第152話 レーザーとFallen Unique command
「2人とも止まって!」
俺の叫びにキョウヘイとネネが反応して動きを止める
『勝利条件変更。勝利条件が『魔天鉱』を破壊することに変更されました。』
「合図したら一斉に動くよ。誰かが動き出した瞬間フィールド全体にレーザーを撒き散らすから、頑張ってかわしてよ。」
「オッケー。できるだけ頑張るよ。パンドラこそ気をつけてね。」
「うん。まずはレーザーを観察して{不壊}で受けれるか見極める。行けそうだったら{不壊}で受けてダメージが入るか確認する。無理そうなら別の策を練るよ。」
「死ぬなよ。」
「誰に言ってんのさ。キョウヘイこそ死なないでよ。」
「まかせろ。」
「それじゃ3カウントで行くよ。3・・・2・・・1・・・GO!」
ネネとキョウヘイも同時に動き始める。それに呼応して魔天鉱もレーザーを撒き始めた。前回見て分かってはいたけど、こいつの攻撃手段は基本レーザーだけみたいだな。
「スキル{不壊の目}」
レーザーを観察する。結果は非貫通!こいつのレーザーは俺にダメージを与えることができない!
いったん動きを止め、レーザーを喰らう。
ガガガッ
え・・・?何が起こった?体が抉れている?ダメージは受けていない。{不壊の目}では確かに非貫通となっていたはずだ。ならこれはなんだ?
「ミク!」
「大丈夫。ダメージはない。多分アイテムや物質に対する破壊効果を持ってるんだと思う。ちょっと荒療治だけど」
{不壊の目}は《裏切りの制約》の恩恵であるFallen Unique commandによって獲得したスキルだ。その際に生贄に捧げた同胞の数は600。今月あと400体分が残っている
「Unique Player No.1パンドラが要請する。我が眷属を糧とし、我が身を再生させたまえ。」
残数すべてを使用し、抉れた部分をすべて再生する。抉れた状態では十分に動くことさえできなかった。これはまずいな。
「ミク!ミクが攻撃を喰らった瞬間に僅かにだけど、崩壊が進んだみたいだよ!ミクに対して有効ってことはこれでいいんじゃない!」
どこから取り出したのか石を手にしている。
「どういうこと?ネネ」
「ミクは生物じゃないんでしょ?ってことはものでもなんでもレーザーが命中するだけで耐久が減るってことだよ!」
「確かに。キョウヘイも回避しながらいらないアイテムどんどん投げちゃって!」
「了解!」
俺はいらないアイテムをどんどん取り出し、10本の腕で投げていく。一部レーザーに触れないまま地面に落ちたものもあるが、それもそのうちレーザーに焼かれるだろう。
もちろん全員が回避しながらこれをやっているから時間はかかる。だが、魔天鉱も徐々に崩壊していっている。
「俺はもう投げれるもんがない!」
「私もできれば投げたくないかな。」
「俺が頑張るから2人は回避に専念して!」
そうは言ったものの、3人で160個ものいらないアイテムを持ち歩いているかと言われればもちろんNOだ。俺だってもう弾切れだってのに。何かないかいらない物質とか。
「おい!ミクも弾切れか?」
「正直もうないかも」
「やばいね。何か生成できる魔法でもあればいいんだけど。私は元素系の攻撃魔法しか使えないし。」
「俺はそもそもほとんど魔法を使えない。ミクもだろ?」
「いや!2人は魔天鉱の近くまで行って。頑張って回避してて」
「何かあるんだね。わかった!」
「頼むぞ。」
そうだよ。俺にはあれがあるじゃないか!
「2人とも合図したらこっちに走ってきて!」
「オッケー!」
「おう!」
2人との距離は十分に取れた。
「スキル{大地の覇者}」
これで生み出された剣山大地を破壊して石系のアイテムに変える。これで物質が作れる。おそらく魔天鉱の耐久値は多くても残り20といったところだ。この一撃で倒す!
「なるほどな!それなら物質を生み出せる」
「キョウヘイ、後ろ!」
「おっと危ない。助かったぜネネ!」
「今死なれたら困るからね。ほらまたきてるよ!」
「わかってるっての!」
「今!」
話していた2人も俺の合図にきちんと反応してこっちに向かってくる。2人が範囲に入る直前に剣山大地が炸裂。ここから一気に石を破壊する。
「あいつのレーザーの資格になる位置からどんどん石を壊してって!あいつのレーザーが剣山大地にあたればそれでも耐久値は減る!何個か拾ってレーザーにぶつければそれでこっちの勝ちだ!」
「わかってるって!」
「やるよ!」
ネネがモーニングスターで一気に砕く。それをキョウヘイが拾いつつレーザーに投げつける。数秒でレーザーが止んだ。
魔天鉱の方を見るとそこには今にも崩れ落ちそうな魔天鉱の姿があった。




