第15話 ギルド設立
「お待たせー。購入できたか?」
「ばっちりだよ。ギルド名は俺で決めていい?」
「一応決定の前にどんな名前か聞かせてくれ。」
「おっけー。といっても俺は潔く【パンドラの箱】でいいんじゃないかと思ってるんだけど。」
「確かにそれだったらメンバー募集かけたときに見るだけでお前がいるってわかるしな。ネーミングそのままだけどいいんじゃないか?」
「じゃあ決定な。登録しとくぞ。」
ウィンドウを開きギルドネームを登録する。これでこのゲーム初のギルドが誕生したのだ。
『ギルド【パンドラの箱】の設立を確認いたしました。開設時の基本ステータスは以下の通りです。
ギルドネーム :パンドラの箱
ギルドマスター :パンドラ
ギルドホーム :ディクティオン最奥
登録可能人数 :25人
ギルド加入ボーナス:ディクティオン最奥の転移ポータルの使用
以上の情報でギルド設立を確認いたしました。ギルドメンバーの登録はギルド管理ウィンドウから可能です。権限の譲渡など、ご自由にお使いください。その他詳細もギルド管理ウィンドウで確認することができます。』
「キキョウ、完了したぞ。お前も登録できたから一応確認してみてくれ。多分ギルド管理のウィンドウを出せると思うから。」
「おっ、本当だな。これでギルドメンバーの追加とか、ギルド単位のイベントの申請・登録とかいろいろできるみたいだな。」
「基本的にメンバー追加の権限は俺とお前だけにしようと思う。ほかの人に勝手に追加されても困るし。」
「それには賛成だが、ほかのメンバーはどうする?」
「俺たち2人とも結構いかれた感じだし、どういう方向でもいいからいい感じにいかれてる奴、もしくは俺たちと絡むことで今後いかれるやつがいいかな。」
俺はともかくキキョウもなかなかにいかれている。ゲーム内のアバターやスキルなどは一見普通に見える。見えるだけであり、こいつは魔法のステータスに一切数値を振っていない。こいつは戦士だが、このゲームはバフ系のスキルは魔法扱いなので魔法の威力に比例してバフの効果も上がっていく。魔法系のステータスを0にしている以上バフを一切使用しない、戦士が使用する魔法もいくつかあるのにそれも使用しないという謎の縛りプレイをしているいわば変態だ。
「パンドラらしいな。まぁ、探せば結構いると思うけどな。リアルが超有名人だったり、PSが異常に高い奴だったり、あとは俺らみたいな奴だったり。」
「俺とお前を一緒にするなよ。キキョウは自分から望んで縛りプレイをしてるじゃん。俺はこんなの望んでないんだよ。あと、魔法か魔法系のスキル覚えたいんだけどなんかおすすめない?」
「魔法か。お前魔法系のステータス調整後いくつだっけ?」
「全部338だね。」
「そうなると、攻撃魔法を習得するより、バフとか相手をかく乱するような魔法とか覚えればいいんじゃないか?魔法は町の魔法店でスクロールを買うと覚えられるぞ。ほかにも覚える方法はあるけど、時間かかるからだれもやってない。」
「魔法のスクロールってどのくらいで買えるの?」
「ものによるけど1万Gからだな。高いのは結構する。」
「へー。じゃあ今度いろいろ探してみようかな。」
「それがいいんじゃないか?で、本題に戻すんだけど、ギルドメンバーについてどうする?」
「25人フルで集める必要はないと思うけど、誰かリア友かネッ友で誘いたい人とかいる?」
「いやいないな。それにお前の場合性別知られてる相手がいると嫌だろ?」
「それはそうだな。それじゃゲーム内で知り合いになった人とか仲良くなった人がいたらその人を誘うって感じでいい?俺は現状いないけど。」
「俺もそんなになんだよな。何人かいるけど、ステータスが俺と近い奴が多いんだよな。少人数のギルドだし、できるだけ違うタイプの人を集めたいよな。」
「それは確かに。あと、生産職も欲しいね。ギルドに生産職が所属している場合ギルドホームに鍛冶場が設けられて自由に装備とかの作成ができるらしいから。」
「素材は俺たちがとってくればいいもんな。とりあえずほかのプレイヤーたちがギルド設立するまでに何人かは加入してもらわないとな。町の掲示板にでも募集掛けてみるか?」
「それもいいけど、生産職に関してはもしかしたら見つかるかもだからほかを募集してみてくれ。一人心当たりがある。」
「おっけー。掲示板に掲示する文面作っとくね。」
「俺はいったんアウトしてそいつとコンタクトとってみるわ。」
「わかった。」
「先に言っとくがそいつが来たら口調直せよ。」
「わかってるよ。」
「それじゃしばらくしたら戻るから。」
「文面完成したら掲示板に掲示しに行くから町に行ってるかも。」
「イロアで合ってるか?」
「そこ以外行ったことないからな。」
「そうだったな。まぁ、少しずつ回っていこうぜ。」
「そうだね。とりあえずはイロアの町にだけ掲示してくるよ。あそこなら初心者からトップ層まで集まるでしょ?」
「そうだな。ショップが充実してるし品ぞろえもいい。プレイヤーが一番集まる街だからな。」
「うん。それじゃ、生産職のスカウトよろしく。」
「あぁ。またあとでな。」
キキョウはログアウトしていった。俺も文面を考えないとな。
とりあえず募集したいのは、魔法使い、ヒーラー、タンク、物理アタッカーってとこか。キキョウはタンク兼物理アタッカーだけど、それぞれ専門職も欲しい。それにこれらの中から2つくらい金剛になっててもいいしな。罠の解除とか鍵開けもあるから盗賊系のプレイヤーも必要か。俺の場合手が通常とは違う関係上難しいし専用のスキルも持っていない。とりあえず募集はこんなところか。そしたら文面を考えようか。まぁ、これで加入する人はそうそういないだろうし。俺がいる時点で避けられるよな。
「ギルドメンバー募集
ギルド【パンドラの箱】のメンバーを募集します。現在第1回イベント両部門1位の2人が所属しています。ギルドの登録可能人数は25人、ギルドホームは《ディクティオンの百穴》内部にあり、個室も用意されています。ギルドマスターはUniquePlayerのパンドラです。現在諸事情により人型ではなくミミックの姿をとっています。
募集する人員は魔法使い・ヒーラー・タンク・物理アタッカー・盗賊です。生産職以外ならそれ以外のジョブでも構いません。生産職は現在知り合いをあたっているのでいったん募集しません。
加入に際して絶対の条件があります。
それはギルドメンバーみんなと楽しくプレイできること。みんなで楽しくワイワイやっていきたいです。場の雰囲気を乱す方、人に接する態度が冷たい方、人を見下す方はお断りいたします。
私たち2人はそれなりにイカれたプレイをしているので、同じような方や、そうなりたい方など大歓迎です。みんなで面白おかしく過ごしましょう。
もし加入をご希望の方は下のボタンからフレンド申請とメッセージをお願いします。」
こんな感じでいいだろ。俺としては楽しく過ごせるなら何でもいいんだよ。やっぱりVRMMOっていうのはみんな楽しく過ごすのが一番だしな。
俺へのフレンド申請のボタンが悪用されなければいいけど。ミミックの姿だと聞けばあの美少女アバターが目的のキモオタが少しは減るだろ。ネットの方の掲示板見た感じ俺の中身が美少女だと思ってる輩もいるみたいだけどな。




