゲームが終わるまでずっと大切にするよ。」
「そうしてね。先生が作ってくれた一振りなんだから。」
「うん。」
「で、ネイの問題は解決ってことでいいのか?」
「そうだね。一応は。」
「それじゃ私からも一つ相談があるんだけどいいかな?」
「いいよー。」
「《地底の遺物》を倒したいんだよね。」
「マジで言ってるの?」
「マジだよ。」
「私も一回戦ったことあるけど、第2段階に入った瞬間死んだんだけど。」
「第1段階は突破したんだ。」
「まぁ、そこそこな人数で行ってたしね。」
「ちなみに第3段階もあるよ。多分それが最終形態。」
「まぁ、話は聞こうか。」




