第151話 魔天鉱と天魔鉱
『魔物の塔最上階ボスモンスター『天魔鉱』勝利条件は天魔鉱を破壊することです。』
「破壊?これまで撃破って言ってたよね?」
「うん。こいつだけは破壊って言ってるし、実際扱い的にも生物ではないみたいなんだよね。俺に近い感じだな。」
「前回は結構無理ゲーだったもんな。」
「どんな感じなの?」
「アイテムと同じで耐久値が設定されてるみたいで耐久値が半分になったら姿と名前が変わるんだけど、前半はこっちの物理、魔法的干渉を反射って感じ。後半は情報がなさすぎるんだけど、こっちが動いてる限りレーザーを撒き散らしてくる。で、こっちが攻撃したら耐久値が回復して前半の状態に戻るって感じ。」
「どうやって倒すの?」
「だよね。前半は反射してきた攻撃を弾くことで耐久値が1回あたりおそらく1減少する。で、耐久値の合計は320だと思う。」
「なるほどね。実際の数値は違ったとしても1回あたりのダメージ量と全体の耐久値の割合的には1:320ってことだ。」
「うん。こっちから何か仕掛けない限り天魔鉱がこっちを攻撃することはないから、今のうちに対策を考えたいんだけど、何かない?」
「私は見たことないからなんともいえないかな。」
「俺もあの時は回避で必死だったし、情報がほとんどないんだよな。」
「だよね。魔天鉱になった時に{虐殺者}を試したんだけど、無理だったし。」
「後半は魔天鉱って言う名前なんだ。」
「そうだけど、何か見えそう?」
「いや、何も。ただ、名前が反転してるってことは全部反転してるんじゃないかなって思ってさ。」
「と言うと?」
「天魔鉱はこっちの攻撃を反射して、その反射したものを弾くことでダメージを与えられる。かつ、自分から攻撃してくることはない。こんなとこかな?」
「そうだな。」
「ってことはこれを反転させると、こっちの攻撃を吸収することで耐久値が回復する。自分から攻撃をしてくる。ただ、それだとダメージを与える手段がないから、天魔鉱にも回復する条件があるんじゃないかな?」
「でもやれそうなことは大体試したろ?」
「いや、一つだけ試してないことがある。万が一のことを考えてやってなかったことが。」
「何?ミクのいうことだし、それが答えな気がするね。」
「天魔鉱の攻撃を受けること。」
「確かに。俺たちは前回攻撃を回避してたな。」
「じゃあ試してみようか。ミクいい?」
「オッケー。それじゃ行くよ!」
俺は投擲用のナイフを取り出し、キョウヘイとネネに少し離れてもらってから天魔鉱に投げつける。
前回同様反射がくる。まずは耐久値を削らないと回復しているかわからないので弾く。1回弾いた時点で1箇所僅かに欠ける部分がある。
今度はキョウヘイにそこを観察してもらいつつ、反射で飛んできた投擲用のナイフを回避せずわざと喰らう。
「修復したぞ!」
「確定だね。」
「それじゃ前回同様一気に削ってくるね。」
「前回同様?」
「あぁ、頼んだ。」
「ねぇ、前回同様って?」
「{反撃領域}だよ。攻撃をして反射での攻撃を弾きつつこっちは次の反射を引き起こすための攻撃を同時に叩き込む。」
「それって無茶じゃない?」
「でもあいつは前回それを5分間続けたぞ。」
「やばすぎでしょ!」
「だろ?それでも150回しか弾けてなかったけどな。」
「150って十分すぎるでしょ。」
「いや、5分で150だ。2秒に1回。俺の目に見えなかったことを考えるとあいつは何回か攻撃を喰らってる。」
「勝手な想像しないでくれるかな?あれは向こうがこっちの攻撃速度に対して反撃回数の処理限界を超えたみたいであの回数しか反撃が来なかっただけだよ。だから途中から武器の耐久を少しでも持たせるために時間を調整してたんだから。」
「やっぱり凄技だね。キョウヘイに見抜けないわけだ。」
「そんな煽らないで。ここで喧嘩始めたら収拾がつかないから。」
「はーい。」
「それじゃさっきのネネの意見をもとに戦うってことでいいな?」
「いいよ。」
「おう。」
「あと、俺が指示したら一旦止まってくれ。魔天鉱に変わるタイミングで一旦合図するから。まぁ、アナウンスもあるからわかると思うが。」
「オッケー。」
「ミク、頼んだぞ。」
「まかせてよ!」




