第155話 緋緋色金之大刀
「ユニークの名を冠するものっていうのはユニークプレイヤーとかユニークウェポンみたいなものだってわかるけど、天の鋼と魔の鋼ってなんだろうね?まぁ、何はともあれユイユイ、お手柄だよ!」
えっへんという擬音がそっくりな様子で腕を組んでいる。やっぱ仕草がかわいいな。
「だな。やっぱ子供は頭が柔らかいな。」
「だね。で、この天の鋼と魔の鋼、さっき言ってた天鋼と魔鋼とは違うの?」
「違うんじゃない?わざわざ違う名前で書かれてるんだし。」
「そうだな。ただ、その他の書き方が仰々しいし、わざわざ遠回しな言い方をしてる可能性は否定できないな。」
「だね。とりあえず私が使っていい?」
「それ以外にないだろ。ここにユニークはお前だけなんだから。」
「それに関わることなんだがいいか?」
「どうしたの先生?」
「さっきネイに頼まれてた両手剣を作ってたんだよ。色々試しながらやってたんだが、結果的にこんなものができたんだよ。」
出てきたのはうっすらと赤色を帯びた片刃の両手剣だった。
「なになに。UniqueWeapon :緋緋色金之大刀?ってユニークウェポン!?これ本当に先生が作ったの!?」
「ちょっと待って!ユニークウェポンって作れるものなの!?」
「ステータスを開いてみな。作成者が俺だろ?」
「ほんとだ。でもなんで?」
「この刀、色を帯びてるだろ?それに名前も」
「たしかにヒヒイロカネだね。」
「このゲームにおけるヒヒイロカネがなんなのかわからない。まぁ、なんでヒヒイロカネになったのかはわからなくはない。でもなんでそんなことがトリガーになるんだって感じなんだよ。」
「何?」
「まず、この刀は鋼を使って作っていた。このゲームでは通常鍛治による武器の作成をするには実際に鋼を打つ必要がある。もちろん自動的に形になっていくから打つのは形だけだ。」
「それで?」
「その打つ作業中に何かできないかと思ったんだよ。鋼に何かを混ぜ込んだりとか、装飾として完成してから何か細工を加えようとすると大体失敗して壊れる。そこで、刀を打つ作業中に何かしてやろうと思ったんだ。そこでパンドラの取ってきてくれていた、ひまわりを粉末状にして加えたんだよ。」
「確かにひまわりは閃光弾とかに使われるし、なんか太陽っぽい花なのもあって松明系以外の光に関するアイテムには大体使われてるよね。」
「そうなんだ。確かにひまわりの花言葉って「あなたを見つめている」と「光輝」っていうくらいだから言われてみれば当然だよね。」
「よく花言葉なんて知ってたね?」
「実家が花屋なのよ。それよりも今はゲルマよ。」
ネイがそう言って先生の方を見る。ちなみにミルナとユイユイは少し離れて遊んでいる。
「それで、なんとなくだったんだよ。火に関する能力とか輝いたりしないかなーって感じでな。それで成功したらこうなった。」
「ってことはその作業中に混ぜるもの次第でいろんな伝説上の金属が作れそうだね。」
「オリハルコンとか?」
「それこそそうだね。まぁ、何を加えればいいのか全く見当もつかないけど。」
「だねー。」
「何よりもびっくりなのはユニークウェポンをプレイヤーが作れるとは思ってなかったね。そもそもユニークウェポン自体現物は1個しか見つかってないし。」
「1個見つかってるんだ。」
「えぇ。伝説剣グラムね。『完璧』のマスターが持ってるよ。基本的には彼にしか開けられない金庫の中に保管されてるけどね。」
「グラムって言えば北欧神話かなんかの武器だっけ?」
「たしかそうだね。オーディンの剣だったことは覚えてるけど。」
「そうなんだ。私はそんなに詳しくないから。それで、それと同等だってこと?」
「だね。グラムも物凄い剣なんだけどね。」
「どんな?」
「詳しい話は教えてくれなかったんだけど、なんか属性とか付与されてないみたいなんだけど、その分切れ味が異常らしいよ。」
「へー。気になるけど、いまはこっちかな。」
「だね。刀は初めてだからステータスとか気になるけど・・・」




