第146話 魔物の塔と決闘
「流石ネイだね。」
「でしょー。」
「クソっ!こいつに負けるなんて。」
「今のはネイの完勝だね。あと、これからはお互い煽らないように。2人の煽りは度を超えてるから。」
「「はい」」
「わかったならよし。それじゃさ、ネイに頼みたいことがあるんだよね。」
「なに?」
「魔物の塔の攻略に行かない?」
「なるほどね。確かにあなたたちがいるならあれの攻略も現実的かもね。でも、パンドラに死なれると困るんだよね。」
「そこは大丈夫。あなたも知ってる通り、私は動かない限り貫通系の攻撃以外でダメージを受けない。しかもスキルで貫通するかどうかを判断できる。」
「なるほどね。確かにそれなら死ぬ可能性は低そうだけど。それでも、あの塔は25階まで到達したパーティーは1つしかない。実装されてからそれなりの時間が経ってるのに。しかもそのパーティーも25階でリタイアしている。私だって挑戦したけど、とても25階なんていける気もしなかったし。私がいった時は『完璧』の上位プレイヤーを連れていって20階で全滅だった。」
「20階ってことは歴代で2番目に高いところまで行ってるじゃん。」
「そうだよ。でもあの王鷹には手も足も出なかった。」
「確かにあの塔は化け物が救ってるし、強力なモンスターが多数いる。でも私だってモンスターだ。」
「だからと言ってクリアできるってことにはならないでしょ。もしどうしても行くなら私が納得できるだけのものを出してよ。」
「そうだね。薄々勘付いてるかもしれないけど、25階まで行ったパーティーっていうのは私とキキョウの2人だ。つまり、はっきり言ってネイがいなくても最上階までは行くことができる。そして・・・」
「ちょっと待って2人で行ったの!?無理ゲーにも程がないかな?パンドラのステータスだって封じられたままでしょ?」
「そうだよ。でも私たちは2人で24階を突破した。まぁ、25階の相手には手も足も出なかったけどね。」
「2人が手も足も出ない相手って何よ?」
「それはついてからのお楽しみ。正直どう攻略すればいいか空き時間とかにめっちゃ話してたんだけど、どれもしっくり来なくてさ。無理ゲーにしか感じないんだよね。」
「特殊勝利系?」
「かも。それに魔物の塔って言ってるくせして魔物じゃなくて物質的な何かだし。」
「そっか。まぁ、2人が最上階まで連れてってくれるならいいよ。正直私は王鷹と相性悪いんだよね。軽い装備だからあのかまいたちで簡単に吹き飛んじゃうし、遠距離系の攻撃は全部防がれちゃうから。」
「まぁ、あれは私たちでも苦戦したし、しょうがないと思うよ。」
「そうなんだ。その後の4階層は?」
「まぁ、強かったけど、王鷹の方が厄介だったかな?寧波戦ってないから知らないかもだけど、あいつHP量えぐいんだよね。」
「あの強さで?」
「うん。かまいたち自体の攻撃力はそこまでじゃん?」
「まぁ、断続的に続くから関係ないけど。」
「そうなんだけどね。それで色々やってたんだけど、接近してからの{反撃領域}のコンボって言ってもネイは見たことないか。キキョウ」
そう言ってキキョウに決闘を申し込む。決闘はユニークプレイヤー以外のデスペナルティも無効だからこう言った場面で使いやすい。
「はいはい。」
「ネイはちょっと見ててね。」
「うん。もうさっきの発言だけでも嫌な予感しかしないんだけど。」
そこから俺はいつもの接近してからの{反撃領域}での10本の腕を展開した連撃のコンボを披露した。
「なるほどね。確かに完璧にコントロールできるのなら理にかなってるね。」
「でしょ?それでこれを王鷹にやったんだけど、削り切る前に逃げ出されたんだよね。」
「まじで?」
「まじ。あいつのHPほんとエグいんだよね。」
話しているうちにキキョウがリスポーンしてきた。
「おかえりー。」
「ただいま。そういやパンドラとちゃんとやり合うの初めてだな。」
「だねー。」
「そうなんだ。」
「まぁ、結果が分かりきってるからね。」
「まぁ、そうだな。」
「認めるんだ。」
「お前もやってみろよ。勝てないってわかるから。」
「私は1回戦ってるんだよね。」
「別にあれも本気ではないけどね。」
「本気でやる?」
「別にいいよ。」
「それじゃ、ほい」
決闘の申し込みをしてきた。まじでやるのか。さっさと終わらせよ。




